カモミールティーが嫌い
カモミールティーが嫌い。
みんながみんな良い香りだって言うけれど、ぼくには臭くてしょうがない。
みんながおいしいって言うけれど、酸っぱくて苦くて何がいいのかわからない。
匂いも味も分からなくなるくらい山ほどのお砂糖を入れなくっちゃ飲めもしないや。
甘い甘いお砂糖が嫌い。
恋に例えられるけど、あんなにさらさらしてないよ。
子供に例えられるけど、あんなに真っ白なはずないよ。
大嘘つきのお砂糖はスプーンでぐるぐる回して、跡形もなく溶かしちゃおう。
ティースプーンが嫌い。
お店ではじめて見たときはあんなにスマートだったのに、ぼくが使うとどうにも格好がつかないな。
なに?
お前の指が細くも白くもないからだ?
このやろう、今日からお前はスプーン曲げの練習台だ。
自分の指が嫌い。
みんなが好きと言うものを嫌いって書かなきゃ気がすまないこの指が嫌い。
それはみんなが好きって言うから好きなのとなにもちがわないでしょ。
みんなとちがうのが好きなんだよね。だからってぼくがみんなとちがうことにはならないんだけどさ。
もし知ってる人がいたら教えてくれないか。
どうしてみんなカモミールティーが好きなのか。
どうしてみんな自分の指が好きなのか。