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純白のSと共に  作者: Kanra
6stage理想と現実
53/435

シビック

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。

 坂口真穂が、取り引き先への配達を終えて、そば屋に戻る。

「お姉ちゃんお帰り。」

 と、知恵。

「ただいま。」

 EK9シビックタイプRのキーを持つ真穂。

 だが、昨日から様子が変だ。

「昨日のバトルで、負けたのがよっぽどショックだったのだろう。」と、父には言われているが、とてもそれが原因とは思えない。

 愛衣は、急に暇となったため、愛車をサーキットで走らせている。

 今日の彼女の車は、正真正銘、自分の車だ。

 真穂が、知恵が行く取り引き先の配達を引き受けたのは、とりあえず走りたかったからだ。

 だが、さっき、松郷峠でランエボに千切られ、更には今まで負けたこと無いBRZに抜かれてしまった。それにより、戦意喪失。

 おとなしく帰ってきたのだ。

 愛衣は、真穂に何があったのかを知っている。

 だからこそ、サーキットへ行くとき、誘ってみたのだが乗り気になれず来なかった。

 愛衣は自分の真っ白なオープンカーを走らせる。

 自己記録をまた塗り替える。

 だが、このサーキットで最も早いタイムには、まだ届かない。

 このサーキットで最も早いタイムを出したのは、今、愛衣が乗っているフロントミットシップ車ではなく、正真正銘のミットシップ車であるNSXだ。

 ここに今日は、S660の姿は無い。

 S660は再び、夕方の定峰峠に姿を見せた。

 そこに、シビックタイプRもいた。

 EK9の後を走るS660。

 一つ目のヘアピンに突っ込む。

 秩父側の登り口。このヘアピンから一気に高度が上がる。

 シビックとS660の後を追うのはランエボ。

「馬鹿にしやがってシビック!ランエボなんかメじゃねえってのか!」

 シビックはS660が相手の時と、須川のランエボが相手の時とでは、まるで雰囲気が違う。

「バンバンバンバン!」と機関銃の銃撃音のようなアフターファイヤーを轟かせるミスファイアリングシステム。

 明王院の入口を通過。右コーナー。

(ここでもS660に負ける。彼氏の件とドライビングテクニックは無関係。私は速く走れる。こんなところで負けたら、今週末のレースで負ける!)

 シビックは必死に逃げる。

 次の左コーナー。

 S660が徐々に近付いてくる。

 ランエボも近い。

 ストレートに突入。

 FFのシビックがアクセルを踏み込む。だが、立ち上がりではミッドシップで後輪駆動のS660が有利だ。

 更に、4駆のランエボも一気に立ち上がる。

 次の右コーナーに入る時には、S660がシビックの前にいた。

 だが、ランエボは抜ききれなかった。

(仕掛けるなら、古嶺神社のダブルヘアピン。俺だって見せつけてやる。ミスファイアリングシステムと4駆のパワーってやつを。)

 須川は熱くなっている。

 だが、シビックは息切れをしている。にも関わらず、S660を追い続ける。

「負けたくない!絶対、絶対に!」

 それは、危険信号だ。

 若宮八幡が近付く。二つ目のヘアピンだ。

 だが、その手前、緩い左コーナー。

 S660が突き抜けるが、それよりも早いスピードでEK9が突っ込んでいく。

「バカ!オーバースピードだ!」

 須川がブレーキを踏みランエボを急減速させる。

 S660もバックミラーでそれを見た。

「シビック!」

「あっ!」

 シビックは曲がりきれず、左コーナーの道路から外れ、斜面を登ってしまった。

 そして、木に激突して半回転して停止した。


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