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番外編 兄の、姉の前日譚 2

2人で会話し、太陽にオーディションを受けさせることが決まってから4ヶ月が経ち、一花のもとにアニメ制作会社から連絡が入った。


「もしもし、お世話になります。ギャラクシープロダクションの白河です…はい、一瀬太陽の件ですね?…はい…はい…ぇ!?オーディションの結果が主役ですか⁉それちゃんと審査したうえでですか?…そうですか。わかりました、ありがとうございます!」


一花は連絡が終わるとすぐに陽介を呼び出した。


そして、家の近くの個室居酒屋にて陽介と一花が話し合うのだった…



「ねえ陽くん、なんで私が呼んだかわかる?」


「いや、わからないな。何かあったのか?」


「何かあったじゃないわ!なんで太陽くんが、声優経験の無い太陽くんが『クロスアイギス』の主役に抜擢されたのよ!?」


一花はまくしたてるかのように陽介へと言うが、とうの陽介はあっけらかんとしていた。


「それがどうしたんだ?いいことじゃないか」


「陽くんは驚かないの?あのオーディションには、多くの有名声優が参加したのよ?その中でなんで太陽くんが選ばれたの?あの作品は登場人物が多いからなにかしらの役には就けると思ってたけど、これは予想外よ!」


「いや、俺としては想定内、というか予想通りってところだな」


「え?」


「だって太陽は生粋のアニヲタだ。それに加えて兄に俺がいるんだ。遺伝子的に見ても妥当だろ?まあこの2つはあくまで一因だけど、1番は作品だな」


「作品ってどういうこと?」


「太陽はな、『クロスアイギス』、いやこの作者である六道 柚子(ろくどう ゆず)先生の大ファンでね。しかも六道作品で最初にアニメ化された作品であり、太陽がアニメにハマるきっかけとなった『明日世界が終わるとしても(あすおわ)』の主役が俺という身近な存在だったからあいつは元々声優志望だったんだ。だから俺が暇な時はレッスンしてやっていた。まあそれを始めたのがもう6年も前だから、今やあいつの声の技術は俺に匹敵するレベルだな。そんな太陽がオーディションを受けりゃ、主役くらいは取ってくるさ」


そんなことをあっさりと言ってくる陽介に一花はふと疑問を持った。


「あれ?でもそこまですごいならどうして太陽くんは声優にならなかったの?」


「ああ、それはな…あいつアニヲタではあるんだけど唯一それ以外で好きなのがあってな。それが一花、お前だったんだよ」


「え!?私?」


「まあ厳密には好きというより推してたっていう話なんだけどな」


「……そうだったんだ。でもそれと今の太陽くんがどう繋がるの?」


「あいつはな、自分が憧れた夢は全部叶えたい性格なんだよ。だから推し、憧れた一花と同じアイドルをしながらも、同じく好きでやりたいと思い続けた声優も挑戦しようとしてたんだ」


「なるほど、確かに太陽くんならそういうことを思っててもおかしくないし、それも実現しうるだけのスペックはしてるわね」


「だろ?あいつは本当にハイスペックなんだよ。というかハイスペックな超努力家。今だってこれから先に仕事に専念できるようにってまだ2年になったばっかだってのにもう高認合格してんだぜ?あいつ曰く『今のうちにやっておけばここから先仕事たくさん入れて学校休んでも問題ないでしょ』だと」


陽介の口から語られた太陽の実態に一花は言葉を返せなかった。


「まあそんな太陽の頑張りを見てたから俺も一応制作サイドに何かしらの役は与えてくれと言ってたし、何よりもあいつなら実力で主役を取れると思ってたからこの人気作のオーディションを薦めたんだ」


「……そっか。太陽くんそんなに頑張ってたんだね。私何もわかってなかったよ」


「まあ太陽は自分の努力を他人に言うような人間じゃないからな。仕方ないことだ」


「そうだね。太陽くんはそういう子だもんね。……良し、じゃあ太陽くんに決まったって報告しないと」


そう言って太陽に連絡しようとした一花を陽介は止めた。


「一花ちゃん、あいつにはライブが終わってから言ってやってくれ」


「なんで?」


「あいつに今伝えてしまうとそっちに気がいってライブ1本に集中できなくなる」


「でも…」


「あいつはそういうとこ不器用なんだ。だからさ、そこだけはよろしく頼むよ」


「陽くんがそう言うならそうしておくわ」


「助かるよ!」


そう言って、にこやかに笑う陽介に一花は軽く頬を染めながら、


「陽くんも三月の事頼むわよ」


と返し、話し合いはここで終わるのだった。



そして現在……


「一花さん!」


「何、太陽くん」


「遂に来ましたね!」


「ええ、そうね。でもあまり気負わなくていいから、自分にできる演技で頑張って!」


「はい!じゃあ行きますね!」


「うん!」


遂に太陽の主演作、『クロスアイギス』の撮影が始まろうとしていた………


次話より声優編?と呼べる章が始まります。ようやく、恋愛色が出てきますので乞うご期待!と言いたいですが、こんな駄作ですのであまり期待せずご覧ください!またもしよろしければ評価や感想のほどよろしくお願いします!いただいた感想には必ず返信させていただきますのでどうぞよろしくお願いします!

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