地獄の下り
この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。
公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。
作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。
また、自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。
3つ目のヘアピン。
NSXが最初に飛び込む。次に、インからS660。アウトからインテグラ。そして、アコード。
ヘアピンの次は緩い右コーナー。
(さすがNSX。だが、4WDじゃない。あいつは、俺と同じミットシップ―。)
チラりと右を見ると、インテグラがS660と並んでいる。その後にアコード。
(行かせるか!)
次の右を、インからアウトへ流れるようにクリア。
「バーカ。」
インテグラがインを刺して、S660を抜く。
(ちっ!)
4つ目のヘアピンの後は、高速ストレートの第3セクション。
NSXが最初に飛び込む。7秒差でインテグラとS660。続いてアコード。
上りストレートを登りきって勾配が緩くなると、ミッドシップの本領発揮だ。
一気に加速するNSXタイプR。インテグラより立ち上がりでは有利なS660が、インテグラを抜いてNSXを追う。しかし、インテグラとの差が開かない。
旧大滝小学校三峰分校のコーナーからはひたすらストレートで終点の三峰神社。ここでUターンしてダウンヒル。この時点で、NSXとS660の差10秒。
本物の地獄はここからだ。
星空に向かって急上昇するようなヒルクライムと違い、ダウンヒルは真っ暗な闇へ堕ちて行くような感覚に陥る。助手席に乗っている者には恐怖でしかない。
(タクミさんのエスロク。後ろから見ていると、まるで彗星の尾のようなオーラが出ている。本当に速い奴は、そういうオーラを放つと言われているけど、タクミさんから出るとは。でも、前のNSXには負けているね。)
第3セクションから第2セクションへ戻るヘアピン。第3セクションから入ると、下りで目の前には真っ暗な谷底。
「ギャぁーーーーーーーーっ!!」
海老名芽美が悲鳴を上げる。ここから、暗闇へ堕ちて行くダウンヒルだ。
インテグラの後のアコードが、インテグラの前に行こうとする。だが、インテグラもアクセル踏みっぱなしで、急な下り勾配を突き進む。S660もとてつもない速さで逃げる。そして、前のNSXを捉えたままだ。
ダウンヒル2つ目のヘアピン。
NSXがクリア。S660とインテグラも、2台でドリフトを決めながらクリアしていくが、インテグラがインからアウトへ膨らんでくる。
「こいつ―。」
一瞬引く。その間に、インテグラが前へ。
海老名芽美が、何も言わなくなった。
緩いコーナーが続く。だが、このようなコーナーでも、駆け引きは続く。
それでも、NSXは差を広げていく。
アコードもついていけ無くなっていたいた。
3つ目のヘアピン。
インから刺そうとするS660だが、インテグラはそのラインを塞ぐ。
アウトへ流されるS660。リアが僅かに流れる。アクセルワークで誤魔化しながら修正。
NSXはインテグラと13秒差。インテグラとS660は互角。アコードはS660の8秒後。バトルは、インテグラとS660の対決と化している。
(勝負しかけるなら、最後のヘアピン手前、連続コーナーからの間。ヘアピンを過ぎて第1セクションに入ると、前に出るのは難しい。スピンさせるなよ。まだ、このコースを完走していないんだ。)
右コーナーを抜けると、連続コーナー。左、右、左とコーナーが続く。
(インとアウトが入れ替わる。エスロクに有利なポジションにつかれたら、少し厄介かな。)
最初の左コーナー。
S660がアウト。インテグラはイン。
(クリッピングポイント、そっちの良いような所に定めさせるかよ!)
アクセルターンで、アウトからインへ流れるS660。インテグラが引いたが、コーナー脱出時、抜ききれず、次の右では並んで突入。インテグラがアウトからインを締めにかかる。S660が前に突き出され、アンダー。その間に、インテグラが前に出た。
続いて、左。ここではもう、インテグラが前だ。しかし、S660も負けてはいない。
(最後のヘアピンで勝負を仕掛ける!)
ヘアピンが接近。加速しながら突撃。
「バカ!死にてえか!オーバースピードだ!曲がれっこない!」
「曲がれ!曲がってくれ!純白のS!」
「行けるか!」
スピンターン。タイヤが盛大に鳴るが、オーバースピードでインからアウトへ膨らんでいくS660。
インテグラがガードレールギリギリまで追い詰められる。
「ちっ畜生ーーーーーーっ!馬鹿野郎!!」
アクセルを緩めたインテグラ。
これで、終わりだ。




