打ち上げ後に会うのは想定外 Side三月
私、白河三月は会場で会った知り合いとともに家の近所にある和食屋さんへと来ていました。
「今日のライブすごく良かったね!三月、いや月!」
「もう!伊織!私がこの格好の時にはちゃんと三月って呼んでくれないとどこで誰が見てるかわからないんだから」
「そうだよ伊織ちゃん。彼女は学校では隠してるんだから。それに私達よりも全然知名度あるんだからね」
「それはそうだけど、それ言ってて悲しくならない?」
「まあ他の人ならまだしも、相手は三月ちゃんだからね。三月ちゃんは人気を鼻にかけることなく努力してるってわかってるから」
「ありがとう、凛花ちゃん。まあそんなことよりも、今日のライブの話をしようよ!」
「そうだね!」
そんな感じで始まった打ち上げは、私の声優仲間でありスターズのファンである藤川 伊織ちゃんと、崇道 凛花ちゃんの2人と色々なことを話しました。
「そういえばさ」
「なになに?」
「はるくん、今日珍しくファンサしてなかった?」
「そういえば最後の方でどこかに向かってウィンクしてたよね。あれってどこにしてたんだろう?」
「それ、私がいたところにしてくれたの!」
私が2人の疑問にそう答えると、2人はびっくりした表情をこっちに向けてきました。
「はるくんって三月みたいなのが好きなのかなー?」
「でも確かにはるくんってアニヲタだから、変装しても三月ちゃんの正体に気づいたのかも」
「え?でももし私が月だと白鳥月だとわかったとして、なんでそんなことしたんだろう?」
「あれ?三月知らないの?」
「何が?」
「この前のスターズラジオではるくん言ってたよ?『あの子の声は僕の心に深く深く突き刺さったんだ。もう今後誰が出てきても僕の1推しは月ちゃんだね』って」
「え!?そんなことはるくんが言ってたの?」
「うん、確かに言ってたね。あまりにも熱こもり過ぎて、天さんが苦笑いしてたくらいにはね」
2人から聞いた情報に私はふとおとといのことを思い浮かべていた。
「三月?どうしたの?」
「…あぁ、いやね、私の学校の隣の席の男の子も一言一句全くもって同じことを言ってたなって思って」
「…それってもしかして、その隣の男の子がはるくんだったりしてね」
「それはないでしょ!」
「でも三月だってそうやって自分のこと隠してるわけだし、はるくんだけ未だに詳細な情報がわかってないんだからそういうこともあり得るよ?」
「でもな…前髪長いしすんごいダサいメガネかけてるし」
それを聞いた2人は、
「そっかー」
なんていう気持ちもこもってないような返事を返してきた。
(多分それ絶対はるくんだよね)
(そうだね。だからはるくんは月じゃなくて三月を見つけてウィンクしたんだと思う)
(言ったほうがいいのかな?)
(いや、面白いし黙ってよう)
「なに2人で話してるの?」
「なんでもなーい!」
「それよりさ、次クールの新作アニメの主人公役って決まったのかな?」
強引に話を変えてきた2人だったけど、確かに私もそこは気になっていたので話に混ざる。
「クロスアイギスでしょ?私もヒロイン役のオーディション受けたからどうなるんだろうって感じだけど」
そんな時だった。私の携帯に着信が入る。
「ちょっとごめんね。……もしもし、あぁ陽さん。え?ホントですか!?はい、はいわかりました。ありがとうございます!」
「ん?どうしたの?」
「クロスアイギスのヒロイン役合格したってマネージャーから!」
「おめでとー!」
「でもそれだけにしてはテンション高くない?」
「うん!それがね、主人公役なんだけど、はるくんになったって」
「「え!?」」
私達は、そんな衝撃の事実にこの後話した内容は最早あまり覚えておらず浮ついた気持ちのまま打ち上げを終えた。
「じゃあ私達はこっちだから」
「うん、またね!」
こうして2人と別れ、家の近くまで来たときだった。私が浮かれすぎていて注意力散漫だったことが悪いのだけど、対向の人とぶつかってしまった。すぐに我に返った私はすみませんと謝ったのだけど、その人の顔を見てびっくりした。
「全然大丈夫ですよ!…あれ?白河さん?」
「鳳くん?」
そこにいたのは、私の同級生で隣の席の男の子こと、鳳太陽くんだった……
さあ次回は仮の姿、三月と太陽のお話。いつ更新できるかはわかりませんが、なる早で書いていきますのでよろしくお願いします。また、感想や評価などもよろしくお願いします!