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純白のSと共に  作者: Kanra
9stage遠き富士
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未来への選択

この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。

公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。

作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。

自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキット及び、筑波サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。


 走行会が終わった後、坂口知恵は一人別行動を取る。

(今から行くと、頑張れば20時には着ける。)

 インテグラDC5で、中央自動車道を長野方面へ走らせる。

 ハンズフリーマイクで、電話をする。相手は九重拓洋の彼女だ。

「知恵です。今日の20時から会えますか?」

「今日!?ちょっとそれは、アポ無しは―。」

「タクミさんをどうするつもりか、直接会って話したいです。」

 九重拓洋のS660はこの場にはいない。

 彼は圏央道で帰宅中だろう。

 最後のレースに、彼は不参加だった。というのも、軽スポーツカーでは他の車両について行けずレースにならないからだ。

「タクミは今一緒?」

「いいえ。ですが、タクミさんから聞いたのです。まだ、結婚するかしないか話を進めていないと。」

「エアガン捨てなきゃ結婚できない。それは事実なの。」

「貴女達は、タクミさんがエアガンを今も持っていると言う事を確認したのですか?確認しないで、頭ごなしにエアガン捨てろって言うのは如何なものかと思いますよ。今日の私達の対戦相手は、プロレーサー率いるチームでした。そして、プロレーサーがタクミさんに「昔の趣味掘り返して来るような連中は、「モータースポーツは暴走族だ」ってイチャモン付けてくる。今エアガン持っているなら手放せば良いが、既に親父さんに押し付けて手放したにも関わらず「エアガンがぁーっ」。それでどうやって証拠見せればいいのだ?手放した物をもう一度取得して手放すふりをしたら、イカサマだ。タクミさんには悪いが、その女。捨てちまえ。」と言ってました。」

「どうしてよ?私は愛しているんだよ!?」

「それを証明できますか?タクミさんがそちらに合わせても、何も話を進めないでエアガン捨てろの一点張り。こちらにだって我慢の限界というものがあります。そもそも、親父さんの物まで捨ててその証拠見せろなんて、そこまで言いませんよ普通。今のタクミさんはもし、貴女がいなければ、レーシングドライバーとして活躍してもおかしくない才能を発揮出来るのです。ですが、貴女達がタクミさんをこういう扱いをするせいで、タクミさんのモチベーションが大きく左右されているのです。タクミさんは感覚派ドライバー。モチベーションを大きく左右されてしまう物はなるべく排除したい。」

 中央自動車道甲府インターを通過。

「タクミの今の気持ちはどうなの?」

 電話の向こうで、海老名芽美が言う。

「愛してはいます。貴女の気持ちも解ります。だからこそ、彼女の周囲の人にも、「エアガンは昔の趣味です。今はモータースポーツをメインに行っております。」と言ってなんとか、話を前に進めようとしていますが、もう我慢の限界だと言ってます。あと一つ、何か手痛い洗礼を受けると、もう芽美さんの所を離れてしまうでしょう。」

「―。」

「3月~7月にかけて行われる軽スポーツカーレースの第1戦。筑波2000GPの練習走行。今のままでは、この辺りでもう限界に達するでしょう。一度レースの世界へ走り出してしまえば、もう戻ってはこない。」

「ちょっと待って。タクミに電話させて。」

「これはLINEの通話です。この通話に彼を入れてやったらどうです?まあ、今、彼は90キロで高速を走っている頃でしょう。」


 S660は山中湖湖畔を走ってから高速道路へ入っていた。

(ドジって自衛隊の演習場に入り込みそうになっちまったわ。そうだ。ここは有名な陸上自衛隊東富士演習場があるんだっけ。ここは自衛隊の演習のみならず、映画のロケ地として使われている。)

 と、心の中で笑う。

 自衛隊のトラックとすれ違った後、ゲートで89式5.56mm小銃を持つ自衛官に止められなければ、演習場に迷い込んで戦車に撃たれていただろう。

 高速道路に入る。

(89式か。親父に押し付けちまったが、重くて扱えなくて難儀しているようだ。芽美やその周りに言われて渋々、エアガンから手を引いたんで親父には申しわけない事をした。なのに、今もギャンギャンと。おかげでモータースポーツにまで影響が出ているよ。モータースポーツ止めろって言い出したら別れてやらあ。俺はペットじゃねえ。)

 そう思った時、LINEの通知が来た。ハンズフリーマイクを使用して電話に出る。相手は芽美だ。

「タクミ?今何処にいるの?」

「今?富士山の麓だ馬鹿野郎。」

 見ると、グループ通話だった。

 一緒に話しているのは知恵ちゃんだ。なんで知恵ちゃんが?

「知恵ちゃんは何処にいる?」

「今?中央自動車道を安曇野目指して突き進んでいるわ。そっちはまだ富士山の麓?先に出てったのに、なんで?」

「山中湖を見てきたのと、間違って自衛隊の演習場に迷い込みそうになって、自衛隊に怒られてた。」

 80キロ規制を確認。

 80キロで走る。そりゃ、高速道路をぶっ飛ばすのもいいが精神的にも肉体的にも疲れる。走っていて気持ちが良いのは、結局は80キロから100キロの法定速度だ。

 まあ、サーキットは別だけど。

「タクミは私と結婚したい?」

「ちっ。またそのネタ。どうせエアガンがぁーだろ?持ってないものをどうやって捨てりゃ良いんだ?まさかまた買って、捨てろってのか?イカサマじゃねえかそんなの。レースの世界でイカサマは御法度だ。イカサマやらせるなら、愛しては居るけど―。」

 クラクションの音が聞こえた。横を見ると、追い越し車線に海老原レーシングのレクサスLC500とMR‐Sがいることに気づいた。

 そして、俺の後ろにMR‐2。

 レクサスのドライバーと目が合い、この先で止まれと言うような仕草をした。

「どういうつもりだレクサス。」

「えっ?レクサスだって?」

 知恵ちゃんと芽美が困惑しているが、それをよそに電話を切る。

 俺とMR‐2の間にMR‐Sが、そして前にレクサスLC500が入る。

(なるほど。この先の谷村PAで少し話そうって事か。)

 ニヤリと笑う。

(S660とレクサスでは話にならないからって俺をレースのメンバーから外した事への詫びならゴメンだぜ。海老原レーシング6号車。大山神威さん。現役のレーシングドライバーで、スーパーGTではレクサスRC Fに乗り、GT300で活躍する。プロレーサーの御教授なら、受けなければな。)


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