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純白のSと共に  作者: Kanra
6stage理想と現実
57/435

後輩ドライブ

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。

 首都高速を突っ走るS660。

 今日は仕事じゃない。

 助手席には、同い年だが一つ後輩のメガネっ娘。

 BGMは湾岸線の走り屋漫画のBGM。

 だいぶ涼しくなってきたが、まだルーフを外して走れる。

「すごい開放感。でも、小っちゃくって可愛い。」

 と、兼田瞳子はS660に乗った瞬間に言った。

「仕事で走っている東京都内が、違った景色に見えますね!」

「車が違うと、そう感じるだろう。特に、オープンカーだと余計にな。」

 助手席のメガネっ娘はニコニコしながら、この車のドライブを楽しんでいる。

 追い越し車線から、BMWクーペ8が追い越して行き、その後を日産フーガが続く。

 首都高速6号向島線を走り、江戸橋JCTから都心環状線(C1)に入った。

 今走っているのは銀座付近。

 この辺りは築地川河床をそのまま利用しているため、周囲より低い場所を走る。そのため、八重洲通りや鍛冶橋通り等、都内の主要幹線の下を潜って行くのだが、これがなかなか怖い。

 なにしろ、幹線道路の橋の支柱が車線のド真ん中にドーンとあるのだから、ちょっと下手くそな運転をしようものならそれに60キロ近い速度で頭からキスしてしまう。

 首都高速は自動車専用道路。故にほとんどの区間の制限速度は60キロ程度だが、そんなの守っている車などほとんどいないため、ぶつかる時は、80キロは出ているだろう。

「おぉーっ怖い!体感速度が早く感じる!」

「でも、今、70キロ程度だぜ?周りは80だ90出してんだ。まあ、体感速度が早く感じるのも、この車の特徴かな?」

 正直、こんな所で100キロ出すなんて、正気の沙汰じゃない。首都高速で起きる事故の原因の大半を占めるのは、速度超過だ。

 普段、峠を攻めている奴が言っても説得力なんて無いだろうが、速度を出し過ぎて事故った時の代償は痛い。

 浜崎橋を過ぎ、芝浦からこのドライブで魅力的な場所の一つを走る。

 レインボーブリッジだ。

 景色が見やすいよう、左車線へ行こう。これで、追い越していく車の妨害にはならない。

「あっ!安斉さん!」

 左車線を走る黄色いクラウン・スーパーデラックス。

 無線番号5052。安斉一歩の乗務する車だ。旅客が乗っている。恐らく羽田空港へ行くのだろう。

 安斉一歩はこちらを一瞬見て、ニヤリと笑った。

「またぶっ飛ばしてオービス光らすなよ!」

 右車線に移った安斉一歩の車に向かって叫び、兼田はクスッと笑った。

 青空が広がり、橋の下には東京湾。

 前方を見ると、フジテレビ等のお台場のビル群が見え、その向こうに羽田空港を離陸した旅客機が東京湾岸(羽田カーブ)に沿って上昇していくのが見える。

(会社でギャンギャン言われ、半ば強制的に後輩とデート状態。だけど、同時にS660でレインボーブリッジを渡れるんだから良しとすっかな。そして―。)

 眼下に湾岸線が見える。

(こいつで湾岸線を突っ走れる。)

 湾岸線に合流。

 普段なら峠を攻めるが、今日は湾岸線を突っ走るのだ。

 フードを外して、女の子を乗せて走っている姿は目立つらしい。

 追い越していくバイクや他の車のなかには、チラ見して行く者もいる。

 俺の左横を走る日産フーガも、俺が追い抜きざまチラリとこちらを見た。

「やっぱりオープンカーって注目の的なんですね。」

(いや、車と言うよりその―。)

 BGMも切ってしまったから、車以外の理由で注目されているのだろう。

 碓氷峠や秩父で坂口さんを乗せていた時にはこんなことは無かったのだが、おそらく場所だろう。

 秩父はサーキット帰りだと思われただろうし、碓氷は走り屋のカップルと思われたのだろう。だが、東京都内でオープンカーの助手席に女の子を乗せて走るのは一種のステータスのようだ。

 前方に羽田空港の管制塔が見え、羽田空港を通過。

 浮島JCTで今日の目的地へ進路を取る。

 東京湾アクアラインだ。

 アクアトンネルを抜け、着いたのは海ほたるPA。

 ここが今日の目的地だ。


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