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純白のSと共に  作者: Kanra
3stage天使の怒り
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Nワゴンと後輩メガネっ娘

 ディーラーからの電話で安堵した。

 S660は予定通り1週間で修理が出来る上、費用もそれ程かからずに済むと言うのだ。

 よかった。これで、またS660に乗って何処までも行ける。

 1週間なら3勤務すれば帰ってくる。

 だが、彼女と車のダブルパンチを喰らった俺の仕事振りは酷い有様だ。

 平均売り上げ4万5千円の俺だが、1勤務目は4万ギリギリで仕事を終え、更に、頭のおかしい客や言いがかりに近いクレームを喰らった。2勤務目も同じ状態になって、売上は遂に4万を割り、3万5千円にまで落ち込んだ。

 3勤務目は日曜日。

 土日祝日は客らしい客はおらず、苦労の割に金にならない。

「土日祝日こそ稼げって、それは観光地のタクシーだっつーの。」

 と、ぶつくさ言いながら仕事。

 ちなみに、今回は勤務後、月に一度の集合会議というものがある。これは、事務職やドライバーが集まって管理職から一ヵ月の連絡事項等を聞くものだ。

 この集合会議、時にケンカになることもある。

 実際問題、前回の会議の時、准が大怪我を負ったのに負わせた側に何もせず逆に准が悪いという内容の報告をされ、「准の命をなんだと思ってんだ!」と怒鳴り散らしたし、坂口さんが会社を辞めた時は、一部の管理職に俺が坂口さんの彼氏と誤解されていたために、俺が疑われ逆ギレした事もある。

 後で聞いた話だが、坂口さんは資格を多数持っていたがために、無理難題を押し付けられて欝になる一歩手前で会社を辞めただけだったのだが、その責任を俺に押し付けられたらいい気分ではない。

 勤務終了。

 今日の売上も酷い状態だ。

 おまけに安全評価もAランクを維持していたのに、Bランクへ落ちてしまっている。

 明け番の日が集合会議なので、今日は家に帰らず、仮眠して集合会議に出てから帰る。

 Nワゴンは軽であるが、車内は広く、助手席を一番前まで出して背もたれを倒すと、後部座席と繋がって寝台車のようになる。

 S660に乗り始めてからは、会社の仮眠室で寝ていたが、久しぶりに車中泊をしてみよう。

 靴を脱いで、フルフラットにした座席に横になる。

(俺には、Nワゴンの方が似合っているのかな?)

 と、溜め息を吐く。

 無理矢理眠り、朝の5時半に起きて会社に向い、集合会議だ。

 集合会議の内容はいつもと変わらず、45分で終わる。

 すぐに帰らず、会社の前の自販機でコーヒーを飲んで、カフェインを取って眠気を覚ます。

「新しい車どうしたんだ?」

 と、中田教官。

「いや、恥ずかしい話ですが―。」

 バトルしてぶっ壊した事を隠しつつ、パンクした上、足回りが壊れたと言う。

「新しい車?」

 と聞くのは、女子の後輩ドライバーの兼田瞳子。

「そうなんだよ。こいつ、新車でスポーツカー買ったんだよ。」

 頭を掻きながら、写真を見せる。

「ただ、今、パンクと足回り損傷で絶賛入院中なんだけどね。」

「えっ!?めっちゃカッコイイじゃないですか!」

 兼田は目を輝かせた。

 ああ。俺の彼女もこういう目をしたのかな?

 自分で撮った写真の外に、秩父サーキット走行中の所を撮影された写真と、坂口さんに撮ってもらった写真も見せる。

「レースとか出てるんですか!?」

「いや、サーキットを走っているだけ。レースはまだ。まっ行く行くはやるかもだけど。」

 メガネっ娘で明るく、いつも笑顔な女性。

 ああっ今度はこいつに惹かれそうになっているのは、本命の浮気現場を目撃したからだろうか…。

「でも、完全にレースじゃないですか!この、白い車と並んでいるのとか―。」

 ホワイトインパルスS2000AP1がインから挿しにかかる写真だ。

「違う。俺が下手くそだから、抜かれているだけだよ。」

「あの、今度よかったら、乗せて下さい!」

「ああ。考えとく。車が直ってからな。」

 乗せるとは言っていない。

どうせ乗る奴なんかいないから。

 どうせなら、修理しているついでに、助手席ひっぺがしてそこを荷物積載スペースにしたいくらいだ。

 兼田は、Nワゴンにも乗ったことがある。

 会社の先輩同期後輩とキャンプに行った時、成り行きで、兼田と坂口さんが俺のNワゴンに乗った。

 別に女子が乗ったからと言って興奮はしなかったが、兼田はNワゴンをハズレの車とは言わず、

「この車、かわいいですね。」

 と言った。

 それには何も思わなかったのだが。

 そんなことを思い出している内に、またも成り行きで兼田を修理終了後のS660の助手席に乗せる事になりそうだ。

 なんでこうなるんだし。


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