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純白のSと共に  作者: Kanra
7stage臨界点突破
79/435

地獄の下り

この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。

公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。

作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。

また、自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。

 3つ目のヘアピン。

 NSXが最初に飛び込む。次に、インからS660。アウトからインテグラ。そして、アコード。

 ヘアピンの次は緩い右コーナー。

(さすがNSX。だが、4WDじゃない。あいつは、俺と同じミットシップ―。)

 チラりと右を見ると、インテグラがS660と並んでいる。その後にアコード。

(行かせるか!)

 次の右を、インからアウトへ流れるようにクリア。

「バーカ。」

 インテグラがインを刺して、S660を抜く。

(ちっ!)

 4つ目のヘアピンの後は、高速ストレートの第3セクション。

 NSXが最初に飛び込む。7秒差でインテグラとS660。続いてアコード。

 上りストレートを登りきって勾配が緩くなると、ミッドシップの本領発揮だ。

 一気に加速するNSXタイプR。インテグラより立ち上がりでは有利なS660が、インテグラを抜いてNSXを追う。しかし、インテグラとの差が開かない。

 旧大滝小学校三峰分校のコーナーからはひたすらストレートで終点の三峰神社。ここでUターンしてダウンヒル。この時点で、NSXとS660の差10秒。

 本物の地獄はここからだ。

 星空に向かって急上昇するようなヒルクライムと違い、ダウンヒルは真っ暗な闇へ堕ちて行くような感覚に陥る。助手席に乗っている者には恐怖でしかない。

(タクミさんのエスロク。後ろから見ていると、まるで彗星の尾のようなオーラが出ている。本当に速い奴は、そういうオーラを放つと言われているけど、タクミさんから出るとは。でも、前のNSXには負けているね。)

 第3セクションから第2セクションへ戻るヘアピン。第3セクションから入ると、下りで目の前には真っ暗な谷底。

「ギャぁーーーーーーーーっ!!」

 海老名芽美が悲鳴を上げる。ここから、暗闇へ堕ちて行くダウンヒルだ。

 インテグラの後のアコードが、インテグラの前に行こうとする。だが、インテグラもアクセル踏みっぱなしで、急な下り勾配を突き進む。S660もとてつもない速さで逃げる。そして、前のNSXを捉えたままだ。

 ダウンヒル2つ目のヘアピン。

 NSXがクリア。S660とインテグラも、2台でドリフトを決めながらクリアしていくが、インテグラがインからアウトへ膨らんでくる。

「こいつ―。」

 一瞬引く。その間に、インテグラが前へ。

 海老名芽美が、何も言わなくなった。

 緩いコーナーが続く。だが、このようなコーナーでも、駆け引きは続く。

 それでも、NSXは差を広げていく。

 アコードもついていけ無くなっていたいた。

 3つ目のヘアピン。

 インから刺そうとするS660だが、インテグラはそのラインを塞ぐ。

 アウトへ流されるS660。リアが僅かに流れる。アクセルワークで誤魔化しながら修正。

 NSXはインテグラと13秒差。インテグラとS660は互角。アコードはS660の8秒後。バトルは、インテグラとS660の対決と化している。

(勝負しかけるなら、最後のヘアピン手前、連続コーナーからの間。ヘアピンを過ぎて第1セクションに入ると、前に出るのは難しい。スピンさせるなよ。まだ、このコースを完走していないんだ。)

 右コーナーを抜けると、連続コーナー。左、右、左とコーナーが続く。

(インとアウトが入れ替わる。エスロクに有利なポジションにつかれたら、少し厄介かな。)

 最初の左コーナー。

 S660がアウト。インテグラはイン。

(クリッピングポイント、そっちの良いような所に定めさせるかよ!)

 アクセルターンで、アウトからインへ流れるS660。インテグラが引いたが、コーナー脱出時、抜ききれず、次の右では並んで突入。インテグラがアウトからインを締めにかかる。S660が前に突き出され、アンダー。その間に、インテグラが前に出た。

 続いて、左。ここではもう、インテグラが前だ。しかし、S660も負けてはいない。

(最後のヘアピンで勝負を仕掛ける!)

 ヘアピンが接近。加速しながら突撃。

「バカ!死にてえか!オーバースピードだ!曲がれっこない!」

「曲がれ!曲がってくれ!純白のS!」

「行けるか!」

 スピンターン。タイヤが盛大に鳴るが、オーバースピードでインからアウトへ膨らんでいくS660。

インテグラがガードレールギリギリまで追い詰められる。

「ちっ畜生ーーーーーーっ!馬鹿野郎!!」

 アクセルを緩めたインテグラ。

 これで、終わりだ。


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