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純白のSと共に  作者: Kanra
6stage理想と現実
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バトルの後

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください

「バムバム!」と銃声のようなアフターファイヤー。

 ミスファイアリングシステム特有の物だ。

 前を走るのは三菱ランサーエボリューションⅥ TME通称エボ6.5。

 その後を追うのは、S660β。

「クッソ!軽スポが四駆に勝てるわけねえだろ!」

 だが、定峰の上りが終わって秩父方面への下りに入ると、S660が加速。

 徐々にランエボは追い詰められていく。

 小川からの上りは四駆のランエボに分があった。だが、下りに入った途端、S660が差を詰め始める。

 古嶺神社の連続ヘアピンに突入。

 木々の隙間から、S660の九重拓洋の目的地、秩父市が見え、両神山もそびえている。

 タイヤを溝に引っ掛けながらコーナーを曲がる。

 ランエボが曲がりきれず、膨らむ。

 その間にぶち抜いて終了。

 先行後追いバトル。

 先行車が追走車に追い抜かれたらそれで終了。

 基本的には、先行が追走を千切ったら先行の勝ちで、千切れなければ前後を入れ替えてもう一度と言うのが、先行後追いバトルなのだが、時に追走が先行を追い抜いて終了という場合もある。

 定峰峠を下り切り、道端に車を止める。

「ミットシップの軽スポが凄いのか、中身が凄いのか、見事に負けた。この前、S2000とやった時も、先行で千切れず、最終コーナーでスピンしちまった。」

「いや、そちらも凄いです。登りでは、歯が立ちませんでした。」

 朝倉のBRZ、飯田のスイフトスポーツが降りてくる。

「負けた負けた。」

 と、朝倉にランエボのドライバー、須川潤一が言う。

「いや、公平に見て引き分けでしょう。登りでは、辛うじて着いては行けましたが、1つミスったら千切られてました。」

 九重拓洋は頭を掻く。

「そういえば、須川さんが先日追われていたホワイトインパルスとやりあったらしいな。碓氷峠で。」

「はい。EK9とやりあって、勝ちました。」

「えっ?」

 その場に居る全員が言葉を失った。

「今なんて?」

「EK9に僅差で勝ったんです。夜の碓氷峠で。」

「勝った!?」

 九重拓洋は頭を掻く。

「何度も何度も、勝負を仕掛けて、夜の碓氷峠でバトルして、最終コーナーで向こうがアンダー出した隙に抜いて、勝ちました。」

「怖くなかったのか?」

「最初は怖かったです。でも、途中から怖さはどこかへ消えてしまいました。」

「凄いなそれにしても。」

 と、朝倉は言う。

「峠だからだろう。サーキットでは、タイプRに軽スポじゃ勝てないよ。」

 須川は負け惜しみを言うが、

「その通りです。勝てたのも奇跡に近いです。」

 と、九重拓洋はそれに同調した。

「まっ、車の中身や、車を操るドライバーのテクニックも影響するけどね。」

 

 定峰峠から秩父市内の武甲温泉に入りに行き、気が向いたら秩父市内を軽くドライブして帰る。

 本当なら今日が、ホワイトインパルスのEK9とのバトルだった。

 次に相手をするのはDC5インテグラタイプRだろう。そして、最後にやり合うのがS2000AP1と言ったところか。

 武甲温泉に着いたのは昼近かった。

 そのため、先に昼食を食べてから温泉につかる。

 温泉につかって昨日の事を思い出す。

 白いEK9シビックタイプRと白黒のパンダトレノ。

 そして、S660が真っ暗な碓氷峠を駆け登り、最終コーナーでEK9を追い抜いた。

 だが、須川さんの言う通りだ。

 もし、サーキット走行だったら勝てなかっただろう。

 それでも、未だに高揚感に襲われている。

 越えられなかった碓氷峠を、初めて越えた時が、ホワイトインパルスに初めて勝った時でもあったからだ。


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