二瀬ダム
この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。
自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。
青のSUBARU BRZとオレンジのTOYOTA86が二瀬ダムから三峰神社までの峠道へアタックをかける。
俺こと、九重拓洋は8日間の謹慎を終えた後、何食わぬ顔をして仕事をしたが、シフトの関係でまたも3連休(明けの後公休が2日)となったため、その間に、朝倉さんと約束したバトルだ。
だが、話が大きくなり、このあたりの走り屋まで集まり、交流会となってしまった。
BRZとTOYOTA86はどちらも瓜二つだ。TOYOTA86の原型は、SUBARU BRZ。つまり、BRZはTOYOTA86の双子の兄弟と言うわけだ。
「そういえば、もうライセンス講習申し込んだ?」
と、真穂さんが言う。この交流戦には、初めてホワイトインパルスも参加している。
「ええ。」
「彼女とはどうなった?」
「ええっと、まあそれなりに―。」
「セックスまでは行かなかったけど、一緒に寝たらこの通りよ。」
彼女、海老名芽美も長野から甲府の専門学校経由でギャラリーしに秩父まで来た。そのため、芽美が俺とラブホ行った話まで真穂さんに広めてしまった。
「おっ来た!」
最初のヘアピンを立ち上がる2台が見える。
BRZが先だ。目の前を通過。BRZとTOYOTA86の差は1秒も無い。互角だ。
「さっ、山下りてタクミも用意しないと。」
「OK。」
二瀬ダム駐車場に降りるとそこには、屯する走り屋達。
民家は少ないが、それでも迷惑とならないよう、アイドリングストップで音楽の使用や大声で騒がないよう配慮してはいるが、ちょっとしたオフ会になっている。
「今のバトルが終わったら、S660とBRZのバトルだな。」
「軽スポとBRZ。軽スポはホワイトインパルスの4号車だってな。」
「インテグラ、CRZ、S2000、S660。如何にも走り屋って車だな。軽ワゴンでバカ走りして「俺速いんだぜぇーーーーっ」ってイキッてる奴等とは違うな。」
と、ギャラリー達が言うのが聞こえる。
「タイヤOK。燃料OK。オイルOK。いつでも行けるね。」
愛衣が言う。
「私、このバトルの後に走るわ。付き合ってくれる人探す。」
知恵ちゃんは誰かに申し込みをしに行く。
「ドジって車オシャカったら、レーシングスクールもクソもねえぞ。」
と言った時、BRZとTOYOTA86が戻ってきた。
「ドローだ。先行後追いだが、千切れねえ。」
と、朝倉さん。
「では、行きますか?」
「よし。先行後追い。九重君が先行していけ。今回は、サドンデスは無いから、千切れなければドロー。千切ったら九重君の勝ち。俺が抜いた上で千切ったら俺の勝ちだ。これは、S660よりBRZのパワーがある分、ハンデってことだ。」
S660のエンジンをかける。
BRZもいつでもOKだ。
スタート地点は、二瀬ダムを渡った場所。二瀬ダム―三峰神社間の峠道はどん詰りのため、参拝時間の終わった夜間、対向車はほとんど来る事は無い(工事や神社関係車両の通過がある場合もあるため、対向車と遭遇する可能性は0では無い!)
俺も、今日は明けだが夜間にバトルと言う事で、秩父市内の宿を確保してある(彼女と同部屋でまたもダブルベッド)。
「じゃっ行ってくるぜ。」
「カメラの映像、彼女に見せてあげられる映像にしてよね。ご武運を。」
運転席の窓から右腕を出し、親指を立てて答える。
その腕に、キスしたのは芽美だった。
カメラの録画をスタートさせ、S660先行で、二瀬ダムへ向かう。
二瀬ダムの堤防上の道は車1台が通れる程の道幅しかないため、片側交互通行となっている。
ダム上流の集落方面へ行く林道と、ダムを渡って三峰神社方面へ行く県道の信号が青になった。二瀬ダムは重力式アーチダムで、ダムはアーチ状。そのため、ダムの上の道も見通しの悪いアーチを描いているため、この区間は時速20キロ以下で走る。
ダムを渡り終えたそこから、アクセル全開。
S660とBRZがバトルを開始した。




