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純白のSと共に  作者: Kanra
6stage理想と現実
63/435

CR‐Z

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。

 散々な思いをして、定峰峠を越えて帰る時だった。

 後ろから白い車が追ってきた。

(S2000か?DC5か?)

 定峰峠の入口で追いつかれてパッシングして来たその車は、CR‐Zだった。

(CR‐Zだと?見かけねえ奴だな。バトルしようってのか?先行後追い。俺が先行か。)

 ハザードを点滅させて、バトルの意思を見せる。

 一気に加速。

 最初の川沿いのセクションを突き進む。

(SOHC4バルブi‐VTECエンジンで、更にハイブリッドカー。2012年以前のモデルは、パワーもトルクも貧弱だが、2015年のマイナーチェンジで、3リッターのV6エンジン並みの加速感を得ている。そして、CR‐ZはフォーミュラやスーパーGT等のモータースポーツにも使用されている。非力なハイブリッド車と思って甘く見ていると、千切れない。)

 最初のヘアピンコーナー。

 ここからは急な登りだ。一気に高度が上がる。

「非力な車は、ここからペースが落ちる。なぜならいきなり急勾配になってしまい、登るためのパワーが足りず、引出しに時間がかかるからだ。」

 だが、CR‐Zは離されずに着いてくる。

「ほう。離されないで着いてくるか。」

 最初の右コーナーを抜ける。CR‐Zとの差が少し開く。

(ふん。当たり前だ。しょせん、ハイブリッドカーのプリウスやインサイトに毛が生えた程度の車。最初からガチでスポーツカーとして設計されたこいつに勝てるもんか。)

 明王院の入口を通過。右コーナー。

 CR‐Zとは3秒近い差がついた。

(先行後追いバトルでは、先行と後追いの差が何秒かは微妙だが、まあ、5秒差も付けりゃ勝ちでしょ。この先の若宮八幡のヘアピンを抜けると、複合コーナー。立ち上がりでは、S660がCR‐Zより上手。古嶺神社のダブルヘアピンを抜けたらストレートで一気に引き離してKO勝ちだ。まあ、そこまで行く前に引き離してやらぁ。余所者相手に、KO勝ち出来ねえ奴は、ただの雑魚だ。)

 先日、真穂のシビックがクラッシュしたコーナーが近付く。

 バックミラーを見る。イン側を走るS660に対しCR‐Zはアウトから迫ってくる。

 そして、若宮八幡のヘアピンを抜け、S字の複合コーナーからストレートへ突っ込む。

「終わりだ。」

 レッカーサービスの看板。再び、S字。

 それを抜けると長めのストレート。

(ん?)

 S660の後をぴったりとCR‐Zが食い付いてくる。

「離されずに着いてくるか。登りストレートで。」

 直角左コーナーからの右コーナー。

 再びストレート。

「こいつ強い。ヤバイ。遊んでいる場合じゃなくなってきた。真面目にやろう。」

 まもなく、古嶺神社の連続ヘアピン。

 今いる場所から連続ヘアピンまでは、「?マーク」を描くように進む。

 ?マークを描き終えると、目の前に直角左。

 木々の合間から、夕陽の秩父市と両神山が見える。

「飯田さんのスイスポを抜いた時と同じシチュエーション。だが、今、追われているのは俺だ。こいつ、かなり強者だ。」

 連続ヘアピンの一つ目に入る。

 インから入るが、CR‐Zはアウトから。

「やべっ!」

 アウトから抜かれそうになる。このままでは、次のコーナーでインから抜かれる。

「溝走りしてやがるぞこいつ!」

 次のコーナーでイン側へ飛び込む。

 CR‐Zが一瞬引く。

 その間に、こちらもイン側の溝を使ってコーナーを突破。

「プリウスに毛が生えたような車で、イキったバカかと思ったがヤバイ。」

 勝負を決めにかかっていたダブルヘアピンを通過。

 ストレートで引き離しにかかる。

 だが速い。振り切れない。

 緩いコーナーを、軽く流して明王院の裏門を通過し左クランクコーナー。

 ストレートを突っ走って右、左、右。

「ヤバイ!」

 CR‐Zとの差はもう無い。

 この先はΩを描くように進む。

 CR‐Zがアウトから行く。こちらはインに張り付けられて前に行けない。

 CR‐Zのケツが当たりかける。

「くそっ!」

 引いた。抜かれた。

(ストレートで縮めて再度行くぞこの野郎!)

 スポーツモードに移行。

 緩いコーナーを抜けて、再びダブルヘアピンが近付く。

「いけねっ。」

 若干のオーバースピード。外に膨らむが立て直せる。その間に、CR‐Zが離れる。

 ダブルヘアピンの後はまたストレート。

 そして、峠の茶屋手前で左。須川さんのランエボはここで力尽き、S2000に負けた。

 峠の茶屋を通過。CR‐Zは小川方面へ下る。

「ならば!ダウンヒルで勝ってサドンデスに持ち込んでやる!」


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