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魔眼の錬成術師 〜魔眼になった幼馴染と行く異世界冒険譚〜  作者: てつじん
第一章 異世界への旅立ち
6/24

5話 異世界への扉

本日5話目になります。

明日から毎日1話づつですが投稿いたします。

ひと月ほどはストックがありますので毎日投稿出来るかと思います。

よければブックマーク等していただけると嬉しいです。


「異世界…じゃと!?」


マナは衝撃的なその言葉に反応してしまう。


「驚きだろう?私はマザーと意思を交わすうちにマザーにある意識から異世界の様子を見ることが出来てねぇ。信じられるかい?天を突くような大きな樹木や空に向かって落ちる川、生き物もこの世界では空想と思われているドラゴンなんかもいるのさ、そして極めつけは神という存在が実在すること」


そこまで聞くとなにを言っているのかと思うが先程の力、ギフトを見せられたマナは信じざるを得なかった。


「それだけなら私もこの魔素についての研究だけをしようと思っていたのだが、ある日マザーにこのギフトという力は進化することを教えてくれた。まぁ人によってキーとなるものは違うようだがこの力には先があったんだよ。私はマザーからその話を聞いた瞬間に何故か分からないが自分のギフトについて正確に理解したよ」


そういうとグラントはパチンっと指を鳴らし実験室の扉に目をやる。

するとそこから3人中に入ってきたのだ。


マナはそのうちの1人を見て自分の感じていた違和感に気付いた。


「レリー…」


入ってきたのは、なんとレリー審問官と警備部長、そして資材部のゴードン部長だった。

マナはそこでグラントのギフトについてもある程度理解した。


「あなたは人の意思を乗っ取る、又は従わせることが出来るのじゃ」


マナがそういうと満足そうな顔をして


「さすが理解が早い。ただ私の能力の進化はそれだけでは無い。まぁこれからする大実験の目撃者になるマナ君には教えてあげよう」


グラントは子供が自慢するようななんとも言えない笑みを浮かべそう言った。


「私の最後の力はね、自分の意思を他人に移せると言うものさ。ただし一度きりだがね」


マナはそこで何故そんな重要なことを話したのか疑問に思ったがそこで一つ思いついてしまった。


「まさかあなたは…」


グラントは満足したように


「そうさ!私は神になろうと思ってねぇ」


狂っている!率直にマナはそんなことを考えたが

『どうやって異世界の神になろうというのじゃ?』

と新たな疑問が出てきた。


「それはこのマザーとマナ君が解決してくれるのさ」


そういうとグラントがマナの元までやってきて顔を覗きながら話す。


「マザーにもギフトがあってね。異世界への扉を開くというギフトが。ただマザーも完全ではなくてね。この世界に着いたときに割れてしまってね。それがこのカケラ達というわけさ」


マナはそこで嫌な予感が頭をよぎる。

今の話から自分が解決するというのは一つしかない。

そんな気持ちを押し殺してグラントの話の続きを聞く。


「更にこの世界では、マザーのギフトを発動させるための魔素が足りなくてね。そこは私の研究で生命力を魔素に変えることが可能になったからなんとか出来そうなんだよ」


マナは更に嫌な想像が頭をよぎる。


「まさかあの魔鉱石のカケラに繋がれている女性達は…」


マナはここ1ヶ月で起きていた女子中高生の失踪事件が頭をよぎる。


グラントは何でもないような顔で


「まぁ私が神になる為の人柱、生贄といえばいいのかな。彼女達には悪いことをしたと思っているが必要な事だからね。それにもう分かっていると思うけどマナ君、君には力を使ってもらってマザーのギフトの補佐をしてもらうよ」


それを言い終わるかどうかと言うタイミングでグラントがマナに向けてギフトを発動した。


薄れ行く意識の中でマナは自身のギフトを発動し、先程グラントが使っていた他人に意思を伝えるというギフトを完全再現した。


『カイト、助けてくれ、第三実験室だ、急ぐのじゃ』


そこでマナの意識は完全に途切れた。




〜現在〜


カイトはアパートを出ると脇目も降らず一目散に研究所に向かっていた。


『頼む!無事でいてくれ!』


今までマナのあんな声は聞いたことがなかった。

マナは生まれ持ってのスペックの高さから常に冷静な判断をしてきていた。

そんなマナがあそこまで慌て怯えたような声を発している。しかも普段使わない力まで使って。


カイトはマナから連絡を受け数分で研究所まで辿り着いた。


「ん?君こんな時間にどうしたんだい?」


夜勤の守衛さんがカイトを呼び止める。


「すいません。研究所で何か起きたようで!出来れば警察を呼んでいただけ…(ドクンッ)」


カイトは守衛に警察を呼んでもらおうと思い話しかけようとした瞬間、何か大きな波動のようなものを感じた。

近くで太鼓を鳴らされたような不思議な感覚だった。

すると


(ドカンッ!!!!)

