番外編 太陽と陽介
焼肉店、店外にて
「もしもし、陽兄?陽兄のほうから連絡してくるなんて珍しいこともあるんだね?」
「まあな。こういう事はまず最初に太陽に伝えたかったんだよ」
「それってどういう…」
「俺、裏方に専念することに決めたんだ」
「え?それは本気で言ってるの?仕事が無くなったとか声が出なくなったとかならわかるけど陽兄、そういうわけじゃないでしょ?」
「まあそうだな。俺は別に仕事が無くなったわけでも声が出なくなったわけでもないよ。まあ単純な話っていうかさ、自分が表に出るのも楽しいんだけど新たな原石を発掘したいなって思ったんだよ」
「でも陽兄の力なら両立できるんじゃ…」
「まあ、やろうと思えばできないわけじゃない。でもな、俺はやるなら一定のラインまでは一本に集中してやりたいんだ。太陽ならそんな俺の性格知ってるだろう?」
陽介の言うとおり、太陽はその性格を知っていた。いや、知っていたのではなく実際に体感していた。そんな太陽は、それ以上引き止めることをやめた。
「それなら、どの作品を最後にするかはもう決めてる?」
「あぁ、決めてるよ。俺は『代物語』を最後にするつもりだ」
「……なるほどね。陽兄、物語シリーズ好きだもんね。わざわざ連絡くれてありがとう」
「いや、こっちこそ急にこんな連絡してゴメンな」
「全然気にしないで?陽兄からの電話なら大歓迎だから」
「そうか。なら良かった」
「そうそう、後今日は晩ごはん用意しなくて大丈夫だから」
「どこかで食べてくるのか?まあ、太陽のことだから心配はあまりしてないけど遅くなりすぎないようにな?」
「わかってるよ。その辺はちゃんとしておくから!じゃあ仲間を待たせるからそろそろ切るね」
「了解!気をつけて帰ってこいよ」
「ありがとう」
そして、陽介からの連絡を切ると太陽はギャラクシーの代表である白河零那へと電話をかけた。
「もしもし、太陽君?あなたが私に直接電話をかけてきたってことは何かあったのかしら?」
「まあ、僕が何かあったというわけではないのですが…」
「そうなの?……じゃあ陽介君のほうかしら?」
「さすがは零那さんですね、そのとおり、今回連絡させてもらったのは陽兄の件なんです」
「なにがあったの?」
「これは相談とかではなくただの報告になってしまうんですけど、陽兄は次のクールから始まる代物語を最後に表舞台から身を引いて後進の育成をするそうです」
「……それは本当なの?彼、まだ25くらいじゃなかったかしら?」
「おっしゃるとおりです。まあ陽兄は一度決めたことは簡単には曲げないので少なくとも一度は完全に裏に回ると思いますね。なので、零那さんには良くしてもらったのにご迷惑をおかけするんですけどね?」
「それはあなたが謝ることじゃないわ?それに彼のその性格は私も直に見たことあるしね?」
「そうなんですか?」
「ええ。まあ詳しい話はいつか本人の口から直接聞けると思うから私からは何も言わないけれど」
「それこそ気にしなくて大丈夫ですよ?……じゃあみんなのところに戻るので」
「そういえば今日は4人でご飯を食べに行ってるんだったわね。楽しんできなさいね?」
「もちろんですとも。それでは失礼します」
こうして、太陽も店内で待つ3人のもとへと戻ったのだった。




