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純白のSと共に  作者: Kanra
2 stage 白い衝撃君臨
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連絡

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。

 帰宅してS660を見てみると、少し汚れていた。

 先日、1ヶ月点検をしてもらったばかりだが、やはり、今日のバトルのせいか?

 何れにせよ、車が汚れているのは気分が悪い。

 洗車してやろう。

 S660はオープンカー故、洗車機に入れることは出来ないから、必然的に手洗い洗車をすることになる。中には無理矢理洗車機に入れてみたという人もいるが、その結果は察しがつくだろう。

 普段から、タクシーの洗車は手洗いでやっているから、別に苦ではない。

 それに、タクシーに比べるとS660は車高も低いから洗車は楽だ。

 水をドバドバかけた上に、水を大量に染み込ませた綺麗なスポンジで撫でるように洗車する。

 洗車を終えて一息着くと、スマホが震えた。

 少し懐かしい相手からのLINEだった。

「元気にしている?」

 それは、坂口愛衣からのLINEだったのだ。

「元気って言えば、元気だよ。ちょっと酷い事にもなっているけどね。」

 と、返信する。

 本当なら、ドイツのバカ航空会社の連中が吉川准に怪我を負わせた上、ジャパンタクシーを一台オシャカにした事等、愚痴りたいのだが。

「ごめんね。何も言わずに、居なくなっちゃって。」

「会社で何があったかは聞かねえよ。」

「車、新しくしたんだって?」

「ああ。S660って車。色は白だよ。」

「そうなんだ。」

 坂口愛衣の実家は、白石峠を越えた埼玉県秩父市にある。

 秩父市の蕎麦屋が彼女の実家だ。俺は、かつては鉄道好きで、埼玉県を走る秩父鉄道で秩父地方を旅していた。その時に何度か彼女の実家の蕎麦屋に立ち寄った。だから、彼女とは入社前から面識があり、同じ会社に入った時はお互い驚いたものだった。

「今は、また実家の蕎麦屋を手伝いつつ、地元の観光案内所に再就職しているんだ。それで、休みの日はちょっと遊んでいるよ。」

「どんなことしてんの?」

「ドライブよ。」

「そうだんだ。今度一緒に行かない?」

「彼女に怒られるよ。」

 そうだった。

 俺は本命が居る。

 でも、彼女に愚痴ったけど、あまり気分は晴れなかった。まさか、彼女に性的な物を求め始めているのだろうか?

 実際問題、成り行きで付き合うことになり、いつの間にか婚約という事になっている。確かに、長野にいる本命は好きだが、自分自身、納得のいかない部分が多い。

 別に、セックスしたわけでも無いし、そればかりか、未だキスしたことだってない。

 だが、このS660βを買った理由は、彼女以外の奴を乗せたくないと思ったからだ。

 実際、Nワゴンはまだ現役で走れたのだが、俺がバカみたいに攻め込んだ走りをしたがために各所にダメージが蓄積され、最終的にはブレーキを焼き、エンジンブロー寸前まで回してしまったため、やむ無く乗り換えたのだ。

 だったら、また同じような軽自動車でも良いとは思うが、これには俺の性格という面が強い。

 自分で車を持っているというだけでも大変なのだが、会社に新卒で入社した奴等と一緒に出掛ける時、周りを見ると車を持っている奴は皆、それなりの車に乗っている。2代目プリウス、3代目ヴォクシー、S21クラウン、B8アウディー・A4。その中に1台だけ、軽のNワゴン。

 それならまだいいのだが、出掛ける時に車のランク付けをされる事が多いのだ。

 そうなると必然的に、俺のNワゴンは最下位になる上に、周囲からは「外れの車」とまで言われる。そして乗る方も「外れの車は―」などと、運転もしねえでふんぞり返ってヤジを飛ばす。そうなるとこっちも頭に来る。「車出してやっているのになんだ?不満があるのならレンタカーでも借りてテメエらで運転して行けよ」と。

 それに付け加え、車内でエロ話されると余計にイライラする。

 確かに、タクシーの旅客にもそういう話をする奴は居るが、旅客よりたちが悪いのだ。特に、俺の彼女を引き合いに出して、彼女とセックスしたんだろ?って話をされると、一発でキレる。


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