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純白のSと共に  作者: Kanra
11stage覚醒 S660
102/435

新人取材のアポ

この物語はフィクションであり、実在の地名、団体とは一切関係ありません。

公道での乗用車による高速・危険走行は生命に危害を及ぼします。

作中での行為は絶対に真似をしないで下さい。

自動車を運転する際は道路交通法を遵守し、安全運転を心掛けてください。


また、サーキット走行に関する描写は、岡山国際サーキット及び、筑波サーキットの走行規程を元にアレンジした物です。

実際のサーキット走行時には、サーキットごとに定められた規程に従って走行してください。


「よしっ。」

 と、俺は言う。

 S660のリアウィングの付け根にはツバメのマークが付いているが、リアウィング自体にも軽いペイントを付けた。

 流れ星のペイントだ。

 このペイントは寝台特急ブルートレインのマークだ。

(今の俺は、昔の鉄道好きだった時の感覚に戻ったようだ。何かを求めてひたすらに鉄路を列車に乗って駆け抜けていた。そして今、再び車に乗って走り出す。まだ見ぬ世界を目指して。純白のSと共に。)

 まもなく、初レースだ。だが、そこに電話が鳴った。

「はい?」

「もしもし。九重拓洋さんの携帯電話でよろしかったでしょうか?私、モーターTVの―。」

(モーターTV?なんだ?)

「この度、レース参加直前の方に、企画の協力をお願いしたくお電話いたしました。九重拓洋さんは、多方面から注目を集めているホワイトインパルスや海老原レーシング、あさぎりレーサーの目に止まっている注目のドライバーとして―。」

(ふーん。それで要件言えよ。)

「それで、新人レーサーとして、番組に出演していただきたいのですが―。」

「ああ、新人レーサーの取材ということですね。分かりました。私としてはOKですよ。」

 

「もし―?ああタクミかぁ。珍しいじゃん。そっちから電話くれるなんて。」

 坂口愛衣は笑う。

「うん。へえ。えっ?モーターTV?うっうん。ええ。いつ?明後日の午後?うん。分かった。まあ、気を付けて。」

 坂口愛衣は気がかりな事があった。

 だが、九重拓洋が初めてレーシングドライバーとして取材を受ける。

 その事の方が先行してしまった。

(これで、あの分らず屋の彼女の両親も認めるでしょう。そうなれば、結婚も確実となって、タクミはもっと速くなる。)

 知恵と大山神威が「彼女と別れろ!」と九重拓洋に言うのに対し、坂口愛衣は九重拓洋のモチベーションを支えるのは彼女の存在であり、それが無くなると九重拓洋は崩れていくと思っていた。

 だからこそ、彼女の両親に九重拓洋を認めてもらいたいと思っていた。

 それ故に、S660と九重拓洋がこの後どうなるかなど知る由もなかった。

 いや、止める事は出来たが間に合わなかった。

 それを伝えたのは九重拓洋が取材を受ける当日、そば屋の手伝いをしていた時、真穂に言ったのだが、

「あのさ、それってもしかしたらお笑いかもよ?」

 と、真穂が言った。

「ちょっと前に、車のバラエティーをネットテレビでやるみたいな話を聞いたんだけど、その企画がA芸能事務所のモーターTVって言っていた。」

「えっ!?」

 坂口愛衣は仕事そっちのけで、モーターTVについて調べた。

「おい。ちょっと待って、こんなことしたら絶対レース出来ない!」

 ドカン!と裏口を蹴破ってガレージに向かう。

「今から行っても間に合わないと思うけど、行かないよりまし!筑波に行くぞ!」

 S2000AP1のエンジンをかける。が、その前に、

「間に合うもんか。」

 と、坂口正孝に言われる。

「刑事訴訟の用意と、家の店への受け入れ用意をしておけ。その手のやつならおそらく保証はされるが、新車買うのは無理だし、おそらく彼の事だ、あのまま乗っていたいと言うハズだ。」

 そういう、父の坂口正孝は、キャリアカーに乗っていた。その荷台にはAE86トレノが載せられていた。

「店の用意、やっとけよ!」

 と言い残し、坂口正孝は筑波サーキットへ向かって出発した。


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