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魔眼の錬成術師 〜魔眼になった幼馴染と行く異世界冒険譚〜  作者: てつじん
第一章 異世界への旅立ち
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6話 新たな力


「マナ!!」


カイトはやっとの思いでマナへと駆け寄る。


「マナ!しっかりしろ!!」


マナの肩を揺するが虚な目をしながら未だに力を使った状態で微動だにしない。

ただ苦しいのだろう、小刻みに身体が震えかなり顔色が悪い。


「ゴフッ」


さらに口から血を吐き出した。



「くそっ!どうすれば良い!考えろ!考えるんだ!」


あたりを見回し何か方法が無いか必死に考える。

そしてカイトはある事を思いつく。


「一番近い装置は…あれか」


カイトは装置に近づき落ちていた瓦礫を手に取り装置に叩きつける。

しかしなんらかの金属で出来ている装置はびくともしなかった。

それならば青い鉱石を破壊すればともう一度瓦礫を拾い叩きつけるが何か膜のようなものに阻まれ弾き飛ばされてしまう。

破壊できないなら装置から外せばとカイトが青い鉱石を触った瞬間。


「ツッ!!」


何か電流が走ったような感覚が全身を襲う。

なんとも言えない感覚の中、今まで使ってきた自分の力はまだほんの一部分だと悟る。

カイトの力の進化のキーは青い鉱石に触れることだったのだろう。

カイトはもう一つの自身の力を自然と理解した。


「これなら!!」


と青い鉱石に向けて力を発動させた。


【分離】


すると青い鉱石が一度大きく光り輝くと光が段々と弱くなっていき、そこには鈍い色をした鉱石だけが残された。


「やったぞ!」


カイトが装置を一つ無効化した瞬間


(ゴゴゴゴッ!!)


と空間が揺れると先程まで綺麗な円をしていたゲートが大きく歪み始める。

するとゲートから無数の瓦礫や鉱石、木材などあらゆるものが吹き飛んでくる。



「くそっ!なにをした!!」


先程から興奮のあまりカイトの動きなど全く目に入っていなかったグラントは激昂する。


「余計なことを!君にはここで退場してもらう!」


グラントが警備部長を睨みつけると警備部長は力を発動させた。

するとカイトの目の前に大きな炎の球体が現れ、そして大爆発を起こした。


「ぐわっ!!」




カイトにはなにが起きたか分からなかった。

気付いたときには実験室の壁まで吹き飛ばされていた。

背中を強く打ったのかうまく息が出来ず全身に痛みが走る。

だか何故か右の上半身だけは全くなにも感じなかった。


恐る恐るかろうじてうごく首を右側に向けると。


「あ…ぁ…」


声にならない声を発してしまう。


なぜなら右半身は焼け爛れ一部は炭化していた。

視界が半分無いことから右目も潰れてしまっているようだった。

さらに両脚はあらぬ方向を向き骨が飛び出していた。

唯一左手だけが動かせそうだがこちらもうまく動かせない。


「ぐがぁー!!!」


目で確認してしまったこともあるのか激痛が全身を襲い耐えられず叫んでしまった。


だがそんな状況でカイトは冷や汗を流しながらもマナがいた中央の台座に目をやると、マナは力の発動をやめその場に倒れていた。

マナもこちらに気付いているのか視線が合ったような気がした。


『力の発動は止められた。だがあのままだとマナは死んでしまう』


何か方法が無いかと必死に考えるが、今の自分の状態ではなにもできそうになかった。


なにもできないのかと諦めかけたそのカランっとカイトの目の前に金属で出来た枝のようなものが転がってきた。

さらに周りを見渡すとゲートから落ちてきたであろうさまざまなものが目に入った。



『これならマナを救うことができるかもしれねぇ!』


カイトはマナを救うため、自身の命をかける事を決意した。




〜sideマナ〜


『ダメじゃ!身体がいう事を効かぬ』


マナはグラントのギフトで操られていたが少しづつ意識はハッキリとしてきていた、しかし自身の身体は全く自由に動かなかった。

そんな状況の中、カイトが近付いてきてマナの肩を揺する。


「マナ!しっかりしろ!!」


マナはカイトの声は聞こえていたがその声に反応できない。

カイトが来てくれたことに安堵となんとも言えない感情が湧き上がる。


『カイトすまぬ。こんなことに巻き込んでしまって』


マナが心で謝っていると。


「ゴフッ」


っと自身が吐血をしたことに気付く。


『これは長く無いかも知れんのう、グラント所長が生命力を魔素に変えておると言っておったから私の命もあと少しと言うことか、しかしこんなことに巻き込んでしまったカイトだけでも逃してやりたいのじゃ』


そう思考しているとカイトが近くにある装置で何かをしているのが目に入った。


(ゴゴゴゴッ!!)


と大気が震える音と同時にバチっと何かに弾かれるようにマナは倒れ込んだ。


『カイトの奴やりおったか』


何故かカイトが助けてくれたのだと本能的に感じ、視線を向けると


「余計なことを!君にはここで退場してもらう!」


グラントがそう言った瞬間。


(ドカンッ!!)という爆発音と共にカイトが吹き飛ばされていく。

10メートル以上は先の壁まで吹き飛ばされたカイトは壁にもたれ掛かり動かない。

しかもここからでもかなりの傷を負っているのが分かる。


『カイト!!』


そう叫んでいるが声が出てこない。


『あのままではマズイ、カイトが死んでしまうのじゃ』


マナは以前、研究の中で他人のキズを癒す力を持つ少女に出会ったことがあった。

彼女の力を使えば助けられるのではと考えた。

しかし自身の身体は指先ひとつも動かせなかった。

なにか方法が無いかと必死で考えていると


「えぇいマザー!!早く神とやらをここへ呼ぶのだ!早くしなければゲートがどうなるか分からないのだぞ!」


グラントがマザーに怒鳴っているのが聞こえた。

するとゲートから人型?と言えばいいのかなぜかうまく認識できない光の塊がゆっくりと降りてきた。

マナはそれを見た瞬間全身に悪寒が走った。


『あれは触れて良い存在ではない!!世界が終わるぞ!』


だがそんなことは気にも止めず、自身が神になることで頭がいっぱいのグラントは


「おぉ!そなたが異世界の神とやらか。すまないが代わりに私が神にならせてもらうよ」


そう言ってグラントが自身のギフトを発動させる。


しかし…


「ん?なぜ!?なぜだ!やめろ!離せ!私から離れろ!」


急にグラントが暴れ出した。

目の焦点が合っておらず何かから逃れようとしているのか手を振り回している。


ゲートから降りてきた光の塊が一瞬強い光を放つと。


グラントは磔になれたように手足が固まり宙に浮いた。


「やめろ!やめろ!やめろーーー!!」


グラントは喉が張り裂けんばかりに叫ぶが光の塊と一緒にゲートへと飲み込まれていった。


『あれは人がどうこうできるものではないじゃろうに』


最後は呆気ない終わりだったとマナは少しグラントが可哀想に思えた。


「ゴフッ」


再度吐血をするマナ

どうすればカイトを助けられるのか、今までの経験や知識をフルに使いマナは思案する。


『これならばカイトを救えるかもしれん、だが…いや、もう私にも時間は残されておらん、やるしかなかろう』


マナはそれを行うため、あたりを見回しあるものを見つける。


『頼む、成功してくれ!!』


マナは死力を尽くして最後のギフトを発動させた。


ブックマーク、感想、評価等いただけますとありがたいです。


次話も明日の21時投函予定となっております。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

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