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純白のSと共に  作者: Kanra
7stage臨界点突破
75/435

三峰ヒルクライム2

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。

(見通しの悪く狭かった道路が、このヘアピンコーナーから一気に変わり、片側1車線で道幅の広い第2セクションの始まりだ。だが、第1セクションに比べると、勾配は急だ。俺は今、エスロクの後だが、エスロクは戦闘機やスペースシャトルで急上昇している気分だろう。なぜなら今夜は雲も無く、月の無い真っ暗な夜空だからな。)

 BRZの朝倉の思った通り、S660の九重拓洋からは、前方に満天の星空が見えていた。

 都会の無機質な明りに照らされた夜空ではなく、人家の少ない真っ暗な夜空だからこそ見える満天の星空だ。

 S660とBRZの差は4秒。

 それが、BRZにS660から出る特有のオーラを見せつけていた。

(まるで彗星だ。エスロクから出る得体の知れないオーラが尾となって見える。満天の星空に真っ白な尾を引く彗星。ホワイトインパルスの4号車として堂々たる姿だ。だが、しょせんは軽スポ。もうその差は縮んだぞ。)

 BRZが2秒差まで詰めてきている。

 ヘアピンから右コーナーを経て、ストレートの急勾配。

 星空の中へ吸い込まれて行くような感覚を味わう九重拓洋は、夜間の峠の怖さが消えていた。だが、ここで消えても遅い。BRZはS660よりも高い馬力で迫ってくる。

 ストレートから緩い右。そして、直角の左。

 最初のヘアピンから、次のヘアピンまでの2キロの間に、高度が100m上がる。平均5%の上り勾配。鉄道マニアだった九重拓洋は50パーミル勾配と認識している。

(碓氷峠の66.7パーミルよりは緩いが、勾配角度は碓氷峠よりも急に感じる。)

 直角左の後、右、左、右とコーナーを越える。

 BRZとの差が更に縮んで来る。

(立ち上がり加速に頼り過ぎている面を感じる。飯田のスイスポならそれでも勝てるが、慣性ドリフトを駆使する奴や4WDには苦戦するだろう。須川のランエボに勝てたのも、須川のラインをコピーして走った後、ダウンヒルで勝負をかけたからだ。だが、こちらがこのヒルクライム区間で追い抜き、第3セクションで引き離してしまえば、もうエスロクでは追い付けない。)

 右、左、右とコーナーを越えた後、ストレート。

(また立ち上がり勝負。同じ戦法では勝てない。この先、次のヘアピンで追い抜き、第3セクションで引き離してジ・エンドだ。)

 コーナーも、きついバンク角を持つ物は無くなり、緩い物がほとんどを占める。中高速セクションが基本の定峰と違い、ここは第1セクションの外は高速セクションばかり。BRZがS660と並ぶ。

 2つ目のヘアピン。

「アバよ。」

 BRZがインに飛び込む。S660は外へ弾かれた。

「立ち上がれ!」

 S660のアクセルを踏み込む九重拓洋。だが、BRZの方が馬力は上だ。徐々に離れていく。

(前に、安斉とシュミレーションゲームやった時と同じだ。俺がNSXで、安斉がインプレッサ。何をどうあがいても追い付けなかった。この前、トンズラしたときには、同じゲームで彼女の男友達の操る4WDのTOYOTAセリカGT‐FOURをNSXでいろは坂の上り(下り線の逆走)でギッタギタにしたのだが、それは彼女の男友達が単に「俺は速いんだぜ」ってイキッてただけで、実際には俺よりも下手くそだっただけだ。インプに負けたのも、俺のテクニックが悪いからだと思っていたけど、そうじゃない。根本的に車の性能が違うからだ―。何をどうあがいても、勝てないのか。お願いだ。走ってくれ。純白のS660。)

 次のヘアピンまでの1キロの間で、再び高度が100m上がる。ヘアピン間の距離が縮んだが、登る高度は変わらない。これは、勾配が更にきつくなる事だ。

 勾配を登る間、BRZは勾配を登る事にもパワーを使っている。だが、この勾配が無くなったらもう、S660で追いつくのは難しいだろう。

 再びヘアピン。ここで、BRZとS660の差は3秒。

(もし、根本的に車のパワーが足りない、車の性能の差だとしても、俺は諦めない。行けるところまで、BRZを追い続ける。ダウンヒルに持ち込めればなんとかなるかもしれない。)

 最後のヘアピンまで500m。BRZとの差は縮まらない。

 最後のヘアピンが見えた。BRZは外。S660が4秒差でインから入る。

「あっ―。」

 BRZとの差、5秒に開く。

 第3セクションに進入。上りストレートを登りきって勾配が緩くなるとBRZとの差が開いていく。

 だがS660は諦めない。

「頼む。もっと速く―。」

 エンジン音と走行音以外、何も聞こえない。

 だが、BRZは更にその差を広げていく。

 旧大滝小学校三峰分校のところで、左へ曲がる。

 BRZが物凄い速さで進入。続いて、S660が突入。ドリフトから、再度立ち上がる。

 車載しているカメラも、S660の咆哮と車外の景色以外、何も捉えられなくなっている。

 旧大滝小学校三峰分校のコーナーからはひたすらストレートで終点の三峰神社。

 ここでUターンしてダウンヒル。この時点で、その差8秒だ。


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