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純白のSと共に  作者: Kanra
35stage禁断の峠 S2000 vs S660
390/435

大血川

この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。

公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。

作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。

自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキット及び、筑波サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。


 釣堀跡が見えた。

 ここは、釣堀があったのだが、今は閉業してしまった。

 が、駐車スペースがそのままになっている。

(橋の先のシケインに膨らみがある。そこに押し込んで、抜く。)

 釣堀手前の左コーナーでドリフトを決めるS2000。だが、拓洋はグリップ。

 橋の手前の駐車スペース。

 ここも使用して、拓洋は、自分の姿を、愛衣のミラーに写してプレッシャーをかける。 

(効き目は無いとは思うが―。)

 と、拓洋は思う。

 橋が見えた。

 S2000の後に、S660を隠す。

 車1台が渡れる橋を一気に渡り、目の前にシケイン。

 左コーナーのアウト側に膨らみがある。

「ガッ!」

 バンパープッシュだ。

「ちっ!」

 坂口愛衣は、派手な舌打ちをする。

 なぜなら、S2000に限らず、後輪駆動はターンイン時の安定期に入る直前にバンパープッシュを喰らうと、オーバーステアになり、一気にバランスを崩す。後輪駆動にとって、これは喰らうとキツイ物だ。

 拓洋はそれを確信犯で実行したのだ。

「ドカッ」と、クラッチを踏み込む愛衣は、スピンしかかるのをリカバリーしたが、その間に、S660が前に出た。

「あのさぁ。」

 愛衣が怒った。

「後輪駆動にとって、今のはキツイって知ってるハズよねえ。」

「知らねぇよバァーカ!」

「ああっ!?」

 一気にS2000が、S660に迫ってくる。

「さっきの礼だ!」

 直線でリアにぶつけられる。

 挙動を乱す。

 しかし、これは単にど突いただけ。見方を変えれば、ただの追突事故、或いは煽り運転である。しかも、追突したS2000は、衝撃を和らげるため、減速しながら追突。

 損傷は無かったが、単にS2000は失速した。

 沢を渡る小橋を飛び越えるように渡ると、左コーナー。 

 拓洋はグリップ。愛衣はドリフトで拓洋に迫る。

 2つのスキール音が峠に轟く。

(これこれ。この感覚。2台で派手に走る。私にとって、これ程まで最高なデートは無い!死ぬほど気持ちいぜぇ堪んねえ!)

 愛衣はニヤリと笑いながら、S660に視線を飛ばす。

 左コーナーを抜けると、道幅が広がり、すれ違い可能な状態に。

 こうなると、2台並んでサイドバイサイドになる場面が増えるが、先行する拓洋は、小さなコーナーの度にラインを変えて、S2000を前に出さないようブロックするから、接戦が続く。

「私、楽しいよ!こうして、拓洋と走っているときがね!」

「―。」

「聞こえてる?」

「俺に、恋愛感情というものを期待するのは間違いだね。」

「えっ―。」

「お前は、ライバルだ。最愛のな。」

 右コーナーでも、センター付近を走るS660。

「でもね、鼻面をちょっと入れてしまえば―。」

 油断した。

 S2000が、S660のイン側に鼻面を入れていた。

「この状態で立ち上がったら、どうなる?」

 当然の結果。

 S2000が一気に加速し、S660をオーバーテイク。

「付いてきなさい!」

「上等だ馬鹿野郎。」

「バカバカ言うな!」

「うるせえ。」

 S2000はドリフト主体。

「言っとくけど、私は若干オーバーステア傾向の方が好みってことだからね。アレやって万一があったら、拓洋も道連れにして、一緒にあの世へGoToトラベルするからね。」

「殺すな!」

 そして、拓洋と愛衣の目に、国道140号の街灯が見え始めた。

「ねえ。今夜、付き合う?一晩中。」

「あっけなく終わられては嫌なんだよ。最終コーナーでの結果次第でな!」


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