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純白のSと共に  作者: Kanra
5stage碓氷峠攻防戦
43/435

熊ノ平

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。

 熊ノ平までAE86の横に乗った九重拓洋は、再度S660に乗り、助手席に坂口愛衣を乗せて、坂本宿から熊ノ平まで登る。

 だが、今度は坂本ダムのところで誤って碓氷湖の駐車場に入る側道に突っ込んでしまった。

「道間違えた。も一回。」

「最初からね。」

 再度、坂本宿から登り直す。

 アプト線の一号トンネルを通過した時、後から白い影が迫ってきた。

「こんな時に―。」

 それは、ホワイトインパルスのEK9だ。

 それに付け加えて、碓氷峠の雨は強くなり、霧までかかってきた。

 視界が全く効かない。

 坂本ダムを通過。EK9が迫ってくる。

「このまま熊ノ平まで先行しなさい。逃げるな!」

「そんなこと言ったって―。」

「殺すわよ?」

 S660とタイプRでは、圧倒的にタイプRの方が勝っている。逃げ切るなど無理だ。

 それでも、S660で先行させられる。

 まもなく碓氷第3橋梁。

 だが、碓氷第3橋梁が見えにくい。

 雨と霧が、その姿を隠したのだ。

 しかし、同時にそれは視界不良と言う事でもある。

「対向車来ないよ!派手に行け!」

 思いっきり攻め込むめがね橋駐車場の直角右コーナー。

 サイドミラーに一瞬、後方の水しぶきと、EK9が写った。

 再び、アプト線の跡が近付いてくる。

「さっき止まった第5橋梁来るよ!」

 何も見えない状態だ。

(溝の感触って言っても、右コーナでやったら死ぬ。使えるのは左コーナーだけ。次のコーナーは左。)

 だが、溝という物の無い所。

 九重拓洋は道路上の轍と水の流れ、僅かに見えるセンターラインを頼りにして必死にラインを取る。

 第5橋梁の所も狭いS字。

(さっきのタクミは進入でスピンした。おそらく、荷重移動に失敗したオーバーステアによるもの。)

「さっき、タクミはオーバーステア。荷重移動をうまくやって!」

 だが、一瞬、コーナー立ち上がりの時、霧の隙間から、第5橋梁の先のトンネルが見えてしまった。

 それと同時に、車が外へ膨らむ。

「アンダー!アクセル戻して!ゆっくり!」

 だが、S660はセンターラインの上。次のコーナーでインから入る状態だ。

 アウトからEK9が抜きにかかる。

 前に出られた。

「前に行かれたからには、それを活用して!EK9のラインをなぞるのよ!」

 直ぐに、次の碓氷第6橋梁。

 ここは、第5より道幅の広いS字。

「出口重視でライン取りして。1つ目の出口でアウトに行かないように。」

 また霧が濃くなって来た。

 先が見えない。

「先が見えないんだったら、前のEK9のラインをなぞる!」

 EK9は1つ目の出口でインに付いて、次のコーナーに突っ込む。

 九重拓洋もS660をそこへ持っていく。

(よし。アンダーもオーバーも無い。ニュートラルステア。このまま、EK9のラインを行け。)

 第6橋梁が近付く。

「いいぞタクミ!自己ベスト更新中!もうすぐ熊ノ平よ!」

 熊ノ平手前の長いストレートに突入。

「この先きつい右。若干の鋭角よ!」

 コーナーに入る。

(スローイン・ファーストアウト。クリッピングポイントは、コーナー中心より奥。)

 だが、ここでもアンダーが。

「2回目よアンダー!しょうがない。霧で見えないし、ここは自分の運転では初めてだからね。でも事故った時は、理由にならないよ!」

 コーナーを抜けると、ここから熊ノ平まではアルファベットのMを書くようなルートである。

 1つ目。Mの右側縦線に入る形で、右直角コーナー。

 次に、左鋭角からS字の複合。

 最後にMの左側立線から抜けて、熊ノ平駐車場に入る。

 この区間で、EK9にはかなり差をつけられていた。

 だが、横に坂口愛衣を乗せて走った区間では、自己記録を更新した。

「よし!じゃあこの後は、私がハチロクで引っ張って、ここまであがるわよ!」

 


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