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もしもしピアノが弾けたなら
夢の中で、俺はロックスターだった……。
静寂の中、ステージ上にピアノとともに佇む俺。
何かを期待しているような観客たち。
永遠とも思えるような2分間……。
これから先、一体何が起きるのか……。
それは観客には勿論、この自分自身でさえも分からない……。
120秒の沈黙を打ち破ったのは『レ』の音だった。
『レ』……?
馬鹿な……。
何故『レ』なんだ……。
俺は『ド』の音を弾きたかったのに……。
迷いか……恐れか……何が俺に『レ』を弾かせたのか……。
俺の動揺が伝わったのか、観客達に困惑が広がっているのが分かる。
何故。何故。何故『レ』なんだ……!
あレレ〜。
そういう感じで目が覚めた……。