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純白のSと共に  作者: Kanra
2 stage 白い衝撃君臨
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白石峠

この物語はフィクションであり、実在の地名や団体とは一切関係ありません。

自動車を運転する際は、実際の道路交通法を守り、安全運転を心がけてください。

 12時頃、日帰り温泉施設を出発。

 ガスは半分以上ある。

 あのメモ書きの事を教えてくれた人達は、内容を聞いた瞬間大騒ぎになり、近くにいる仲間までもギャラリーに駆けつけると言う事態になった。

「俺、この車、買ったばかりだし、白石は何度か走ってますがあまり攻めるなんて事はしてないしそもそも出来ないから、恥じを晒すだけだと思いますよ?」

 と、俺は溜め息交じりに言った。

 だって事実だし、新しい車壊したくないし。

 第一、下手に攻めて対向車に突っ込んだり、崖から落ちたりしたら命は無いし。

 それなのに、指定された特産物販売所へやって来てしまった。

 まだ、ホワイトインパルスらしきS2000AP1は来ていないが、メモ書きの事を教えてくれた人の取り巻きの人がいた。

 彼の車は黄色のZC33Sスイフトスポーツだった。

「対向車が来たら、ギャラリーしている奴等がこいつを光らせる。」

 と、飯田という人が赤い赤色灯や赤いランプを出す。

「バトルじゃないとは言っていますけど、怖いです。」

「ホワイトインパルスってのは、この白石峠や定峰峠、時に雁坂峠や正丸峠等、秩父地方の峠道に現れるようになったS2000AP1、シビックタイプR、インテグラタイプRの事だ。俺達は、白石、定峰、松郷峠をメインに走っているんだが、誰一人、ドライバーの姿を見たことはない。つい最近になって現れ始めたんだ。ウチのエースである朝倉だけが、一瞬チラッとS2000AP1のドライバーの姿を見たんだが、どうも女の子らしい。」

 その朝倉という人は青いZC6BRZに乗っている。

 後の方から白いS2000AP1が来た。

「じゃっじゃあ、頑張れよ。どうやらアレ、先に行って欲しいらしい。えっと、峠に一般車やチャリはいないが、途中から霧が出ているから気をつけろよ。」

 飯田さんは逃げるように、ZC33Sスイフトスポーツに乗ってしまった。

 S2000AP1がクラクションを鳴らした。

「早く行け!」と言う事なのか。

 渋々、俺が先に行く。

 勘弁してくれよ。俺、走り屋の真似事してるけど、怖くて派手に攻める事なんか出来ないんだよ。

 まあいいや。

 とりあえずだ。一発、音楽でも聴きながらアタックしよう。さっきからS2000AP1の殺気が恐い。

 峠に入る瞬間、音楽スタート。Fripsideの「memory of snow」だ。

 ホワイトインパルスとして恐れられる純白のS2000AP1と、純白のS660βが、9月の峠をブリザードの如く駆け抜ける。

 アクセル全開。向こうもガンガン煽ってくる。

 白石峠は狭くて、急カーブの多い峠だ。休日には自転車でアタックする人も多いが、車では話が違う。

 対向車との行き違いに難儀するし、下手にオーバースピードでコーナーに突っ込めば、曲がりきれずに事故る。

 車一台が通れる道幅のストレート。

 対向車は来ていない。

 アクセルを踏んで逃げる。

 S2000AP1も追ってくる。車間距離が全く離れていない。

「馬鹿野郎!こっちを殺す気か!」

 緩い左コーナーの後、右直角コーナーと左直角コーナーの連続コーナーに突っ込む。

「クッソ!やってやるよ!」

 一瞬ブレーキを踏み、ハンドルを切る。

 タイヤが鳴る。

「ああーっ!新品のタイヤがーっ!」

 だが、後のS2000AP1はもっと派手に鳴らしている。バカなのか?どこまでバカなのか?

 森の中の道に入ると、周囲は薄暗くなる。しかも、まだ幾度も登っていないのに、靄がかかりはじめた。

(恐い。霧の峠は、俺にとっては好きなコンディションだが、今は最悪だ。)

 必死になって逃げる。

 道を譲ろうとしたって、早く行けと蹴っ飛ばされるのがオチだろう。

 しかし、S660で白石を走るのは今日が初めてだ。

 Nワゴンで何度か攻めた事はあるが、全く感覚が違う。

 下手な事をすれば死ぬだけだ。

 後のS2000AP1は女の子だって言っていたが、絶対中身は超がつくほどドSな奴に決まってる。きっと地元で男達を下僕にしまくった、スケ番女だ。絶対彼女にしたくねえわ。まっ、似たような年上の女が彼女って奴も居るけどね。今、S660で逃げてる奴だけど。

 靄が濃くなり、霧となった。

 辺りは真っ白。

 濃霧だ。

 フォグランプ点灯。

 ギリギリの走行。このバトルのような物を見ようと地元の走り屋がギャラリーしているが、ギャラリーから見れば、S2000AP1にいたぶられるS660βを見せられているような物。痴女系のAVでも見ている状態だ。

 もはや、さっきからS2000が痴女AVで男をいじめる女王様にしか見えない。

 痴女にいたぶられるAVの豚にされてたまるか。

 この純白のSが!

 峠も終盤になってくる。白石峠の頂上付近は緩いコーナーが多く直線区間も多い。

 ただし、崖沿いだからミスったら谷底へ真っ逆さまだ。

 S2000AP1の加速性能とS660βの加速性能。明らかに上なのはS2000AP1だが、

「頼むぞ。俺はお前を、痴女お姉さんに精液を搾り取られるキモ豚男のように見られたくない。」

 BGMを消す。

「(俺だって早いんだ!ウワアアアアアーーーーーーーーーーッ)ってなるとガンガン殺意を強めて迫って来る。下手すると、谷底へ叩き落とされる。」

 そうかいそうかい。そいつらは、ただのザコだ。

 どうせ横に女乗せて走っていた奴だ。

 ポンコツ初代ロードスターやボロッカスベンツに乗ってりゃ女落とせると思ってるカスだ。


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