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純白のSと共に  作者: Kanra
35stage禁断の峠 S2000 vs S660
388/435

掟破り!

この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。

公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。

作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。

自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキット及び、筑波サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。


 先行してゴール地点に来た拓洋陣営の早見、大林、大山神威。

 愛衣陣営の真穂、知恵。

 そして、坂口正孝と九重利夫。

 それぞれ、停止可能な場所に車を止める。

 真穂はトランクから、チェッカーフラッグを用意していた。

「予想はどうだ?」

 と、正孝が言う。

「うーむ。何とも言えない。が、残念だが拓洋は愛衣に勝てんだろう。」

「理由は?」

「あいつは、拓洋は確かに、この峠を走っているし、攻めている。だが、愛衣は、免許取ってここと、正丸、奥武蔵で訓練していた。経験の差で言うなら、愛衣は拓洋の何倍も上手だ。実際に、拓洋にこの峠の一部について聞いた。そして一部で、間違えた解答を返した。」

「なら―。」

「あいつは、コースを覚えては居るが、完全に把握しきれていない。そうなれば、プランが崩れる。プランが崩れれば、動揺する。動揺が焦りを生み、それがミスを生む。」

「経験の差でミスって負けか。どこぞの海老原のようだな。」

 と、利夫と正孝が話す。

 

 そして、バトルは利夫の予想通りであった。

 拓洋は2ヶ所のトンネルでミスを犯した。

 そのミスを取り返そうとしたのだが、プランが崩れてしまい、再度、プランを構築しているのだが、構築し終わったときには、すでに、仕掛けるポイントが目の前であり、またもミスをすると言う状況だった。

 ただ一つだけ、はっきりしているのは、どんな状況であっても、寺への小路の交差点のコーナーで仕掛けるということだった。

 眼下に、寺の灯りが見えた。

 無人の寺になって久しいのだが、外灯が1つだけ灯ったままになっていて、これが灯台のようになっている。

(外灯が見えた。かなり山を降りてきている。)

 と、拓洋は思う。

 左コーナーを抜ける。

 

「今、バトルは寺の小路のところだろう。あいつがS2000の後ろにいたとしたら、小路へ向けてジャンプして追い越すことを考えているはずだ。」

 と、利夫が言う。

「ジャンプでか。かなり危険な事をするな。一歩間違えれば、足をやる。愛衣も、その小路で助かったが、車の足はオシャカだった。」

「ジャンプで仕掛けるとして、問題はその先だ。あいつ、この場所のコースレイアウトをこう答えた。「ダウンヒルの場合、寺の小路と合流手前に右コーナー。合流後、左コーナー。」って。だが、その先の右捻り込みは―。」

「答えずか?」

「ああ。いや、俺の問題の出し方が悪くって、その先を答えなかったのかもしれないがな。」


 利夫の不安は、拓洋には届かない。

 だが、今の拓洋が唯一確実に仕掛けられると確信しているのは、寺の小路付近だった。

(ここは、小路と合流手前に右コーナー。合流後、左コーナー。問題は、左コーナーでサイドバイサイドになれるかだ。じゃないと―。)

 拓洋は唾を飲み込む。

 寺の小路の交差点手前の右コーナーのガードレールが見えた。

「私が落ちた場所よ!ここから落ちた!」

 愛衣が言う。

「でもお前は生き残っている!そして―。」

 拓洋がS660を僅かにオーバースピードで突っ込ませる。

「バカ!何する気!?」

 愛衣がサイドミラーを見ながら言う。

「飛べぇ!」

 ガードレールが無くなった場所は、10cm~20cmの段差。高いところでも30cm程度。

 ここからジャンプしたのだ。

 愛衣はその先の左コーナーにアウトサイドから入るため、ジャンプするラインにいなかったのだが、拓洋は躊躇いなくジャンプした。

 そして、着地地点から、左コーナーが始まっていた。

 着地したショックでそのままドリフトに持ち込む拓洋の真後ろに、愛衣がいるが、左コーナーのアウト側から、S660の左リアにフレンチキスする。

(予想外にいいポジションだ。ならば。)

 右の捻り込みコーナーが迫るのが拓洋の目に見えていた。

 拓洋がドリフトで、インサイドを閉める。

 アウトへ膨らむだろうと予想した愛衣は、インサイドからオーバーテイクを仕掛けようとしたのだが、それが裏目に出た。

 愛衣は進路を塞がれ、前に出られない。

 拓洋、オーバーテイク成功である。


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