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純白のSと共に  作者: Kanra
プロローグ
5/435

赤城の山

 赤城山の方へ頭を向ける。

 GTRが先頭だ。

 いい走りだ。相当、あの車で走り込んでいるのだろう。加えてこちらは、以前のNワゴンで数回、赤城山を走っているがS660では初めてだ。

 FFのNワゴンとMRのS660は感覚も違うだろう。慎重に行こう。

 赤城山には、前橋市内から入るメインストリートの他に、大胡の辺りから入る細い裏の道がある。今、走っているのは細い裏の道だ。

 三夜沢赤城神社を過ぎ、山道へ入る。

「Nワゴンで散々走った挙句、ブレーキをぶっ壊したんだ。お前は登れるか?純白のS。」

 GTRが一気に山道へ突入。

 俺のS660も突っ込む。

 キャンプ場の脇を抜け、最初のヘアピン。GTRのラインをカバーして登れ!対向車に注意しろ!

 速いペースで登っている。

 Nワゴンのような普通の軽では、この段階で悲鳴を上げ始めるがS660はGTRについて行っている。

(凄い。ただの軽じゃない。坂口さんにも見せたかった。この純白のSを。)

 しかし、MR車はオーバースピードでコーナーに突っ込むと重心のある後部が外に膨らんでオーバーステアになる上、ブレーキングで前に荷重をかけても、駆動力を強く掛けてもオーバーステアになって対処が難しくなる。要するに限界以上の事をするとスピンしてしまう。

 それは、S660でも同じだ。

「おっと!」

 危ない。一瞬、スピンしそうになった。

 ちなみに4WDのGTRにも弱点はある。フロントが重い。

 スーパーフロントヘビーは、アンダーステアとフロントタイヤの熱ダレを誘発させる事がある。その様子は、漫画「頭文字D」でも描写されていた。

 赤城の裏の道は勾配もきつく、GTRも時折、重たい車体に苦戦を強いられているようだ。

 もし、この2台を言葉で表わせと言われたら、こう表現する。

(GTRは獲物を狩る熊。S660は山を越える渡り鳥。)

 純白の翼があるのなら、この車は空へ飛んで行きそう。

待避所でGTRが道を譲った。前へ行けと言う事か?

「なら、飛べ!純白のS!」

 BGMの水樹奈々「TESTAMENT」も高らかに、その次の待避所で赤のホンダ・インテグラと、トヨタのプリウスとすれ違う。

 この道の狭さにビビっている様子から、観光客だろう。

 かなり山を登ってきた。木々の隙間から、眼下に前橋市と高崎市、そして関東平野が見える。こうして走っていると、本当に純白の翼を広げて山を越える渡り鳥になった気分になる。

 GTRもついてきている。

 細く曲がりくねった赤城山の裏の道は、単独で走っていても激闘を強いられる。Nワゴンで登るのは息が切れたが、S660は驚異的な機動力をフルに発揮して登っていく。

 やっと、曲がりくねった区間を抜ける。

 後は、長七郎山を眺めながら、赤城山の内輪山を降りて行くゆるやかな区間。

 赤城山はメインストリート側ではないこちらの裏の道から登っていくと、景観の変化に圧倒される。

 相変わらず道幅は狭いが、曲がりくねった区間よりはましだ。

 そして、少し走ると道幅は広がり片側1車線になる。

 もう、山登り。いわゆるヒルクライムは終わりだ。

 登りきった所にバーベキューホールがある。GTRと共にそこに入る。

 ここは、かつてのケーブルカーの駅で、今はバーベキューホールになっている。

 ここでGTRの主が誰か分かった。

「まさかS660に乗っているとはな。九重。」

「野枝!お前かGTRの主は!」

 野枝。彼は高校時代の同級生だった。

 あまり話はしなかったのだが、こうして再会するとは。

「鉄道好きだったお前が―。」

「もう鉄道好きからは身を引いた。鉄道じゃ食えねえ。」

「それで、走り屋に転属ってわけか。しかし、純白のS660とはなあ。」

 だが、やはりあまり話もしなかった相手、あっという間に別のところへ走っていってしまった。

 バーベキューホールでソフトクリームを買い、それを喰いながら景色を見る。

(純白のSに乗る孤独な走り屋って事か。まあ、それも良いかもな。ただ、あんまり飛ばすと事故るし、そもそも飛ばせる腕無いしな。)


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