「なっ!?」


カイトは思わず動きを止めてしまった。

何故なら第三実験室の天井が吹き飛び光の柱が天に向かって伸びたのだ。

そして光の先に大きな虹色の穴が出現した。

その穴は吹き飛んだ天井の瓦礫を吸い込んでいる。


「私は実験室に行くので警察に連絡を」


それだけ言うとカイトは走り出した。

人生でこんなに早く走ったことがないほどに全力で光の柱に向かって走る。



そして第三実験室に着いたカイトは力任せに扉を開け中に入る。

そこには天を貫くかのように光の柱が立ち、その中心には青く光り輝く大きな青い鉱石と複数の小さな青い鉱石、そこに繋がれた少女達。

信じられないような光景が広がっていた。

頭の整理がつかなかったがマナが無事か見回すと


「いた!…!?」


カイトはマナを見つけた。

そして同時にグラント所長の姿も確認した。


「カイト君か、早かったね。マナ君が何かしたのは気付いたんだが君に連絡を取ったんだね」


グラントはカイトの存在に気付いたが焦る様子もなく淡々と話しかける。


「なぜグラント所長がここに、それにこれは一体何なんです!?マナ??」


カイトはグラント所長にそう言うとマナに視線を向ける。しかしマナは虚ろな目をして手を前に出し力を使っている。

だがそこに自分の意思は感じられず何か操られているかのようだった。


「グラント所長、マナになにをしたんですか!」


マナは気になることがあると言っていたがこれを予想していたのか、まとまらない思考の中でどうにかマナを助けようと駆け出そうとした時、急に目の前に大きな炎が現れる。


「あつっ!!」


カイトはその炎の熱さに一歩下がった。


「すまないがあと少しで異世界へのゲートが開くんだよ。今は邪魔をしないでもらいたい」



するとカイトの目の前の炎が消え、後ろから人影が現れた…そこには見覚えのある顔があった。



「警備部長!?あなたもグラント所長の仲間なんですか!」


カイトは警備部長に話しかけるが返答はなくこちらも虚ろな目でカイトを見つめている。

手には青い光の模様が現れており、先程の炎は警備部長のものと思われた。


カイトはマナのいるところへ向かおうとするが動く先に炎が現れ、まるで炎の檻に閉じ込められているようだった。


カイトは焦っていた。自身も力を使い過ぎると身体の防衛本能なのか力は止まり倒れてしまう。しかし今のマナは自分の意思で力を使っていないのだから限界を超えて力を使えばなにが起こるかわからない。


「ん〜やはりゲートが完全に開かないようだねぇ」


グラントは1人愚痴をこぼす。


「魔素が足りないのかも知れない」


そう言うとグラントは自身の右に目をやる。

何やら目の前に青い光の模様を出しなにかしているようだ。

すると2人の人間が動き出した。


カイトは気付いていなかったが他にも人が居たようだった。するとその人物を見てカイトは驚いた。


「あれはレリー審問官とゴードン部長!?」


2人はそれぞれ違う小さな青い鉱石の前まで行くとおもむろに装置から出ている管を自身の腕に刺した。

すると青い鉱石から出る光が強さを増す。


「おぉ!やはり、これで扉が開くぞ」


そう言うと同時にゲートから青い稲妻が走り始め、そして少しづつ広がっていく。

なにが起きているか分からないが良くないことが起きているのは分かった。


中央の台座に目をやると大きな青い鉱石が光を増しまるで小さな太陽のように光り輝く。

すると上空のゲートは綺麗な円を描き安定した。



「完全に開いたぞ!さぁマザー、お前の言う神とやらを呼び出してくれ!」


グラントは喜びのあまりカイトへの注意が一旦逸れる。

カイトはその隙を見逃さずマナへと一気に駆け出した。


「マナ!!」


ブックマーク、感想等いただけますと励みになります。


次話は明日21時投稿いたします。


よろしくお願いします。

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