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純白のSと共に  作者: Kanra
7stage臨界点突破
80/435

夜の秩父路

この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。

公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。

作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。

また、自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。

「おーい。芽美ちゃん?」

 戻ってきたS660。九重拓洋は、このとき初めて知った。

 海老名芽美は、あまりにも強烈なショックで失神したのだ。

「ギャーギャー喚き散らしてたが、途中で静かになったと思ったらこれか。口ほどにもねえ。失神かよ。それより―。」

 坂口知恵に声をかける。

「NSXタイプR。あいつは一体、何者だったんだ?」

 これに答えたのは、坂口真穂だった。

「家のクソ親父。バトルに乱入なんて、ガキの遊びには付き合いたくないって言ってるくせに。」

「親父って―。」

「知ってるでしょ?親父はそば屋でありながら、実はスーパーGT等で活躍するレーシングドライバーだって事は。」

「ああ。まさか?」

「そっ。しかもあのNSXタイプRは、レースでも使用する車よ。」

「冗談だろ!?」

 と、九重拓洋が言った時、海老名芽美がやっと気が付いた。

「ここは?」

「バトル終わったんだよ。俺の勝ち。」

 ふん!と鼻を鳴らして言う。

「次は、負けないわよ。タクミさん?」

 知恵が頬を膨らませながら言った。

「そっか。タクミ勝ったんだ―。ううっ。目が回る。」

「どうだ。これで解ったか?俺等のやってることが。一歩間違えれば、あの世へ行く。走り屋ってのは、自分がやっているのは道交法に反しているとか飛び越えて、自分がやっているのは死ぬ事も多々ある事だって分かっていながら、それをやっている奴さ。理由なんてない。走って走って走りまくって、その先にある何かを求めて走っている。それが、走り屋だ。」

「どうして、タクミは走り屋になったの?前は鉄道好きだったのに。」

「俺は―。」

 一瞬、夜空を見上げた後、

「鉄道に裏切られたからさ。」

 と、答えた。


 お開きになった。

 坂口さんとは、明日も秩父サーキットで走る。

 午前中だけだが、芽美も見学する。

 今夜は芽美と秩父市内のビジネスホテルに泊まる。

 CR‐Zを先頭に、S2000AP1、インテグラDC5、S660、そして、芽美のパレットTSが夜の秩父路を走る。

 ホワイトインパルスの完成型は、この編成だと真穂さんは言う。

 坂口さんのそば屋のパレットは、元々レースに参加する姉妹のサポート車として使っていたが、レーシングカートやその他の機材の運搬に難儀したため、SUZUKIエブリィに置き換えたらしいが、真穂さんの中では、パレットの方が、馴染があるらしい。

 しかし、俺としては、後がパレットよりAE86トレノの方が良い。スポーツカーの大名行列の最後部が軽ワゴンでは、沿道のギャラリーがずっこけるだろう。まあ、軽トラもちょっとな。

 まだ、ハイエースのような大型ワンボックス車や、小型のパネルトラックなら、機材運搬車が後ろに付いているのだと思われるだろうけど、軽トラや軽ワゴンでは、金のない奴等が、プロの真似事をしていると思われても仕方が無い。

 秩父市内に入る。ビジネスホテルの前で、坂口さん達の車と別れ、俺と芽美は車をホテルの駐車場に入れる。

 駐車場からホテルへ入る時、朝倉さんのBRZや須川さんのランエボが通過していった。

 ホテルに入っても、俺はノートパソコンでさっきまでの走りを確認する。

 危ないから走っている時は、随伴車の車内(今日は芽美のパレットTS)に入れていたが、今はホテルだし安全だろう。

「最初の一発目は、ここで少し頑張って引き離せても、第3セクションでBRZにぶち抜かれて終わり。んで、この最後のヘアピン。ここで無理にインに飛び込もうとして、ああこりゃダメだ。オーバーステアだ。」

 ここはあのとき、昇仙峡ラインでクラッシュした時にも泊まったビジネスホテルだが、今日は一人じゃない。

「タクミは私に会えないのに、オナニーしないって言うのはこういうことね。」

 と、芽美が言う。

「でも、生死の堺から生還したら、セックスして発散とか―。」

「朝倉さん達はどうか知らんが、俺は無い。「今日も生き残ったか」って思って終わり。先に風呂入れよ。」

 と、芽美に風呂入れと促す。

「一緒に入らないの?」

「4WDバトルを見てからな。」

 俺はそういって、芽美を先に風呂へ入れてしまう。こうすれば、乱入されることもないだろう。

 芽美がシャワーを浴びている音がするのを尻目に、俺は「バーン!」と銃声のような音を立てるランエボのアフターファイアを見ている。だが、コーナーの度に確実に差が開いていく。

 インプレッサとランエボに真っ向からバトルを挑むなんて、とてもではないが無謀すぎる。

 スタート時にカウントをとらず、馬力が低いほうの車が好みのタイミングで発進し、インプやランエボはそれに合わせて発進するいわゆる「ハンディキャップ方式」を取らなければ、まともなバトルにならない。残酷な見世物だ。

 明日は、坂口さんとワンツーマン(のハズ)で走り込みだ。

 芽美が風呂から出たら、俺もさっさと風呂入って寝よう。

 って思ったけど、今夜もまた、彼女にいろいろされてしまうのであった。


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