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純白のSと共に  作者: Kanra
3stage天使の怒り
26/435

秩父

 MK21S SUZUKIパレットの後を走るS660。

 坂口愛衣の家業で使っている事業車じゃ無ければ後ろから突き飛ばしてやりたいが、今、前を走るパレットを運転する車は坂口愛衣が運転している。

 とりあえず、秩父市内のビジネスホテルを押さえた俺は、夕飯を彼女の家で食べていけと言うことになり、彼女の車の後を追って走っている。

 18時30分。

 この時間に、秩父鉄道三峰口駅近くを走っていると、自宅に到着するのは21時を過ぎるかもしれない。

 だったら、秩父市内で一泊してその足でディーラーに行ったほうがいい。

 本来なら、ちょうどこの時間に彼女とのデートを終え、長野自動車道を走って上信越自動車道と関越自動車道を経由して帰路に付いていただろう。

 すっかり暗くなった秩父路を走り、ようやく秩父市内に入る。

 坂口愛衣の家は秩父そばの店だが、かなり大きな店だ。

 秩父鉄道の秩父駅から徒歩圏内で、更に言えば秩父鉄道の線路沿いにある。

 しかし、駐車場が狭いため車で来る観光客は少ないが、それが秩父鉄道を利用する観光客を引き寄せる要因になっている。

「とりあえず、店の駐車場に止めておいていいから。」

 と、言われる。

 彼女は別のところに車を止めていた。

「彼女に煽られ、サプライズで返そうとした結果、皮肉にも浮気現場を目撃し、キレて四つ巴やってクラッシュしてパンク。事情はさっき聞いたけどさ。まったく。ケガ無かったし車もパンクと傷だけですんだから良いけど、九重君死んでたよ。分かる?そのことは?」

「―。」

「車に助けてもらったって、思いなさい。それから、車に感謝しなさい。助けてもらった上に、パンクと傷ですんだんだから。」

 入る前に説教される。

 だが、その説教の感じが、まるでレーシングスクールの教官みたいな説教だった。

「まっ。説教は後。入って。」

 と、坂口愛衣に促される。

 秩父鉄道で乗り鉄していた時、お世話になった店に入る。

「九重君久しぶり。」

 と言うのは、坂口愛衣の父だ。

 地元出身だが、そば屋の婿となる形で今の店を切り盛りしている。

「突然押しかけて、申し訳ございません。」

「良いんだって。車、やっちゃったんだって?」

「ええ―。」

 言いかけたとき、坂口愛衣が俺のクラッシュの事を話す。

「はっはっ。そういうのはな、公道でやっちゃあ行けないよ。愛衣の言う通り、生きていたのが奇跡に近い。浮気現場を見たのなら、ジムカーナごっこでもして逃げりゃ良かったんだ。車はそうだなあ、最低でも下回りを点検してもらいな。」

 ジムカーナごっこもクソも、あのとき、あの場で回転ドリフトぶちかましてその反動で、昇仙峡ラインに向かったようなものだ。

「何か手伝います。」

「良いんだって。君は疲れているんだから。」

「手伝う前に、説教よ。」

 坂口愛衣がクドクドと説教を始める。

 この時間、本当なら彼女と別れて高速道路を突っ走っていただろうが、まさか元同僚に説教されるとは。

「まったく。だいたいね九重君はお人好し過ぎるのよ。それから、頻繁に会わなかった事も、浮気される原因よ。」

 図星だ。確かに、無理すれば彼女に会いに行けたかもしれない。

 そうすれば、多少なりとも浮気を防げたかもしれない。

「まっ。まずはこれ食べて、元気出しなよ。」

 と、お膳が運ばれてくる。

「そばがきの天麩羅。九重君の好物でしょ?」

 と言うのは、坂口愛衣の姉、真穂だ。

 秩父はそばどころではあるが、そばがきを天麩羅にする店は滅多に無い。

 長野でも信州そばを食べた事はあるが、そばがきの天麩羅を長野では見たこと無い。

「お世話になっている上、図々しいかもしれんがちょっと訊きたい。」

「何?」

 坂口愛衣が言う。

「お前、ホントは何してる?秩父の観光協会じゃないとこに居るだろ?」

「あっ―。」

 坂口愛衣は俯いた。

「やっぱり、秩父サーキットか?」

「うん。」

「会社で何があったかは聞かないが、何も嘘言わなくたって良かったのに。」

「知恵のバイト先でもあるから、姉が妹にすがるような感じに聞こえるんじゃないかって・・・」

「何だっていいじゃないか。サーキットで働くなんて、すごいことだと思うよ。俺なんか、ただの走り屋の真似事。やっているのは暴走族と同じ。しかも、彼女の浮気見て車壊してんだ。」

 今日、唯一の収穫と言うと、これだ。

 坂口愛衣は秩父サーキットで働いているということが分かったと言う事だ。

 夕食後、ビジネスホテルまで行き一泊。

 翌朝、俺は自宅近くのディーラーへ向かって出発した。


「そんなわけで、彼。S660はしばらくバトル出来ないね。」

「そっか。」

「ちょっと残念だけど、その間に私達はS660を壊した奴等とバトルして勝とう。」

「うん。EG6なら私のEK9で勝てる。」

「GTRは私のS2000AP1で。」

「ユーロス・ロードスターはDC5でね。」

「もしダメでも、どれか1台で勝てればOKよ。」

「どこでやる?」

「地元のサーキットか昇仙峡ラインが理想的ではあるけど、GTRに勝つにはGTR殺しと言われる場所、安曇野サーキットstage2で。」


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