第1章
まだ途中ですが、なんかケータイの調子が悪いので今のうちに投稿しました。続きも書けたら書くので意見などよろしくお願いします。
「みなさんは『幽霊』を信じますか?」
俺の名前は、幽島 霊太この街に住んでいる高校2年生。
身長170㎝ 体重57kg 髪の毛の色は黒で、服は制服を着ている。
ただいま学校に遅刻しそうなこの状況を打破するために近道を使って走っている。そんな普通の高校生。
だが俺には見えてしまっているらしい。『幽霊』が
「おーーい、ひまだから遊ぼーぜ〜」
こんな忙しい時に、こんなのんきな事を言っているこいつがそう『幽霊』ミカエルである。俺より年下?(幽霊だからわからないけど)だと思う顔つきで中学生っぽい。
「この忙しい状況で、よし遊ぼうなんて言うやついるか?」
「だって久しぶりに会ったじゃん。」
「昨日ぶりだろ!!初めて会った日から毎日来てやってんだろーが。」
「遊び遊び遊び遊び遊び遊び遊び遊びターーーイーーー。」
「うるせーな、中学生がバタバタするなこの自称幽霊。」
ちょっとムスっとした顔でミカエルは言った。
「自称じゃないよ本当なんだよ。」
「だっておまえ・・・」
そう言って霊太はミカエルの下半身を指した。
「なんで足があるの?」
「普通じゃね?」
「普通じゃねーーーだろ。幽霊って、足がなくて、フワフワしてて「ケケケ」とか言ってそうじゃん。え?俺が違うの?あっれ〜〜?」
俺は、幽霊がどんな奴かわからなくなった。頭を抱えている俺をよそにミカエルは他の方を見ている。
「あ、ハエだ」
「無視すんな、この野・・・・」
霊太の声が途切れた。なぜならミカエルのある行動を見たからである。
ミカエルはハエに手のひらを向けた次の瞬間、
手のひらから『炎』が噴射したからである。
炎を受けたハエを見ながら彼は言う
「幽霊見えないやつって、俺の体触れることができないからな〜、虫とかがあたま通るとき、当たらないとわかっていても炎を出しちゃうんだよねー。だって怖くない?俺の頭の中を通るんだよ!ハエが。」
霊太の口をぽかーんと開いている。
そして彼は言った。
「それはおかしいだろおおおおおおおお‼︎」
「百歩譲って足があるのは認める。けど炎が出るのはおかしいだろ」
ミカエルは炎で燃えている人差し指でクルクルと回しながら言った。
「こういう幽霊もいるんだよ。ごく稀にね。」
もうわけがわからんし、ここまで見せられたから言おうと決めていたことがある。
「俺の思っている幽霊と違うらしいから聞くけどさぁ。」
霊太はごく普通の質問をした。
「『幽霊』ってなんなの?」
「『幽霊』はね・・・」
即答だった。だがミカエルは寂しそうな顔をしていた。
「もともと人間なんだよ。」
???俺はビックリした。人間には炎は出せない。それは子供でもわかることだからだったから。困惑している俺をほっといてミカエルは話を続けた。
「人間っと言っても全員じゃないよ、ほんの何分の一の確率で幽霊になる。さらにその何分の一の確率で俺みたいに炎を出せる。これらを『霊能力』って言うんだけど、この霊能力は、幽霊の体にある『霊力』ってのを消費して出せる。この人間界に残れるのは霊力があるやつだけらしい。」
なぜミカエルは幽霊なのに最後「〜〜らしい」と言ったかは知らないが、霊太には気になることがあった。
「霊力ってのを持ってない幽霊はどこに言ったんだよ。」
「その幽霊達は『霊界』というところにいる。霊界には、幽霊のほかに、『霊動物』という動物も低い確率で幽霊のようになり霊界にいるんだよ。」
てことは・・と霊太はちょっと考えてこう言った。
「お前は幸運なんだな。二度目の人生を迎えて、なおかつまた人間界で生きれるんだから。」
「うん」とか「だよな」という返事ではなかった。むしろ逆だった。
「そこまで幸運とは言えないんだよ。」
その顔は寂しそうだった。
そんな顔をしている彼はこう言う。
道の真ん中に立っても気づかれない。
家族や友達にも気づかれない。
話しても返答が来ない。
いろんなものの裏側。
いろんな事件があっても救うことができない。
何もできない。
だから
「こんなにもつらいなんて思わなかったよ。」
俺は、ちょっとわかった気がした。さっきミカエルが寂しい顔をした理由が。
その光景を思い出すだけでもゾッとするのに、その体験をしたミカエルに、何も言えなかった。何も掛けてあげれなかった。何もすることができなかった。
