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We are the ONE‼︎〜王の遺伝子〜  作者: ギガス
第2章
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第16話 J・S・M part.1

「ティオー‼︎」


ゼロは急いでティオのもとに駆けつけようとしたが、ミルが立ちふさがったせいで急ブレーキをかけざるをえなかった。


「さっきまで味方だと思ってたのに、なんなんだよあんた。どけよ」

「僕は君に用があるんだ。君、能力者らしいね」

「……え?何のこと……」


ゼロが一瞬の動揺を見せたのをミルは見逃さず、首を、ティオにやったのと同じように右手で掴んだのだ。


「ぐ……離せ……」

「君の能力は、僕の見立てでは魔法の無効化と推測された。どんな魔法も能力も、全部無効化してしまうのではないかな?実験してみるとしよう」

「何すんだ……離せ……」


ゼロは掴んでいる右腕を引き剥がそうとするが、ミルの握力が強いのか、固くて解けない糸のように取れない。


「うん……やっぱり発動しないな」

「クソッ‼︎離しやがれってんだ‼︎」

「でも僕の身体強化は解除されないな。なにか特殊な条件でもあるのか?」

「人の能力で実験してんじゃねえぞ……」


次の瞬間、ミルの足元から半径10mの地面に亀裂が入った。そして中から大きな岩山が姿を表し、ミルはゼロを離すよりほかなかった。そのまま高くそびえ立った岩山にいた2人は地面に落ちたが、ゼロはなんとか受け身を取って着地できた。そこには、うつ伏せで拳を地面に叩きつけるティオがいた。


「大丈夫?」

「そっちこそ。首をやられたのかと」

「もがいている間も頭の中で首を硬くする防御魔法を展開してたのよ」

「そりゃすげえが、どうする?さっきの闘いでこっちはかなり消耗してるだろ。逃げるか?」

「私だけなら逃げられるかもしれないけど、あなたは速く走れないから無理よ。でも今なら隠れられるわね。うまくいけばこのまま逃げられるかも。その辺に黄色い石ある?」


それを聞いたゼロは頷き、ティオの身体を支えてその場を離れる。しばらくした後、岩の下敷きになっていたミルが自力で這い上がり、周りを見る。


「逃げたか……どうやって探そうかな……この山を焼いてもいいが、たかが能力者1人にそんな大げさにやる必要は無いな。だったら」


ミルは両腕を広げて、何かを散布するような仕草をする。この時、ミルは目には見えないが少量の濃い魔力を薄く広く広めていた。


「もう見つけた。全然遠くに行ってないじゃないか。それにしてもこの魔力の量、すごいな。こんな量の魔力、初めてだ。いや、()()()だったかな?」


ミルはすごい量の魔力を感じられる場所まで、まるで網に捕まった獲物を食べに向かう雲のような足取りで歩んで行った。だが、ミルが見たものは想像と少し離れていた。


そこには誰の姿もなく、黄色く光る石が置いてあるだけだった。


「なん……だと……?」


ミルが最も驚いているのは、そこに2人の姿が見えなかったからではない。ミルは先ほど網を張って索敵していた。それで引っかかった物が黄色い石であるのだから、この石に魔力を注ぎ込んだホストは一体どれほどの魔力を持っていると言うのだろうか。


「訂正しよう。こんな量の魔力を持っている奴は、どこを探してもあなたしかいない。となればやはり……」


ミルはもう一度索敵をする。すると、一個だった反応が6個、7個に増えているのだ。余裕こいていたミルもこれには流石に焦りを感じた。彼らを甘く見ていた。今ここで逃がしてしまえば、ゼロは安全なところに逃げられ襲撃できなくなってしまうだろう。


「パキッ」


ミルは音のする方向を見た。枝が割れる破裂音、その方向に向かってミルは全速力で走って行った。だがそこにあったのは、


(クソッ‼︎またこの石だ。どこかから大きく投げたに違いない。ならこの近くにいるはずだ。どこだ。どこにいる?)


ミルはふと空を見上げた。空には6個の黄色い石が浮かんでいたのだった。ミルは笑った。それはもう、この森中に響き渡るほどの大声で。


ーーーーーーーーー


「おいでハンナ」

「キュー☆」


2人はミルの追跡から逃れようと、黄色い鉱石を様々な方向めがけて投げ続けている。


「私がコツコツと貯めておいた黄色い鉱石がうまく撹乱してくれてるわね」

「その黄色い鉱石一体なんなんだ?」

「これは裏市場で半端なく高い価格で取引されるほど珍しい鉱石、ベンタムよ。魔力を半無限に蓄えてくれるの。どこで掘れるかもどうやって使うのかも機密情報なんだけど、私の能力と相性がいいから頑張って集めてるの。ちょうどここはもうすぐ完成予定のエクス急行のトンネル作ってたところだから、ベンタムが取れるって聞いていたのよ」

「こんなにたくさん、一体どこに入れてあるんだ」

「私の魔力ってほぼ無限だから、こんな感じで物を入れられる空間を生成できるの。私オリジナルの魔術で、私にしかできないわね」

「そんなにたくさん貯めておけるほどの魔力……ティオの能力って結局何なんだ?」

「…………」


言うのを渋っていたティオだが、決心を固めたのか、ゼロの目を見て告白した。


「私の能力は、契約者と魔力の交換、譲渡、搾取ができる。この手の甲の紋章は魔力を受信するアンテナのようなものなのよ」


次回投稿は8/9 12:00です

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