3 お勉強
あのドッキドキのおうちでーとから愛は自然とあの子を意識してしまい、考えただけでもにょもにょした気持ちになってしまった。週明けの登校日。あの子はいないかなって思いながら初めて会った公園を通り過ぎた。もちろんあの子は現れなかった。
「おはよう!あれれ?あいさん今日はなんか元気なさそうですね。どうしたのかな?っておっっっっっとここから先はわたしが言わせてもらうよ。どうせあの“てるちゃん”のことですよね!?」
「なっ!!」
もはや私たちの関係は友達の奈由には思いっきり知られていた。
「それってあいがあの子のこと好きってことじゃない?俗に言う百合だよね(当たり前だけど超健全)。」
「まじで!?わたしってそういう感じになっちゃったの?」
「うん。」
直球に返された。でも額と手の甲にキスされたことは言わなかった。それから二人は普通に授業を受けて帰ろうとしたその時外には通学帽とランドセルを身につけた一人の女の子が立っていた。まるで誰かを待つように近くをうろうろしていた。
「あああああああああ(小声)!」
「ははーん。あの子がてるちゃんか。かわいいね。」
「でしょでしょ。でもあの子すぐにからかってくるから。」
すると奈由は半ば強引に愛を引っ張って、外に出た。すると愛の手が少しずつ震えて、心音も上がっていった。
校門を抜けるとてるは笑顔で二人の方へ向かっていった。そしていきなり、
「......たすけて。」
と小声で言いながら抱きついてきた。
「ひゅーひゅー。」
棒読みかのように奈由がからかってきた。むしろこっちの人は同級生なんですけど。
「.........」
小声すぎてあまり聞こえなかったのか、いきなり抱きつかれてびっくりしたのか驚き顔で何も言えなかった。
「何か答えてよ。助けてってば〜。」
ポコポコお腹を叩いてきた。
「わかったわかった!で、どうしたのかな?」
「勉強教えて。」
「ふぇ!?」
てるの小学校は一般的なカラーテストと一緒に先生が作成する確認テストと呼ばれるものがある。ただしこのテストは生徒の学力を確認するものであり通知表には反映されない。
「愛って頭いいでしょ?だからお願い。」
泣きじゃくった顔をみて嫌とは言えない愛であった。すると奈由が
「てるちゃんっていうの?わたしは愛の友達の奈由!よろしくね。」
てると同じくらいの身長まで身を下ろし、握手した。
「はい!よろしくお願いします!!」
(あれれ?わたしの時と反応が違うぞ?)
「というわけで、わたしは家の用事があるからまた今度ねばいばーい!!」
何か策的に奈由はその場を後にした。するとてるちゃんは愛の手を繋いだ。
「どこで勉強するの?」
「愛の家。」
「わかった。」
愛の部屋で勉強を開始した二人。愛がチラッてみると少しほっとした。今解いている内容が難しくなかったからである。
「あいちゃん。ここってどうやるの?」
「(近い近い近い!!!)えっとこれは、、、、こうするの!」
「なるほど。ありがとう!!」
さっきと同じくらい可愛い笑顔だった。そしてすぐに集中モードに切り替わった。約2時間二人は勉強して解散していった。
「今日はありがとう。これお礼。」
といって出してきたのは2枚の折り紙だった。それはどちらもハート型。
「お揃いだね。」
その一言で心臓の音がさらに大きくなってしまった。
「じゃあまたね。」
部屋からてるが出てもドキドキしている愛であった。その後てるは確認テストで9割近くの成績を出したそうだ。