「でもね」
その言葉を放ったミカエルは笑顔だった。
「霊太に会えてよかった。」
本当に笑顔だった。
「『霊感』の高い人に会えることがどれだけ嬉しかったか今でも忘れない。孤独だった僕の希望の光だったんだよ霊太は。」
「・・・」
そんな大層なことはしてないつもりだった。俺より小さいやつが地べたに涙目で座っている。だから声を掛けただけだった。
それがこんなにもうれしいことだなんて思ってもなかった。
「なんとなくわかるんだけど、『霊感』って何?」
「霊感ってのは高ければ高いほど幽霊が見える。大抵の人は霊感が低いから俺が見えないんだ。」
「ふ~~ん」
目の前に幽霊がいるのに俺は何にも幽霊の事を知らなかった。そしてミカエルが聞く。
「あのさあ」
本当に何も知らなかった。
「こんなに質問してるから、やっぱりかと思ったけど。」
この街に住んでいるのに
「『幽霊都市』に住んでいても幽霊の事何もわかんないだね。」
『幽霊都市』
霊太やミカエルが住んでいるこの都市は豊川町の一部である。もともと幽霊都市なんて言われてはいなかったが、霊媒師や霊に詳しい専門家など霊感の高い人は必ずと言っていいほど霊がでると言われ続けてきたことから幽霊都市と言われるようになった。
「けどさあ」
否定するような顔で霊太は言った。
「いくら霊に詳しい人が言ったって100%信じるってわけじゃないだろ?心霊映像を見ました。その映像に幽霊がいました。だから幽霊はいるんだってわけじゃないだろ?まぁ信じる人もいるから人口は減ったけど、普通だと思うよ他の町に比べても、ちょっと怪奇現象があって学校の七不思議とかあるけ・・・ど・・・」
「どうしたの?絶望したような顔して。」
俺は気づいてしまった。
俺はさっきまでなぜ走っていたのか。
俺はなぜ近道を使っていたのか。
そう
学校。
遅刻。
「……。」
彼が次にとった行動は簡単だった。
全力で走った。
「ヤベェ!!やらかした。」
とにかく全力だった。
俺の使っている近道は路地裏のような感じで、道の幅は狭く、周りの建物が壁のように見えた。
「今日はさぼろう、そして俺と遊ぼう!!」
またミカエルは走りながらそう言っていた。
今、俺は走っている。
さぼるつもりなんて微塵もないのだ。
そして、ミカエルがほんっっとうにしつこいので強く言った。
「だからあ、こっちは今すげえ忙しいんだよ。なんでわかんないんだ、このバカ、」
俺はそう言って後悔した。
ミカエルが反抗したからではない。
ミカエルが炎を出したからではない。
ミカエルがどちらかの行動をしても、なんとかなるから大丈夫である。(正直、炎は怖いが)
「おい、止まれやコラァ!!」
その声が聞こえた。
問題はミカエルではない。
その奥
ミカエルの奥
3人の男の子がいた、
1人はリセーゼント、1人は耳にピアス、1人は木刀をもちうんこ座りである。
そう、不良である。
不良の目はギラッとしていて、明らかに俺に敵対心を持っている。
おそらく理由はこうだろう。
俺はミカエルと一緒に並行で走っていて、俺はミカエルにバカと言った。これだけならなんら問題はない。原因は、ミカエルに言ってしまったことだ。俺には見えている、ミカエルが、
だがあの3人は、不良はどうだろうか、ミカエル、つまり幽霊が見えない彼らからすれば俺が一方的にバカと言っているようにしか聞こえない。
その時、彼らの意思は一致していた。
「あいつ、なめてんな、」
「よし、あいつ殺そう。」
そして今の状況である。
絶望。そして、
「すみませんでしたああああああああああああ!!」
逃げ、 それしか霊太の頭の中にはなかった。
当然あの3人は追いかけてくる。「おい、待てや。」「死ねこの野郎。」などの言葉が飛んできたが、そんなのに気にしている場合じゃない。
俺は全力で走った、背負っているバックがすごく揺れている事も気にせず、ひたすら走った。立ち止まったらそこで終了、そんな感じだった。
「俺のことをバカとか言ってるからそうなんだよ。」
ミカエルは笑いながら他人事のように見ていた。
助けるつもりはさらさらない。
助けると言っても助ける方法もない(炎を人に向けて撃っても当たらないため)
なにより霊太が運動神経がいい事を、この三日間で知っているから。
「まぁ大丈夫でしょ。」
