定峰ダウンヒルの落書きエリア
この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。
自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。
定峰峠の頂上から小川町方面へ一気に降っていくダウンヒルだが、ここは急なヘアピンが多数存在し、近年では何者かが描いた落書きのために、妙な動きをするミニバンや軽ワゴンが出現。それによって通常では考えられない事故が多発している危険な場所だ。
下りストレートから最初のコーナーは左。
CR‐Zとの差はあまり開いていない。
これで勝てば、もう一回定峰上りでサドンデス(向こうがやる気なら)。そうでなくても引き分けに持ち込める。
だが、下りはミスったら事故に直結だ。
ストレートと緩いコーナーに、僅かな変化を伴う下り勾配。
CR‐Zはなんてことないが、こちらのS660はジャンプする。
木々の合間から見える隣の尾根に、堂平天文台が見える。
緩いコーナーが続く高速セクション。
右コーナーに突っ込む。
しばらく、右コーナーが続くが高速で突き抜ける。しかし、前方、黄色のゼブラが路面に現れると、それはヘアピンが近いと言う警告だ。
それも、途中でバンク角が変化する変則コーナー。このようなコーナーが定峰には多数存在しており、調子に乗ったイキったバカはこうしたコーナーに対処しきれずクラッシュする。そのため、ガードレールがひん曲がっていたり、崖に引掻き傷がある箇所も多数あったり、挙句の果てには崖に大穴を空けるバカまで出現する有様だ。
何者かが描いた変な落書きも、恐らくこういうバカや俺達のような走り屋対策かもしれないが、これを見に来たバカな奴等が勘違いして事故が増えてしまっているのが現状。根本的に対策をするならば、変な観光客やバカが集まらないよう、地元住民にとっては不便かもしれないが道路閉鎖も止むを得ないだろう。
定峰峠の小川町側への下り、最初のヘアピンが接近。
ここまでの高速セクションの勢いのままで突っ込む事になるから、ブレーキングには細心の注意を払う。対向車はいない。
CR‐Zが飛び込む。こっちも1秒差で飛び込む。高速セクションで得た勢いを無駄にしないよう、カートで身につけた左足ブレーキとアクセルワークでクリア。コーナーを脱出すると再びストレートと緩めのコーナーが続く高速セクション。ストレートから左の緩いコーナーへ。
CR‐Zとの差はかなり縮んだ。だが、抜けない。しかし、抜けなくとも5秒差以内ならばダウンヒルはドロー。サドンデスに持ち込む事も可能だ。
(それにしても、前のCR‐Z。ただ者じゃない。それに、この峠を走り込んでいる感じだ。変則コーナーを軽々とクリアするとは)
左コーナーに突っ込む。
路肩の反射板が何本かなぎ倒されている。この左コーナーに対処出来ず路肩に突っ込んだ奴が倒したのだろう。
道幅が狭く、見通しの悪い白石峠では低速でハンドル操作を誤ってドカンか、対向車と正面衝突が多いが、高速セクションの合間に直角のコーナーがある定峰では、勢い余って路肩にドカーンと行ってしまう事が多い。
左コーナーから長めのストレートでCR‐Zと並ぶ。
ストレートでの立ち上がり勝負。
CR‐Zは立ち上がりで僅かにモタついた。その隙に、一気にアクセルを踏み込む。次の緩い右が近付く。インから入るS660。対向車無し。CR‐Zと並んでコーナーへ。ここを過ぎると僅かに道幅が狭くなって左コーナー。
右コーナー脱出に合わせ、次の左に備え、インに付けるポジションへ行く間に、CR‐Zの前へ出た。
「よし!このまま逃げ切りゃ、ダウンヒルは勝ち!ヒルクライムのサドンデスに持ち込んでやる!」
定峰峠の小川町側には、頂上から麓までの間に3箇所うどん屋がある。
