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純白のSと共に  作者: Kanra
36stage群馬湯けむり公道レース
401/435

予選タイムアタック

この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。

公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。

作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。

自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキット及び、筑波サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。


 拓洋の前を先行する愛衣を含む集団は、固まっていた。

 レイブリックNSXを先頭に、ARTA、大山神威、MUGEN、最後尾に愛衣のS2000GT1だ。

 愛衣は、隙を見てMUGENの前に出て、大山神威の後ろに着こうと狙っている。

 チームメイト同士の争いにも見えるのだが、愛衣の出場しているクラスBは、この集団には愛衣だけであり、仮にMUGENを抜いても、集団の先頭に立っても、愛衣の順位に変化はない。

(浅間が綺麗だことで。)

 と、愛衣は思う。


 一方で、拓洋は国道292号のダウンヒル中。

 坂野がクラッチを滑らせてスタートに失敗したため、織田と塚町と拓洋の三つ巴戦になろうとしていた。

 拓洋の集団には、クラスBがもう1台いたが、こちらは完全に出遅れて単独走行状態だ。

 メロディーラインに差し掛かる。

 本来は草津温泉方面行きの車線に施されているため、レースで反対車線側を走ると、「草津節」が逆再生される上、レーシングスピードで走っているので、異音がするだけだ。

 メロディーラインを通過し、先頭の織田A80スープラがドリフト。

 塚町もドリフトする。

 拓洋はグリップでクリア。

 その先は、農産物直売所の高速右コーナー。

 織田、塚町両者共にドリフト。

 拓洋もここではゼロカウンタードリフトを決める。

(甘いね。ドリフトの大会ならそれでも良いかもしれないが、GTの世界では、そうはいかないものだって言ったのを忘れたのか。)

 拓洋の真後ろに、坂野が迫ってきていた。

(行きたけりゃ行けや。)

 と、拓洋は思う。

 国道292号と、浅間・白根・志賀さわやか街道の交差点が迫る。

 ここでのブレーキング勝負で、坂野が拓洋のインに入り、拓洋のラインを潰した。

 坂野、ここで、拓洋をオーバーテイクである。

 坂野は更に、織田に迫る。

 だが、拓洋はこのとき、塚町をオーバーテイクしていた。

 塚町はオーバースピードでアンダーステアを出し、派手に失速したのだ。

(プラクティスの段階からレースは始まっている。そして、予選で更に激しさを増し、決勝では何が起こるか分からない。そこに公道レースのおもしろさがある。)

 と、拓洋は思いながら、浅間・白根・志賀さわやか街道を突き進む。

 浅間・白根・志賀さわやか街道に入ると、道幅が狭くなる。

 国道292号の道幅は、皆野寄居有料道路程の道幅だったのに対し、浅間・白根・志賀さわやか街道は定峰峠程の道幅だ。

 しかし、この程度の道幅のセクションは、軽量で小回りの効くS660のような軽スポーツカーにとって本領発揮の場でもある。

(かと言って、突っ込みすぎると建物に体当りだ。ガルパンの「家の店がぁぁーーーーーーーっ!」になる。)

 と思いながら、拓洋は織田を抜こうと考える。

(どうせ、織田さん塚町さんは、俺の戦略知ってんだろうからな。あれこれ隠さねえで、行ける所で行ってしまえ。)

 と考える拓洋。しかし、拓洋のやろうとしている変形溝走りが出来るのは更に先の区間だった。

 拓洋がさっさと前に出たい理由、それは、坂野を一度でいいから抜いてやろうと考えているからだ。

(愛衣をスピンさせやがって。大山さんに敵撃ってもらったけど、俺からも一発かまさねえと、腹の虫がおさまらねえんだ。あんたの面に、泥じゃなくって、堆肥塗ってくれる。最も、この辺の畑に突っ込んだら、嫌でも泥まみれになるうえ、キャベツ代全額弁償って話になるんだがな。)

 木々の隙間から浅間山が見える。

 全日本ラリーでもお馴染みの景色だ。

 そして、拓洋は危険な香りを感じた。

 それは、後ろを走る塚町、そして、前に居る織田である。

(しまった!塚町さんは―。)

(ラリードライバーって事を忘れたの?バイバァーイ!)

「げぇっ!」

 アウトサイドから塚町に潰される格好になった拓洋。やむ無く、塚町の後ろに引く。

 そして、この先は、変形溝走りも可能な区間。

 だが、変形溝走りはラリーで使用されるテクである。

 そうなると、塚町と、織田もまた、同じ手を使ってくる。

 織田が変形溝走りを慣行すると、塚町も同じ事をする。

 そうなれば、拓洋も使用せざるを得ない。

「やっちまった。こりゃぁ、愛衣に後で怒られちまうなぁ。」

 と、拓洋は溜め息を着いた。

 だが、織田と塚町について行く事は継続する。

(諦めたら、殺されちまうよ。諦めるものか。)

 と、拓洋は思い直した。

(岩井堂のヘアピン。その手前はツインリンクのダウンヒルストレートのようなコーナーだ。ここでのブレーキング勝負にかける。どうせ、その先のヒルクライムで抜かれることは目に見えているんだが、それでも、使える手は使わねえわけには行かねえだろ!)

 拓洋は岩井堂で再度、織田と塚町の前に出る事を考えた。

 ここは、下り坂のストレートの突端部に僅かな登り勾配の後、ヘアピンとなるため、激しいブレーキング争いになる。

 しかし、軽量で小型のS660なら、突っ込み勝負やブレーキング勝負となれば車重の重いA80スープラに対して、断然有利だ。

 岩井堂手前の左コーナーを抜けると、ここからダウンヒルストレートだ。

 一気に突っ込む。

 そして、ヘアピンが迫る。

 織田のインサイドに、塚町が飛び込もうとしたが、そこには既に、拓洋のS660がいた。

 ラインを潰された塚町は挙動が乱れる。

 織田がブレーキング。

 それに一歩遅らせて、拓洋もハードブレーキングしながら、ドリフト。

 これで、拓洋が織田の前に出る。

 挙動を乱した塚町はヘアピンで360度スピンして失速。

 織田もヘアピンでオーバーランしかかって失速。

(よし!)

 と、拓洋は思ったが、坂野の姿が無い。

 坂野は拓洋の3秒前に行ってしまっていた。

 ここから、拓洋が坂野に追い付くのは、至難の技である。


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