けど
そんな霊太のバックから何かが落ちた。
「軍手……?」
『それ』は、色が白く、五本指がちゃんと入る仕組みになっていた。
だが、おかしな点があった。
『それ』をはめた時の手の甲にあたる部分に丸いマークがあった。遠くからなのでなんのマークかわからないが軍手ではないことは明らかだろう。
「てことは、手袋?ってか今、夏だぞ!!なんで持ってるんだよ!!」
『それ』を落としたことを知った霊太の顔が、ギョッとしていた次の瞬間。
『それ』をめがけて真っ先に走った。
つまり、
不良の方に走ることを指している。
「はああああああああああああ?」
死にてえのか?と思わせる行動、けれど、ミカエルには何もできない。
不良たちは、迎え撃つようにして、
「なんだヤんのか。」
「ぶっ潰す。」
真ん中のリーゼントの男が拳を振るう。
そんな時に、
霊太と不良の間に入る者がいた。
その者は、オールバックで木刀を持っている。
その者は、真ん中にいたリーゼントの男をぶっ飛ばし
(正確には剣道の面打ちを片手でやるような感じで)リーゼントを真っ二つにした。
「ボ、ボス!!」
「テメェ、誰だコラァ」
そんな不良達のの声を、物ともせずその者は言った。
「おい」
それは不良に向けたものではなく、俺に向けた者だった。
「遅刻するぞ。」
「お前もじゃねえか!!。坂上」
坂上 健
俺の友達でありクラスメート、175㎝ぐらいある。つまり俺よりでかい、不良の面をしている割にはちゃんと制服を着ている。ちなみにその面で俺より頭がいいことがものすごくうざい
坂上…?という声が不良の方からも聞こえてきた。
「坂上って…まさか!!」
「あの『一匹狼』か…」
そんな不良の不安をよそに、霊太は笑っていた。
「ふふっ、お前、一匹狼なんて呼ばれてんの?何?異名ってやつ?まだそんな感じで呼ばれてんの?」
「うるせえ!!俺がつけたんじゃねえんだよ。勝手につけられたんだよ。」
笑っている霊太を気にせず、坂上は、言った。
「ったく、早く行けよ。もうお前にケンカなんかさせねぇから。」
「お前、まだあの事、気にしてんのか?」
「そんなんじゃねぇよ、それにあの人に追いつくために、ケンカで負けるわけにはいかねぇんだよ。」
その言葉を最後に、坂上は不良の方を向く。
話に夢中になっていたからか、不良がぞろぞろとやってきた。
ここは不良漫画か!!と言わせるぐらい、あの短時間で不良がやってくる。20人?くらいいるだろう。
だか、逃げない。
それは一匹狼と呼ばれる坂上の強さの証明、
この人数を相手にしてもなお、背を向けない。
それに、坂上は笑っていた。
いつもどうりの坂上見て、
霊太も笑っていた。変わらねえな、と
「じゃあ学校で」
霊太が手袋を拾い、そう言ったあと、坂上に背を向け走る。
そして
霊太の後ろで激突があった。
学校に行く霊太にミカエルは言う。
「あのさあ」
「ん?」
「あの不良の集団に向かっていくほど、その手袋は必要なものなの?」
「当たり前だ」
即答だった。その目はまっすぐしていた。これだけは譲れない、そんな目だった。
10年前
この街が幽霊都市なんて呼ばれてない時代。
俺が6歳か7歳のとき、
母親、 幽島 椎名と父親、幽島 貫太と普通の生活を送っていた。
いや、あの時は、普通ではない生活を送っていた。
両親は、どちらとも働いている。親父はサラリーマンで、母親はデザイナー。
帰ってくるといつも1人、帰ってきてすこし時間が経つと母親が帰ってくる。そして親父の作ってくれたごはんを食べる。食べ終わる頃にだいたい父親が帰ってくる。
ここまでは普通。
親父が家に来る時、ここから普通ではない光景を目にする。
親父の独り言がすごいのだ。親父曰く会話をしているようだが、俺には壁に向かって話しているようにしか見えない。
俺は思い切って聞いてみた。
「何してんの?」
「この人の相談に乗っているんだよ。」
と言って親父は、手を差し伸べて言った。親父の手の先をみても壁しか見えない。
「ん? 誰?」
「ああ、この人はなむかしに…」
「いやいや、父さんは、今誰に向かって話しているの?」
「なにいっているんだ?霊太に決まっているじゃないか。」
「そーゆー意味じゃなくて、父さんは誰に向かって相談をしているの?」
「………」
「………」
お互い呆然だった。
「お前…霊太まさか‼︎ 幽霊が目えないのか?」
