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純白のSと共に  作者: Kanra
6stage理想と現実
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初レース

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。

 坂口真穂は最近になってガソリンスタンドでバイトも始めた。

 国道140号と国道299号が交わる上野町交差点にある少し大きいガソリンスタンド。

 秩父サーキットでこれから走るという車のほとんどがここで燃料を入れるらしい。

 今朝も、A80トヨタスープラやSUBARUインプレッサGC8といったスポーツカーがハイオク満タン腹に入れて行った。

 そして、今、真穂が誘導している車はHONDA S660。

 白地に青のラインとリアウィング。

 九重拓洋のS660だ。

「とりあえず、ハイオク満タン入れてもらおうかな。」

「コラ。それはレギュラー車。そして、ここはセルフスタンド!」

「言ってみたかったんですよ。真穂さん。」

 と言いながら、レギュラーを入れる。

 満タンで25Lしか入らないが。

「これからレース?」

「ええまあ。ライセンス試験受ける前に、俺みたいなトーシローが今、どこまで通用するか見てみたいなって。今日のレースはライセンス不要のスポーツレースですし、決勝進出したら最高賞金20万。ウッヒヒヒヒ。」

 そこに、朝倉のBRZも入ってくる。

 事前に貰った案内では、朝倉のBRZと初戦で当たっている。

 総勢40台のトーナメント戦が行われ、午後には決勝だ。

 先着順の申し込みはあっという間に埋まったらしいが、これが九重拓洋の初レースだ。

 レースの世界を体験するという意味でも、これはいいだろう。

「ご武運を!」と見送る真穂だったが、(タクミ君は愛衣とそっくり。きっと痛い目を見るわ。)とも思っていた。

 サーキットに着くと、「遅い!」と坂口愛衣にどやしつけられながらパドックへ。

 白に青と赤のラインが入るトリコロールカラーのレーシングスーツとヘルメットを被る。

 午前の1本目。これには飯田のスイスポが出ている。

 準備をある程度終えて、観戦する。

(この場に、パレットやNワゴンといったポンコツはいない。居るのはスポーツカーだけだ。)

 この雰囲気だけでも圧倒される。

 一斉スタートをする10台のマシン。

「インプが多いな。これだけで、4台も居るぜおっそろしい。んで、軽スポは?SUZUKIハスラーとアルトワークスかよ。その他、飯田さんのスイスポ。スープラ。S15シルビア。R33GTRか。こりゃ、GTRの圧勝だな。」

 九重拓洋が出場するのは第2戦。

 共に走るのは朝倉のBRZの他、トヨタ86が2台。ミッドシップのMR‐2。FD2シビックタイプR。インプレッサG4。アウディA3。スイスポが2台で、軽スポーツカーは九重拓洋のS660だけだ。

「タクミ。一つ言っておく。今のタクミは、革命を起こして決勝戦に進出すると思っている。それは最後の最後まで、レースが終わるまで思い続けるのよ。そうすれば、理想と現実が分かる。」

 坂口愛衣が声をかける。

「そっちこそ、どういうつもりだ?ライセンス講習の案内送り付けて。」

「タクミは昔の私とそっくり。走り始めた頃の私と。」

「お前は何乗ってんだよホントは?」

「S2000AP1。フロントミッドシップのFR。」

「なっ!?」

「飯能の大学までは、西武線で通っていたけど、免許取ったらS2000AP1で正丸峠を越えて通っていた。正丸トンネルの時もあったけど学校帰りはほぼ旧道を通っていた。私達姉妹は、正丸峠を越えて大学へ行っていた。そこで、走り屋になった。」

「いい度胸だな。正丸峠でデビューとは。あんな走りずれえ峠はねえ。Nワゴンで一度走ったが死ぬかと思ったわ。」

「そっ。だから私は過信していた。まあ、楽しんできな。このレース。そして、目覚めな。どっちに転んでも。」


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