このうち2箇所はヘアピンコーナーのところにある。ちなみに残りの1箇所は、頂上の峠の茶屋だ。
定峰ダウンヒルでは、このうどん屋コーナーで勝負を決めるのが俺の定番。
S字コーナーから、ストレートへ突っ込む。
CR‐Zは1秒後。
今いる場所から2箇所目のうどん屋までは、1.8キロ。
変わらず、中高速セクションが続く。
ストレートから左コーナー。
ここはヘアピンコーナーだが、高速で一気に左へ180度以上捻り込むような形だ。
ドリフトを決めながら2台で突っ込むと、速度標識が斜め前にひん曲がっているのを見た。おそらく、インに寄りすぎて体当りかました奴が居るのだろう。
捻り込み終えるとその瞬間、右コーナー。
なぎ倒された路肩の反射板が、このコーナーに対処できなかった奴が多数いる事を物語っている。
(来る度にここの反射板が酷い事になっているぜ。でも、伊香保や赤城みたいな、路面をワザとデコボコにしたら余計に大変なことになる。ジャンプ台と同じで、特に自転車やバイクがジャンプして死ぬぞ。)
そんなことを考えていると、いつの間にCR‐Zがインに。
「うっ!」
左足ブレーキを一瞬踏んで引く。
抜き返された。
その時、横目で相手の目があった。
(真穂さん?)
白文橋を渡り、右コーナー。そこからは再びストレートと緩いコーナー。そして、左への捻り込み。
抜けたと思ったところに、もう一発、きつめの左が待ち構えていて、その先は複合コーナー。
5秒差付けられたらそれで終わりだ。
複合コーナーを抜ける時、その差は目測で3秒にまで開いた。
「まずっ。タイヤが疲れ始めている。」
ラインに乗りづらい。
ストレートから、U字を描くようにヘアピンを抜ける。その後は見通しが少し悪く、道幅が狭いがコーナーは緩いセクションが続く。この終わりが、2つめのうどん屋ヘアピン。
このヘアピンは見通しが悪く、ヘアピンの途中で道幅は膨らむが、入口と出口は狭く、更に途中でバンク角が変わるオマケ付き。下手くそに突っ込むと、ガードレールを突き破ってドッカンガラガラガッシャーン!
「ドギャギャーーーッ!」とCR‐Zがタイヤを鳴らす。こちらも突っ込む。
コーナーを抜けると、再び見通しが悪くて狭いセクション。
ちなみに、変な落書きが側壁に描かれているのは、この危険なセクションだ。
見通しが悪いのに、脇見運転になる要素が追加され、落書きに見とれるあまり、側壁にキスするか対向車に頭突き。最悪、ガードレールに突き刺さって崖から落ちる。
その落書きがある場所に突っ込む。
落書きがある場所は、見通しの悪いV字ヘアピンの頂点付近。見通しが悪いにも関わらず、道端に平気で車を停めて、道のド真ん中を歩いているバカが居るだろう。そんな奴は普通に走る時でも危険極まりない。駐車車両のせいで大型のダンプトラックが立往生したり、飛び出しを除けようとして側壁にヒット。あるいは駐車車両にドロップキックを喰らわせる。
CR‐Zはクラクションを盛大に鳴らしながら通過していく。
こちらも、クラクションとライトハイビームで通過。
ここでは安全のため、ゆっくり走る。それはCR‐Zも同じだった。
落書きエリアを抜け、再度バトルアタック。
最後のうどん屋ヘアピンを抜け、残るは下りストレートと下りきった所の橋の上の変則ヘアピンでのブレーキング勝負。
「根性見せろーーーーっ!」
だが、このとき、差は6秒近く開いてコーナーに進入していた。
引き離されてジ・エンド。サドンデスは無しだ。
「終わりよ。タクミ君。」
「やっぱりそうか。」
CR‐Zに乗っていたのはやはり真穂さんだった。
「シビックからこれに乗り換えて、復活よ。タクミ君もいい腕しているけど、私に勝ちたかったら、ライセンス取ってきな!ってことで、じゃあね。」