「何?、なんか幽霊が見えないのが異常みたいな目は‼︎」
「それでも俺の息子かあああああああああああ‼︎」
「知るかボケェええええええええええええええ‼︎」
「ボケェだなんて…もう反抗期?」
「違う母さん…そうツッコんで欲しいわけじゃない。」
それ以来、親父の行動に疑問はなかった。
幽霊都市と呼ばれてる時代でさえ幽霊を信じない人は普通にいるので、幽霊都市なんて呼ばれてない時代で
「幽霊っているんだぜ〜」
なんていえるわけなかった。てか言うつもりもなかった。そんなことを言わなくても、学校がある。友達がいる。それだけでも楽しから。
学校から帰ってくるといつも1人、帰ってきてすこし時間が経つと母親が帰ってくる。そして母親の作ってくれたごはんを食べる。食べ終わる頃にだいたい父親が帰ってくる。
これが普通の日常なんだと、改めて感じた。
これが何年も続くのだろうと思った。
だが
いつもと一緒の時間だけが流れるのは、人生ではない。
親父が交通事故にあった。
家にその電話がきて、すぐさま病院に行った。
病院にいた親父の周りにはたくさんの人がいた。
相当、重症だったらしい。
「霊…太…」
その声は痩せ細っていて、なんとも元気のない。そんな声だった。
「父さん死なないで‼︎そんな父さん見たくない。」
号泣していて、はっきり話せているかわからない。
父さんはゆっくりした動作で、何か取り出していた。
「霊…太……これを…」
それは手袋だった。はめた時の手の甲のあたりに、円が書いてある。
「それを…どんな時でも持ってろ…霊たちが…お前を守ってくれる。」
「こんな時でも幽霊かよ、俺には見えないし、信じてもねーんだよ。なのに…どうすればいいんだよ。」
そんな俺を親父は笑みを浮かびそして母親の方をみた。
「母さん…霊太を頼む。」
母親は何も言わず、泣きながら笑顔だった。
「がんばれよ…霊太…人生なんて…何が起こるか…わからないからな…」
「そんなことを言わないでよ父さん!!お願いだから、お願いだからそんなことを言わないで。」
その後の返事はなかった。ゆっくりと目を閉じ、そのまま目が開くことはなかった。
だから俺は決めたんだ。
幽霊を信じるとか信じてないかじゃない。
使い道があるとかどうかの問題じゃない。
俺が守らないといけないんだ。
この手袋を
親父の形見を
1人対20人
絶望的状況であり、圧倒的戦力差
だがその1人は、坂上 健は、一匹狼は、
20人という大多数に向かって走った。
不良集団も動く、前方の2人が坂上を迎え撃つ。
だが一瞬で、坂上が前方の1人の頭を木刀で突く。
「⁇‼︎」
あまりの早さに、突かれてない前方1人の反応が遅れた。気づいた時には、右にいた1人がやられていた。
「気づいた時には 」 そんな言葉は坂上の前では思い出すことも許されない。思い出したときには、もうやられている。
事実、坂上はすぐさま左から右へと木刀を振り、もう1人の頭の横を叩いた。
「見えてねえとでも思ったか?」
その言葉に坂上の後ろにいた不良が、いや不良達が驚いていた。
坂上は、あの一瞬の突きの間に周りを確認し、後ろにいる数も把握している、その数3人。
後ろから来たパンチも左に飛んでかわす。
路地裏の道の幅は狭い。
それを生かし、180度回転しながら飛び、壁を蹴り後ろの1人の頭に木刀で上から下へと振るった。
振るったあとに、さっきの3人の残り2人がやってくる。俺から見て左にいた奴が木刀を持っていて、俺に襲いかかってきた。相手は木刀を上から下へと振るう。
「オセェなあ。」
坂上は即座にかわし、木刀を持っていた相手の右手に木刀を振るう。
「いっっつ。」
相手は木刀を落とし、坂上はその落とした木刀を左足で蹴った。蹴った木刀の先は、右からきた敵の顔に命中する。
顔を押さえている間に、木刀を落とした相手に木刀を振るう。
次の行動に移そうとした瞬間、不良の集団の1人からナイフが一本飛んできた。
坂上はなんなくかわすが、そのナイフの先は、さっき顔に木刀が命中した男。
「ヒィィ。」
ナイフが自分の顔に来ている。これが当たれば死ぬかもしれない。いや、死ぬ死なない以前に「終わった。」と思った。
けど変化があった。
坂上は木刀を180度回転し、ナイフを弾いた。
「ったく、仲間の位置も話からねぇのか?」
男はこう思った。
助けてくれたのか?
