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We are the ONE‼︎〜王の遺伝子〜  作者: ギガス
第1章
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第13話 Deeper Deeper~深みへ~(第1章完)

「ミル。ちょっと来い」

「デカルトさん?どうされたのですか?」

「ちょっと面白い能力者を見つけたんだ。俺と互角に戦ってくれるやつかどうか、力量を測って来てもらえねえか?」

「あのさあ、そんなもの自分の部下にやらせればいいじゃんないか。僕がやらなければいけない理由はどこにもない。以上。この話終わり」


デカルトのこめかみがピクッと動いたのにミルは気が付いた。あからさまに嫌な気分を装っていると思ったミルは、なんとか気にしないように静かにしていた。なにより、マキャヴェリの眼球が黒くなった時に感じた殺意と比べてなにも怖くなかったのだ。


「いやそれがよ、ちょっと変わった能力者みたいなんだよ。どんな能力者と比較にならないめちゃくちゃ個性的で、使い方次第で最強なやつなんだよ。お前も気になるだろ?」

「そんな能力者が新しく現れたってのか?詳しく聞かせてくれ」

「そう来なくっちゃなあ」


彼らは互いに情報交換を行った。どんな能力なのかは見れば分かるらしいと興味が湧いたミルは、その男のことを調べ上げることにした。個性的な能力で、どんな能力者とも非なるもの。しょぼいものではあるまいと、ミルは行動に移した。

その場から立ち去るミルを見てデカルトは怪訝な表情を見せた。


最初にミルが行った場所はエピクロスのいるマキャヴェリの統括下にあるOXT保有軍だった。マキャヴェリに見られながら特訓している特攻部隊とエピクロスだったが、ミルは見学者とされ、マキャヴェリと同じ場所で見学を行うことにした。


「どうしてあなたがここに?何の用?」

「とある能力者のことを調べている。エピクロスが運営していた船にいて、カントの友人になった男だと聞いた。そいつをある人から探すよう言われていて、エピクロスなら何か知ってるんじゃないかな……って痛い痛い。どうした俺の腕なんか強く掴んで」

「そいつ名前は?外見の特徴は?何歳?本当に男?」

「おいおい、どうしたんだそんなに興味持っちゃって……それを今からエピクロスに問い詰めるんでしょ」

「エピクロス‼こっちに来なさい‼」


マキャヴェリは外で訓練しているエピクロスに大声で命令した。するとエピクロスは一瞬でマキャヴェリの傍まで近づき、首を垂れて膝をついた。


「お呼びでしょうかなぁ」

「うわぁ!びっくりした!」

「おや、あなたは確か……ミル殿だったかなぁ」


エピクロスの能力は「範囲内に自分や人や物を瞬間移動させる」能力である。呼ばれてすぐに自分の姿を移すことなど彼にとっては屁の河童なのだ。

この能力で彼は無限に飛んでいられるし、水面にも浮かんでいるように見せることができる。ただし、水の中には移すことができない。とマキャヴェリは言っていた。水の中から外に出すことは可能であるとは言っていたが。


「どんなご用件でしょうかなぁ」

「カントと一緒にいた子知ってるでしょ。その子の外見の特徴やら知ってること全部話しなさい」

「どうして知りたがるんですかなぁ……って、知りたがってるのはミル殿のほうかなぁ」

「ああそうだ。教えてくれ。そいつを今探している。お前の船がここの港で沈んでいるというのであれば、彼はまだこの港町のどこか、そこまで遠くには行ってないだろう」


エピクロスは納得して覚えている範囲のことを喋った。煌びやかな銀髪で目は青色、イギリス出身。身長は高校生男児の平均身長くらいで腕にタトゥーを入れている。名前はゼロ。苗字までは覚えてなく、エピクロスが知っている特徴はここまでだった。

カントから航海中に勉強を教わっていたという。そして大事な情報を口にした。


「ゼロに自分の能力を試したんですが、なぜか瞬間移動されなかったんですなぁ」

「能力が効かなかっただと?」

「ホントに試したの?」

「間違いありませんなぁ。彼は本当に特別かもしれませんなぁ。そういう体質なのかもしれませんなぁ」

「……分かった。ありがとう」


一通り情報が分かったところでミルはそこから去っていった。マキャヴェリは窓の外の新鮮な空気を吸い、エピクロスに命令を下す。


「ブリーチとカラー剤を持ってきなさい」

「……え?」

「早く。染めるのよ。この長くて黒い髪の毛を銀髪に」

「ぎ、銀髪にするっていうんですかなぁ?」

「ええ。染めるわよ。そのゼロって子に負けないきれいな銀髪にするわ」


ーーーーーーーーーーーーー


「へっくしょん!ただいまハンナ。大人しく留守番できたか?」

「キュー!」


入った部屋があまりにも埃っぽいせいか、おおきなくしゃみをしてしまっていた。

ソフィから聞いた話によると、ハンナはゼロがいない間、落ち着いていられず、部屋を散らかしていたようだった。普段おとなしいハンナがそんなことをするとは信じられないが、部屋の様子を見れば一目瞭然だった。早すぎてセィレーンも頭を抱えたらしい。


「頼むからもう二度とこの子を一人にさせるなよ。また部屋が荒らされちゃ話にならない」

「あーはい。でもここまで部屋の中を荒らせるリスってどんな種類のリスでしょうか」

「それがなぁゼロ。チキュウの図鑑にもエクスの図鑑にも載っていなかったと知人から連絡があったんだよ。つまりそれは新種だ」

「え……」


船の時から一緒だったリスがまさか新種だったとは思わなかったが、これでハンナはゼロにとって世界で一匹しかいない特別な存在となっただろう。彼にとって動物を愛護するというのはラロを愛でる行為に等しくセラピーになるのだろう。


「そうだゼロ。お前宛に手紙が来ていたぞ。開けて読んでみなさい」

「はい。誰からですかね……王?誰だ?」

「王だって?」

「自分のことを王って名乗るなんて。まさかこのエクスの王様からじゃないだろうな」

「開けてみなさい」


ゼロが手紙を読もうとすると、ゼロは瞳の奥に光が点滅していることに気が付いた。しばらくしたらその光は収まったが、もう一度手紙を改めて見直すと、そこにはセィレーンあてに国が主催するパーティへの招待状のような文章であったが、下に光る文字が。


『王の遺伝子を持つ者よ。危険が迫っている。気をつけろ』


この文字は他の人たちには見えていないようだった。自分にしか見れない字は一体何を指すというのだろうか。

この言葉にゼロはぞっとした。誰がどんな目的でこれを言うというのか。王の遺伝子とは。ゼロは変な感覚を覚えつつ、セィレーンに今日の出来事を伝えて床についた。



つづく


これで第1章は終了です。第2章ですが、7月がかなり忙しいので8月に投稿となるかもしれません。次章はかなりアクション要素多めです。よろしくどうぞ。

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