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純白のSと共に  作者: Kanra
プロローグ
4/435

GTR

 傷心旅行と称して、俺は群馬を目指して車を走らせる。

 青空の下、国道17号バイパスを突っ走る白のS660は絵になるだろう。

 前に乗っていたのも同じホンダの車。青のNワゴンだった。

 走りに関してはS660の方が良い走りをする。

 しかし、車内の居住性に関してはNワゴンが勝っていた。

 まあ、車中泊をするわけでもないから、これでもいい。

 今日走るのは赤城山の山道。そして、赤城山南麗を走って、わたらせ渓谷鉄道の水沼駅にある温泉に入る。

 熊谷から、上武道路を進むと、後ろをGTRが走っているのに気付いた。

 R32日産・スカイラインGTRだ。

 こいつは元々4WD。トランスミッションは5速MT。

 まあ、ギアの数では6速MTのS660のほうが勝ってはいるけど、AT車では意味がない。

 ちなみに埼玉県内の上武道路は片側1車線。

 前を走るのはトロ臭え軽トラ。

 50キロ道路なのに30キロで走られては後が溜まったものではない。

 GTRはそれに気付いているため、俺を煽るようなことはしないが、GTRのようないかにも「早いぞ!」と言う雰囲気を出す車が後に付いていては、こっちは嫌になる。

 かと言って、こっちも前の軽トラを煽る訳にも行かず、嫌々このまま進む。

 だが、この軽トラによる渋滞がどんどん伸びていく。

 徐々に、GTRから「煽れ!」という雰囲気が出てくる。

 GTRの後は大型トラックの車列。GTRにとってもこれは嫌だろう。

 上武大橋を渡る直前、軽トラが退いた。

 その瞬間、アクセルを踏む。

 すると、まるでダムの大放流の如く、詰まっていた後続車が一気に加速を始めた。GTRの後ろから津波のように押し寄せるトラックの群れを振り切る。

 群馬県に入ると、二車線になる。

 GTRが一気に俺のS660をぶち抜きにかかる。

 お互い、いいスピードで走っている。

 晴れ渡った空に、赤城山が微かに見える。

 冬場なら、埼玉県内からもその姿が見える上毛三山だが、夏は群馬県内まで行かないと見えない。

 群馬の奥地へと行くと、どんどん赤城山が大きくなってくる。

 東武伊勢崎線の線路を越える。GTRも一緒だ。

(ふん。いいペースで走ってるな。)

 と、言うような雰囲気がGTRから漂ってくる。

 信号待ちで横に並ぶ。

「どこまで行くんだ?」

 と、GT‐Rのドライバーに言われる。

「赤城山へ。」

「一緒だ!一緒に走るか?」

「はい。付いていけるところまで!」

 純白のS660と、グレーの3代目日産・スカイラインGTRが一緒に、同じ場所を目指して上州路を走る。

 BGMも、さっきまで悲しげな曲にしていたが、ここからは少しテンション高めに行こう。

 せっかく、GTRが仲間に加わってくれたのだから。

 それも、GTRの中でも俺が一番好きなR32スカイラインGTRだ。


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