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純白のSと共に  作者: Kanra
2 stage 白い衝撃君臨
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覚醒

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。


自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。

 パラグライダースクールのコーナーを抜けたところからストレート区間。

 S660のアクセルをドカンと踏む。

 ギャラリーしている人が1人いたが、彼がビビって逃げたのが見えた。

「違う。後のS2000も走りを変えた。そうか。こいつ、俺がキレるのを待ってたのか?」

 殺意を感じない。

 そればかりか、煽るのを止め、俺の後で俺の走りの様子を見ているようだ。

 緩いコーナー区間に入る。

 コーナー抜けたらパドルシフトで、一気にギアを変えて加速。

 短い直線で加速し、またコーナーに入る手前で、ギアを落としてエンジンブレーキ併用。

 こいつ、変わっている。S660が、自分より上を行くS2000を振り切ろうとしている。

 思い切って、攻め込んで見る。

 残り400m地点。

 ギャラリーが歓声を挙げているのが見える。

 さっきまでの、痴女お姉さんに精液を搾り取られるブタ男を見るような目ではない。

 ストレート区間に入る。

 やっても余力を残す。この車の限界がまだ分らない。

 緩いコーナーとストレートの区間の後、残り200m地点からゴールまでまたきつめのコーナーがある。

 最後のS字コーナーだ。

「うっ!」

 ケツがふらついた。オーバースピードによるオーバーステアだ!

 危ない。

 危なく、スピンするところだった。

「(俺だって早いんだ!ウワアアアアアーーーーーーーーーーッ)ってなるとガンガン殺意を強めて迫って来る。下手すると、谷底へ叩き落とされる。」

 クソ。

 奴は煽ってキレさせてミスを誘発させる。結果、みんな谷底へ叩き落とされたのか。

 ゴール。

 ゴールで見ていた朝倉さんが歩み寄る。

「最後、オーバーステアにならなければ、完璧だったかもな。」

「いいえ。ずっとビビっていたのですが、パラグライダースクールの辺りで、S2000AP1が、キモ豚をいたぶる痴女に見えてきたのです。こいつが、この純白のS660が、そんな豚にされたくないと思って、思い切って攻めたのです。調子付いて、この車の限界を知らず、そしてFFじゃなくてMRと言う事もどこかに消し飛んで、危なくスピンさせるところでした。買ったばかりなのに壊したら、シャレにならなかったです。」

「車と一緒に、走れていたか?」

「えっ?」

「走り屋かどうかは知らんが、君はFFで走っていただろ?この白石峠を?」

「はい。普段から運転手の仕事をしていて、最近走れていなかったのですが、今日は久しぶりに―。」

「前の青いNワゴンはどうした?君は一人で仲間作らないで、青いNワゴンで走っていたよな。あんな車でよくやると思いながら見ていたが、車と一緒に走っているように感じた。今日はどうだ?」

「まだ、未熟です。ですが、後半ペースを上げたとき、こいつも、S2000を振り切りたいと言ったように感じました。」

「攻めるなら、まずは走り込め。サーキットや難易度の低い峠をな。バトルはその後だ。君の名前は?」

「九重拓洋です。」

「朝倉疾風。よろしく。」

 その時、S2000AP1が接近し、手紙を重りに付けてこっちに投げて来た。

 それを、朝倉が拾った時、S2000AP1はその場で軽くドリフトし、定峰峠への林道へ姿を消した。

「S660βへ。後半の走りは最後のミスさえ無ければ良かった。私が望んだのは全区間で、あんな走りをする物。最後の区間の走りが無ければこんな手紙も挙げなかった。また会いましょう。腕を磨いて。ホワイトインパルスS2000AP1」

 ホワイトインパルスの正体は分らないが、また再戦しようと言うことらしい。

 こんな峠ではなくサーキットでやれよ。


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