休日はお仕事です
今回は太陽の仕事のお話です。もちろん三月も出てきます。
今日は土曜日。大体の高校生は部活をやっていたり、はたまたバイトをしていたりするんでしょうか。ですが、僕が今いるのはさいたまスーパーアリーナ。ここで開かれるライブに参加するために来たのです。観客?いえ、僕は出演者です。そこに書かれているイベント名で僕の正体もわかるでしょう。
『スターズ1stライブツアー埼玉公演』
そう、僕の正体は名前でバレてるかもしれませんが、僕は現在スターズのリーダー、一瀬太陽として活動しています。まあ、学校では知られたくないので本名の鳳太陽として目立たないように過ごしているのですが。かといって決して目立つのが嫌いなわけじゃなく、学校くらいは穏やかに過ごしたいだけなんです。そんな僕の身の上話は置いておいて、現在アリーナで行うリハに向けて準備をしているところです。
「はるはさ、学校に好きな奴とかいないのかよ?」
「僕ですか?僕は今声優の白鳥 月さんが好きですからね。特に学校云々関係なく好きな人はいないですね。そういう青空くんはどうなんです?」
僕は質問してきたメンバーの『二科 青空』君にそう返して、俺もいないなと言う返事にそうだろうなと内心思いながらリハを始めました。
僕たちのグループ『スターズ』は4人組で活動していて、僕と青空の他に、『三島 天』君と、『四条 流星』君の2人がいます。僕らはみんな同い年の17歳なので、グループ仲は自分で言うのもおかしいですがとても良いんです。
そんな事は置いておきましょう。開演まで残り30分となりました。僕ら4人はバックヤードに集まり円陣を組みます。これは僕らが結成したときから決めていることなので、最早ルーティーンとなっています。
「今日の掛け声は誰がやる?」
「ここは太陽でしょ!」
「そうだな。ツアーファイナルなんだ。リーダーである太陽がやるのがふさわしい」
「そうだね。俺も太陽が適任だと思うな」
「わかった。じゃあ僕がやるね!」
僕は一度深呼吸をしてから声を出した。
「さあ、大阪、福岡、仙台とやってきたツアーもいよいよ千秋楽、ファイナルだ!このツアーの集大成となるここで、今までよりももっと、もっと輝いて、楽しんで頑張ろう!」
「もちろん!」
「ああ!」
「うん!」
「じゃあいくよ!」
「「「「We are the STARS!!」」」」
こうして僕らのライブが始まりました…
「きゃー!!!はるくん!!」
「青空ー!!!」
「天様ーー!!」
「流星くーん!!」
ライブのボルテージも上がってきて、もちろん僕のテンションも上がってきたところでふとアリーナのお客さんを見たときに、ふと見覚えのある顔がいました。そこにいたのは僕の学校の同級生、なんなら隣の席の女の子。白河三月さんでした。彼女がスターズを好きだという話は聞いたことがなかったのですが、ものすごくノリノリで僕らを応援してくれている姿に少し気恥ずかしい気持ちになります。そんなことを少し考えながら、彼女が僕の名前を言っているのが微かに聞こえてきたので彼女の方にウィンクをして手を振りました。そんなこんなで無事に何事もなくライブを終えることができました。その後、僕たちはマネージャーさんとともに打ち上げへと向かうのでした……
私、白鳥月こと白河三月は久々の仕事のオフでなんとか手に入れた『スターズ』の1stライブツアー最終埼玉公演を見るためにさいたまスーパーアリーナまでやってきました。私の今の格好はただのはるくんオタクな感じですが、そんなことは気にしません。だって今回取れたのはアリーナの最前列、はるくんを間近に見ることができるんですから。そんな感じで私はワクワクしながら開演を待ちます。そうそう、もちろん白鳥月だとばれると厄介なのでいつも学校に行くときの見た目ですけどね。そして遂にライブが始まりました!
「はるくーん!!!カッコいいーー!!!」
私は仕事上の問題もあるので声を枯らすほどの声援を送るなんてことはできませんが、出せる範囲の声で応援しています。そして、ライブも終盤に差し掛かった頃でした。はるくんと目があったのです。そして少し驚いたような顔をしたかと思うと、なんとこちらにウィンクをしてくれたのです。さらには手まで振ってくれました!私に向けてだったのかはわかりませんが、それでもこちらの方に向かってやってくれたことに私含めてこの辺りのファンはみんな色めき立ちました。そんなサプライズもあったライブは無事に終演し、私はウキウキとした気分で同じはるくん推しの子と一緒に打ち上げへと向かうのでした……
次話は打ち上げのお話になります。
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