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純白のSと共に  作者: Kanra
2 stage 白い衝撃君臨
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ときがわ

 悪魔のような日々がようやく終わり、母親も親父に付き添われて予定より少し早く退院した。

 今日は6連勤明け。この次の日も公休日となっている。

 だから今日は、疲れを取りに埼玉県郊外の日帰り温泉へ。

 都会と違い、田舎は走っていて疲れないし、気持ちがいい。

 ルーフを外してオープンで走る。

 田園地帯を走り、着いたのは埼玉県ときがわ町。

 ときがわ町には日帰り温泉が数箇所あるが、そのうちの一箇所は町を流れる都幾川のせせらぎを聞きながら露天風呂に入れる。

 駐車場にS660を停める。

 10時のオープンと同時に入る一番風呂。心と身体が一気に疲れから解放される。

 今日は檜風呂だ。

 秋の足音が聞こえ始めたときがわの町。

 だが、時折、近くを走る県道のトラックや俺と同じような走り屋の車らしき走行音が聞こえてくる。まあ、それはご愛嬌といったところだ。

 別の客が入ってくる。

 俺よりあまり歳の差は無さそうだ。

「あれじゃない。あれはS660βだ。」

「ホワイトインパルスって奴は何に乗ってんだ?」

「真っ白なS2000AP1だ。凄いってもんじゃない。ありゃ衝撃だ。まず雰囲気にやられる。物凄い殺気を感じる。後につかれたら、さっさと退いた方がいい。(俺だって早いんだ!ウワアアアアアーーーーーーーーーーッ)ってなるとガンガン殺意を強めて迫って来る。下手すると、谷底へ叩き落とされるぞ。」

 白いS2000AP1だと?

 そういえば、それらしき車に遭遇した記憶がある。

 赤城山と足立区で、すれ違った時、物凄いオーラを感じたS2000を。

 S2000とS660では、まるで勝負にならんだろう。

 バトルしたところで、S2000にちぎられておしまいだ。

 また別の客が来る。

 どうやら彼らの仲間らしい。

「表のS660βは?」

「あれはホワイトインパルスじゃないよ。」

 俺の車の事か。

 まっ俺にそんな愛称なんか要らねっつーの。

「いや、そいつ、ワイパーになんかメモ書き挟まってたぜ?」

「なんですって!?」

 俺の車の事だ。俺は慌てて風呂を上がって、身体を吹いて外出すると届け出て駐車場に急ぐ。

 駐車場のS660のワイパーに、確かにメモが挟まっていた。

(貴方と是非、走りたい。ホワイトインパルスS2000AP1。本日13時、ときがわ側の白石峠入口。登り1本。勝負ではない。)

 なんだこれ?

 13時に、白石峠の入口に来いって?

 地図も簡易的な物だが書かれている。

 白石峠の登り口の手前にある特産物販売所を示していた。

 風呂にもう一度入る。

 そこに、メモ書きの事を教えてくれた人もいた。

「どうも、ありがとうございました。」

「いえいえ。えっと、あのS660βのオーナー?」

「ええ。給料貯めて、やっと買いました。」

 頭を掻きながら答える。

「メモ書きにはなんと?」

「それが、ホワイトインパルスって人が13時にときがわ側の、白石峠の登り口で待ってるから、一緒にヒルクライムをやろうって。」

「なんだと!?」


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