AE86のエンジン
この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。
公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。
作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。
自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。
また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキット及び、筑波サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。
実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。
「よく気付いたね。タクミ。」
と、坂口さんが言う。
「そのAE86はただのハチロクじゃない。」
ときがわ町の日帰り温泉で、坂口さんと会った。
今日は、彼女が配達をしているのだ。
「あの漫画見てれば解かると思ったから、敢えて何も言わなかったけど。そのAE86には4A‐Gエンジンではなく、7A‐G5バルブエンジンが搭載されている。分かるっしょ。どこの誰のハチロクと同じか。」
「土屋圭市のドリキン号か?」
「そっ。7A‐Gエンジンは、TOYOTAのハイメカツインカムエンジン7A‐FEに4A‐Gのシリンダーヘッドをくっ付けて排気量を1.8Lまで大きくした。馬力は200馬力以上。S660の3倍近いよ。」
「なんでそんな化け物を―。」
「失礼ね。お化けだなんて。」
「お化けをなんで代車に―。」
「持っていけって言ったのは私じゃない。私が早く気づけばってお詫びもあるけど、持っていけって言ったのは親父よ。どういう意図かは知らないけど、いっそ、これを気に、AE86で自分のドラテク磨いてみな?」
そういって、坂口さんは秩父へ帰る。
俺は温泉に入った後、1本だけ白石峠をAE86で攻めてみる。
雪が少ない冬の白石峠。でも、山頂の堂平天文台付近は雪が凍っているらしい。こちらも、アイスバーンに気を付けて登っていく。
ただのAE86と思っていたが、とんでもない代物だった。
(イカれてる。なんでこんなお化けを代車にするんだ!パレットじゃなくて、なんでお化けなんだ!)
それでも、それなりにAE86を乗りこなし、白石峠を登りきった。
そのタイムは、S660より僅かに速いタイムだった。
「バカな!旧式のハチロクが、新型のS660に勝った!?しかも登りで?」
落ち着け。
定峰を小川側へ行け。
まさか、S660が負けるって話はないはずだ。
定峰を小川側へ降りて行こうとすると、飯田さんのスイフトスポーツが登ってきた。
「あれ?」
と、飯田さんが言う。
「エスロクはどうしたんだ?」
「いや、筑波でA芸能事務所のモーターTVってお笑い企画に騙されて、壊されたんです。今、修理中で、その代車が―。」
「マジか。」
「秩父のホワイトレーシングプロジェクトってところが、直してくれることになりまして、修理終わるまでこいつで―。」
「そうなのか。何にしても、今、降りねえ方がいいぞ。朝倉と須川がバトルしてんだ。BRZとランエボのね。なんならヤるか?俺のスイスポとそのAE86で。」




