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純白のSと共に  作者: Kanra
3stage天使の怒り
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敵討ち

 雁坂峠を越え、山梨県に入る2台の白い車。

 S2000AP1とDC5インテグラタイプR。

「EK9にビビったかどうかは知らないけど、S660殺しの3台中、2台が同時に出てくるとはね。」

「でも、懲りずにこちらにバトルの場所を選択しろと来た。なら、遠慮せず連中のお膝元、長野県の安曇野サーキットstage2で。」

「自ら死に行くようなものよ。ツインリンクもてぎと鈴鹿サーキットを足して筑波サーキット程度の大きさに圧縮したようなサーキットでありながら、実際には急勾配と急カーブの連続。急な下り勾配を下りきっていきなりのヘアピンコーナーの後はまた登り、そしてヘアピンから緩い下りの後、緩いコーナー。GTRのような重い車には地獄よ。」

「DC5やS2000のような車は?」

「私のS2000は少しきついかもしれないが、ブレーキやタイヤを一新した。中古で買った時に付いていたウンコタイヤにウンコブレーキじゃ話にならない。」

「ちなみに、安曇野サーキットstage2で一番有利な車は?」

「決まっているわ。ミッドシップで軽くて小回りの効く車。」

「まさか?」

「そう。S660よ。」

 中央自動車道に入る。

 S2000AP1を前に、DC5が続く。

「ここで姉妹のバトルは禁止よ?」

「分かっているわ。」

 高速バスの群の後を走る。

 新宿発松本行き京王高速バスが前を走っている。

 京王高速バスは双葉サービスエリアに入るが、こちらはそのまま安曇野ICへ直行する。

 諏訪湖を臨みながら、艶麗トンネルを抜け、松本平に入る。

「S660はここを走るハズだった。走れなくした原因はS660の彼女かどうかは知らないけど、殺したのは彼女じゃない。だから、私達が敵を撃つ。Sシリーズの4代目にして、異母の姉であるS2000が。」

 S2000はホンダが開発したFR車で、Sシリーズの4代目に当たる車だ。

 その後継であるSシリーズの5代目がS660ということになるのだが、正式には、S660はビートの後継とされており、純粋にS2000の後継とは言えないのだ。

 S2000AP1とDC5は、安曇野インターで高速を下りて、今日の舞台へ向かう。

「ミニバンや軽ばっか。」

「人生を諦めた連中の乗る車の代表格しかいないね。」

「人は軽ワゴンに乗ってセックスを経験し、ミニバンに乗って家族と過ごし、そしてミニバンに乗って死ぬ。だから私はNワゴンをハズレの車と言った。」

「そのハズレの車になる?私の後のパレットは?さっきから目茶苦茶な運転してんのよ。」

 DC5の後を走るパレットは、ウインカー無しで交差点を右へ左へ行く。更には煽ってくる。

「ドライバーは女よ。しかもデッカイ音で音楽聴いててうるさい。」

「ガキよ。ハズレの車でもなんでもない。ただのガキよ。」

「それで、こんな奴等ばかりだから、古臭いNA6ロードスターや時代遅れのポンコツに乗ってればモテるって錯覚しているバカが居ると?」

「そっ。」

 前方に安曇野サーキットstage2のゲートが見えてきた。

 サーキットに入ると、受付の後、走行前の点検をする。

 隣りのピットでは、今日の対戦相手であるR34GTRとNA6ユーノスロードスターがいる。

 覗いて見ると、GTRは金髪のチャラ男。NA6はボサボサ頭。

「あんなのにS660が負けたなんて。」

 と、DC5。

「心を乱していたのもあるでしょうけど、信じられない。点検もしないで、女の子達とチャラチャラ。NA6のタイヤ、もう死にかけている。GTRのブレーキもどうなるか。」

「お姉ちゃん。今日のバトルはどうなる?」

「二人死ぬ。NA6もR34も。」

 相手がこちらに挨拶しにきた。

「お二人さん?今日はよろしくー!」

 S2000AP1はその言い方が気に食わない。

「俺達勝つから、終わったらラブホ行こうねえー!」

 NA6がヘラヘラしながら言う。

「バカらし。あんた、タイヤは見た?」

「いやいや!走りゃ車なんてねえ!」

「ザコ。さっさと車並べな。一つ言っておく。やめなさいこのバトル。二人とも、死ぬわよ。」

 S2000AP1は白と青のレーシングスーツに身を包む。

 DC5も、同じデザインのレーシングスーツを着ている。

「女の子がそんな服着ちゃって。」

「行きましょDC5。あの二人、自殺するみたいよ。」

 S2000AP1とDC5インテグラタイプRがピットを出る。

 その後を、黒に金色のラインが入った今にも壊れそうなR34と、真っ赤なNA6が着いてきた。


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