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We are the ONE‼︎〜王の遺伝子〜  作者: ギガス
第2章
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第2章プロローグ The King〜王の遺伝子〜

お待たせいたしました。この章は前章以上にアクション要素多めです。最後までお付き合いください。

ちょうどその日は大雨が降っていた。人々にとって、この夏に入りかけている時の湿度の高い天候と気温は憂鬱感を呼び寄せる最悪なものである。そんな日でも朝市は動き、この男、「ジョン・スチュアート・ミル」も捜索のため動き回っている。OXTナンバー10の、入りたてであるが一気に幹部までたどり着いた鬼才と言われている。そんな彼が今銀髪で青色の目の男の子を探している。これ以外にもゼロは特徴的であろうと推測された。


その理由として一つ目に、ミルはゼロがコーカソイドではないかと推測した。エピクロスが提出した航海中の行動、名簿などを調べたところ、ゼロはイギリスの西海岸に位置するコーンウォール出身だと判明した。そこは白人の割合が高く、ゼロもまたその一人だろうと推測された。


エクスは殆どがモンゴロイド、わずかにネグロイドで構成されていて、エクス在住のコーカソイドは少数派とされ、大体がチキュウからの移民とされていた。よって彼らは観光客のような扱いを受け、文明が衰退している割に満足な暮らしをしているという。コーカソイドは珍しい存在なのだ。


コーカソイドで忘れてはいけないのが『エルフ』の存在だ。寿命が長く、魔力も多く蓄えられ、身体的な特徴も良い面で秀でていることから、人間の完全上位互換種と言われている。彼らはほとんど人前に姿を現さず、会ったことや見たことがあるエクス人は極少数である。


話を戻そう。二つ目の理由にミルはエピクロスが運営していた船の乗務員を調べた。大体の乗務員はマキャヴェリの奇襲により、船の残骸とともに海に沈んでいったが、奇跡的に数名生き残っており、その中にゼロを取引した乗組員もいたのだった。其の者は現在、組合(ユニオン)と呼ばれる職業斡旋所にて勤務しているらしいことが分かった。


(ここがユニオンか……)


周りの建物とは全く非なるものであるためとても目立つ。ミルはその大きな建物に入ってまっすぐその男を目指した。ちょうど男は無職の人と雇用先の仲介役を務めていて、今対象者との面談が終わったところだった。


「いらっしゃいませ。本日はどういったご用件でしょうか」

「ここはEDDみたいなことやってるのか?」

「はい?EDDとは……?」

「海外をあちこち行ってた船乗りさんなら分からないわけないだろ?それに君がやってることは公務員と同じ事、知らないほど頭がないわけではあるまい。なあ、ウッディ」

「どうして俺の名前を……?」

「察せよ。そこまで頭悪くないだろ船の会計役様」

「もう足は洗ったんだ。帰ってくれないか」

「そう言うなよ。一つだけ知りたいこと聞ければいいからさ」

「ツェペル船長のことか?エピクロス甲板長か?どちらにしろ俺はとある組織に命令されて業務を行っていただけだ!関係なんてない!」


列に並んでいた人たちが一斉にウッディの方に顔を向ける。それに気がついたウッディは昂っていた気分を落ち着かせ、咳払いをした。


「とにかく用はない。次の人が待ってるんだ。早く帰ってくれ」

「俺が知りたいのは銀髪青目の少年を誰が買ったかってことだ。男児の担当をしていたのはちょうどお前だったらしいな」

「……ああ。覚えてるよ。確か名前は……レオ・スクラッチとかいう名前だったな。そいつ一人としか契約してないし、他の男達を一人一人見ることもせずにまっすぐその子に向かって行ってたし、奴隷用魔道具の首輪も受け取りを拒否した奴だから印象的だったんだよ」

「一人しか取引できなかったのか?」

「ああ。その男が出たと思ったらタイミングを見計らったかのように女の子が入って来たんだよ。あとはどうせ知ってるんだろ。中で奴隷を買おうとした貴族は触れられてもないのに八つ裂きにされて、俺は見つからないように隠れてた。女の子が去ったと思ったら今度は船自体が八つ裂きにされた。生きててよかったって思ってるよ」


その会話は捜索願いを出すべき部署に行けばいいものを、彼らはその場で3分間も話していた。ウッディは終始思い出したくもない過去を無理やり思い出させられている、言うなれば裁判中の被告人のような顔をしていた。


「よし。知りたいことは全部知れた。捜索願いも出しとくよ。ありがとな。真っ当に働けよ」

「俺からも質問いいか?どうして今になって彼を探してんだ?」

「個人的興味と幹部の命令さ」


ミルはその場を去って行った。


(レオ・スクラッチって名前は普通に考えたら偽名だろうな……いや、でもどこかで聞いたことあるんだよな……どこだったっけ……)


『モナ・リザ』の作者の名前とどうしても混合してしまい、忘れようとするが頭から離れてくれないので、彼はそのまま次なる目的地に向かうことにした。


一方その頃、時系列的に先ほどの面談の2日後といったところか。ゼロは不思議な手紙のことを一晩中考えていた。


『危険が迫っている。気をつけろ』


これがセィレーンへの招待状に書かれてある意味が分からなかった。それも宛先はゼロ宛である。ゼロはこの王族からの招待状自体も何かのメッセージだと考えることにした。


更に気になるのはこの一節『王の遺伝子』のことだ。自分以外に見えるものがいないと言われたのでこの一節はゼロ自身を指しているということになるだろう。以上の異常に少ない手がかりによって、ゼロがこの手紙の真意を理解することはできなかった。


(そういえば、お父さんもお母さんも元気にしてるかな)

「キュー?」


ハンナは目をぱちくりさせてゼロを見る。そこまでゼロが物事を悩むことがあまり無い、言葉より行動が先回るゼロなので珍しいのだろう。そうしてラロが部屋に入ってきた。


「ゼロお兄ちゃん、そろそろしゅっきんのじかんだよ?」

「ああ。今いくよ」


だがこの手紙にある危険というのがもうすぐやってくるということは、ゼロはまだ知る由もなかった。


次回投稿は8/6 12:00です。そこまで話数が多いわけではありませんが、短かければその日のうちにもう一話出そうと思います

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