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純白のSと共に  作者: Kanra
7stage臨界点突破
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NSX君臨

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。

 国道の踏切待ち。

 通過しているのは秩父鉄道の貨物列車だ。

 小さな電気機関車デキ507が、石灰石を載せる貨車20両(ヲキ100とヲキフ100)を牽引している。

 かつては、JR直通のバラ積みセメントを積載した貨物列車が何本も走っていたのだが、定期貨物列車は、今は石灰石を運ぶ貨物列車だけだ(熊谷貨物ターミナル~三ヶ尻間の石炭輸送や東武鉄道の甲種輸送もある)。それでも、貨物列車が走っている私鉄は、今や貴重な存在だ。

 貨物列車と蒸気機関車、そして、第二の人生を進む電車が北関東と南関東の境界線と言える埼玉県北部の羽生から、日本一熱い町熊谷を経て、秩父路を駆け抜ける姿を求めていたかつての自分は、今は列車を降り、車に乗ってかつての自分が乗っていた列車を外から見ている。

 貨物列車が通過し終わり、踏切を渡って秩父ミューズパークの秩父サーキットを目指す。

 到着すると、既に坂口さんが待っていた。

「朝も一回戦やったの?」

 坂口さんがからかう。

 俺はそれに何も答えず、走行前の点検を開始。

「タイヤは大丈夫。燃料も満載。んじゃ、着替えてと。」

 レーシングスーツに着替え、ヘルメット着用。

 昨日もバトル中、レーシングスーツとヘルメットはしていた。

「タクミ。今日は私が持ってきた車に乗ってね。」

 着替え終わった俺に、坂口さんが言う。

「えっ?S2000か?」

 坂口さんはニヤリと笑った。

「違う。」

 この場に芽美もいる。だから、耳元で坂口さんは、

「私が持ってきたって言ったでしょ?見れば分かる。」

 その様子を芽美は「ムス」っとしながら見ていた。

「ほら、これよ。」

 ピットに居た車。

「おい・・・・ふざけんなよ。」

 真っ白な、日本刀のようなスタイルからは、停止中であっても特有のオーラが放たれている。

 何を隠そう、これこそレーシングテクノロジーを注ぎ込んだホンダのタイプR伝説の始祖。

 NSXタイプR NA1だ。

「昨日、知恵とアコードとタクミのバトルに乱入したヤツよ。」

「これに乗れってのかよ。」

「そっ。あと、知っているだろうけど、クリスマスのツインリンクもてぎエンジョイAライはエスロクじゃ参加できない。」

「だから、ハチロクでやれって・・・まさか?」

「これでやるのよ。こっちから、そういうふうに、連絡してあるから。」

「―。」

「乗るなら早くしな。」

 ビクビクしながら、運転席側のドアを開ける。

「MT車の運転は?」

「出来る。」

「なら行け。」

「行けって―。」

「走れっつってんのよこのバカ!」

 アワアワしながら、クラッチを踏み、エンジンを掛ける。

 ヨタヨタしながら、ピットレーンを出てサーキットへ。

「私は待っている。峠じゃない。サーキットで。」


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