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純白のSと共に  作者: Kanra
36stage群馬湯けむり公道レース
400/435

予選の朝

この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。

公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。

作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。

自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキット及び、筑波サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。


 予選もまた快晴。

 拓洋は朝風呂に行く時、それを感じた。

(今日は、いや、今日も明日の決勝も晴れる。)

 朝の光泉寺の石段を湯畑に向かって降りる。

「あれっ?」

 と言ったのは、松風が石段のたもとで待っていたからだ。

「朝風呂っしょ?」

 松風が言う。

「ああ。今日は、千代の湯に―。」

「時間湯はやってないよ。」

「分かっているんだが、なんとなく、な。」

 湯畑の脇を歩く。

「三条先生は?」

「ホテルの風呂で朝風呂入るって。私は、行ってきなさいって言われて―。」

 湯畑を流れ落ちる温泉の水音を聴きながら歩き、千代の湯に入る。

 湯上りには、三条神菜が「持っていけ」と言ったらしい、コーヒー牛乳を湯畑横の足湯に入りながら飲む。

「九重。ちゃんと、止まれる車にした?」

 と、松風が聞く。

「ああ。ブレーキは航空機にも使用されるパーツも組み込んだし、ブレーキパッドも強力なやつを入れた。それに、万が一ひっくり返っても、命だけは助かるようにもした。」

 腕時計に目をやると、拓洋は宿に戻る時間だった。

「じゃあ、俺は車の方へ行く。」

「寺の石段まで、一緒に行かせて。」

 そう言われたので、一緒に歩く。

 光泉寺の石段のたもとで、愛衣が待っていた。

「見送りはここまでにしてくれ。」

 と、愛衣と合流して、拓洋は言う。

「分かった。頑張ってこいよ。」

 松風から、愛衣に視線を持って行く最中、拓洋の目付きが、攻撃的になったのを、愛衣は見た。

 そして、松風もそれに気付いた。

(中学の鉄マニ時代から変わってない。自分の求めるもの、自分の熱中するものになると、普段の頼りなさ気ながらも優しい目から、ナイフのように鋭く攻撃的な目になる。お供の女の子にいつも従って生きるのも、変わってない。お供の女の子を影から支えている。だから、お供の前に出られない。出ようとしても、出た後の事が解らず、結局、お供の女の子の影に入ってしまう。)

 と、松風は石段を登っていく拓洋を見送りながら思った。


 予選は1周。

 1グループ3~5台程度の集団でスタートしてアタックをかける。

 愛衣のS2000の次のグループで、拓洋のS660がスタートだ。

 愛衣のグループには、大山神威のNSXもいる。その他、ARTA、レイブリック、MUGENと、愛衣以外の全車がNSXだ。

 一方、拓洋の方は、カルソニックGTR、あさぎりレーサーLC500、織田学A80スープラ、塚町南和子A80スープラ。

(まぁたスープラ艦隊かよ。あさぎりのレクサスは俺と同じBクラスで、それ以外はAクラスっと。)

 前に居るカルソニックGTRに視線をぶつける。

(坂野さん。出来うる限り食らい付きますよ。覚悟しといてください。予選でも、決勝でも。まあ、そのためには、レクサスもぶっ潰さねえとだけどね。)

 九重拓洋がカルソニックGTRのテールを見ていた時、愛衣含むグループがスタートした。

 ほどなくして、拓洋のグループもスタート用意。

 カウントダウンが始まった。

「3・2・1・GO!」

 日章旗が振られた。

 しかし、坂野が目の前でクラッチを滑らせて出遅れた。 

 GTドライバーの多くは、ローリングスタートに慣れており、グリッドスタートではクラッチを滑らせ気味になってしまう事が多い。

 失速した隙に、織田、塚町がサイドからオーバーテイク。

 拓洋も、塚町の後追いでオーバーテイクを仕掛ける。

 あさぎりのレクサスは?

 レクサスは、エンストして出遅れだ。

 この結果、序盤は、A80スープラが2台、S660、そして、カルソニックGTRの4台での争いとなった。


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