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純白のSと共に  作者: Kanra
7stage臨界点突破
68/435

初走行

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。

「スポーツカーねえ。」

 と、助手席の女の子。まあ、私と同い年なんだけど。

「普段、タクミや私がどんな事をやっているのか、雰囲気だけでも見ておいても損はないよ。」

 私、坂口真穂はCR‐Zの助手席に、元カレの友達の友達という海老名芽美を乗せている。

「あーっもしもし。15時からの走行枠空いてます?えっ?えっええ。はい。ああ、私は大丈夫ですよ。ええ。はい。はい、分かりました。」

 ハンズフリーマイクで、これから向かう安曇野サーキットstage2に連絡。

「甲府の専門学校の授業、こんなことなら今日休めば良かった。昨日、寝たの1時過ぎ。んで、また朝早く松本から電車で甲府行って。」

「そりゃ大変ね。」

「まったくよ。でも―。」

「ん?」

「昨日、高速でタクミの車を見たような気がするんだよ。白に青のラインが入って、後ろに、真穂の車と同じ翼?が付いていた。」

 私のCR‐Zにもその後、リアウィングを付けた。翼というのは、リアウィングの事だろう。

「そうなんだ。」

「でも、雰囲気がおっかなかった。まるで、隕石でも落ちてくるかのように、後ろから、私の乗っている車を追い抜くと、流星のように消えていった。親と乗ってたんだけど、車内は恐怖で凍り付いたわ。」

「まるで、溜まっていたフラストレーションを吐き出していたみたいね。見てないから解らないけど。もしタクミ君なら、S660のエンジン音は、怒りの咆哮。あっ着いたわ。」

 私は走行受付をして、更衣室でレーシングスーツに着替える。

 明後日、ハイブリッドカーのワンメークレースがここで行われる。

 その練習走行のため、今日は来た。

 トランクに積んでおいたレーシングスーツに着替え、ヘルメットを被る。

「へえーっ。カッコイイねその服。」

「バーカ。これは職場の制服みたいなものよ。これを着る時は、生半可な事出来ないからね。練習から本番。本番は練習。車をピットに移動させるわ。一緒に来る?」

「行く!」

 

「えっ?まあ、良いですけど―。」

 単独走行だと思っていた九重拓洋だったが、急にもう一台追加で走ることになった。

 とりあえず、隣りのピットに挨拶しておこうと思い、そこを訪れる。

「タクミ!?」

「なっ!?」

 思いっきり派手に驚いた。

「芽美。どうして―。」

「それはこっちのセリフよ。ずっと会いたい会いたいって思って―。なんでここにいるの?仕事は?」

「えっと、その、ちょっと込み入った事があって―。」

 ピットの車を見た九重拓洋は舌打ちをした。

「なんだ?芽美も走るのか。CR‐Zかよ。クソ生意気な。この前俺、こいつにあと一歩のところで負けたんでね。少々ムカつくな。相手が誰であっても、俺は容赦しねえぞ。ここが初めてのサーキットであろうが関係無い。」

「おっと。どこ見てるの?走るのは私よ?」

 CR‐Zの影から出てきたのは真穂だった。

 それを見て、九重拓洋は気が付いた。

CR‐Zのナンバーは熊谷59す61‐20。真穂さんの車だったのだ。

「明後日のハイブリッドカーレースに参戦するんでね。相手がタクミ君なら、私も本気出せる。ところで、どうしてここに?」

「ちょっちょっと込み入った事が―。」

「まあいいわ。んじゃ、しっかり私の相手をしなさいよ。」

「上等。俺もちょっとね、昨日からムカムカしててな。」

「えっ?」

 坂口真穂は、九重拓洋から只ならぬオーラが出ているのを感じた。

(まさか。芽美が見たのって、本当にタクミ君だったの?)


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