助けるつもりがないならナイフを弾く必要はない。
そんなアクションを起こす必要はない。
そのアクションはあいつにとって簡単かも知れないが、俺からすればすごい技だった。
だけど
俺は不良としてあいつを倒しに来ている。
この戦いに情けはいらない。
俺はあいつをを倒さなければならない。
だから、
「おおおおおおおおおおおおおお。」
心の中でこう叫んだ。
さっきから蹴られて顔にあたった木刀を拾い、倒れこんだ姿勢から襲いかかる。
「殺気、足音、そして木刀を拾う音に気おつけろ。」
「?!!」
これが弱者と強者の差
ケンカなんて大胆に拳を振えばいい。
そんな次元を超えていた。
根本から違っていた。
坂上はさっき180度木刀を回転していた。
つまり
左手を後ろに動かすだけで、後ろにいた奴に攻撃が当たる。正確には相手は姿勢が低かったので、顔面に当たった。
そしてまた集団の中からナイフが飛んできた。
坂上は木刀をいまの状態から180度回転して元の木刀を持つ形に変え、飛んできたナイフに対して、
打ち返した。
打ち落としたのではない、打ち返したのだ。
どうしたら打ち返せるのかなんて、教えてもらっても分からないだろう。
打ち返されたナイフは、ナイフを投げた相手の肩に刺さった。そこからの出血はひどい。
「あああああああ‼︎‼︎」
「お前が投げたんだ。文句はねぇよな?」
「くッッッッ。」
投げたナイフが跳ね返されることなんてあんのか
とツッコミったかったが、あいつは、焦る様子も慌てる様子もなく、なんなくやってしまった。
「てゆーかさあ。」
坂上はニヤリと笑いながらこう言った。
「弱すぎじゃね。」
挑発、本当に簡単な挑発。
「何⁇その動き、遅すぎて本当に笑っちゃうんだけどww。」
だが不良たちは挑発に乗ってしまう。
不良たちと強者の間にある壁が大きすぎるから。
焦り、不安、緊張、
これらがすべて絡む。
「ははははははははは、それでも男かよ。
根性がねぇんだよ!!どういう気持ちで俺に挑んできたんだ?ああん?俺をそんな軽い気持ちで倒せると思うなんざぁ100年はええんだよ。クソが、かかってこいよ。」
そして一言
「雑魚キャラ弱虫ども。」
煽られた不良の返事はだいたいこんな感じだった。
「ブチゴロス」
その言葉を吐いて動いた不良は10人
やめろという不良もいたが遅い。
「このやり方もいいなぁ、名前は『煽り作戦』いっきに釣れるわぁ、大漁大漁。」
この時は笑っていた。本当の笑みだった。
「さて、と」
その言葉を吐いたときには、坂上は行動していた。
木刀を構え10人を迎え撃つ。
また一瞬だった。
バタバタと10人全員気絶したかのように、ゆっくり倒れた。
「チッ、一撃当たったじゃねえか。」
逆に言えば、一撃しか当たってないのかと思うと、残りの不良たちは驚いていた。それに坂上が痛そうに見えなかった。
さあてと呑気な口調で坂上はしゃべる。
「残り物には福があると聞くけどお前たちは俺を驚かしてくれんのか?」
その瞬間
坂上の木刀を両手でつかんでいる奴が言った。
そいつは倒れた10人の中の1人だった。
「調子に…乗ってんじゃ…ねぇよ。」
ツメがあまかったと思う矢先、
これはチャンスだと思った残りの不良の1人は、拳を握りそして振るう。
木刀の事を諦めた坂上は、左手から木刀を離し、相手のこぶしをかわすように姿勢を低くする。
そのまま右手で相手の襟を掴み、相手の右足を刈り、背負い投げのような形で投げる。
「木刀がなければ勝てると思ったのか、この野郎。」
投げた先は坂上の木刀を持っている奴、正確にはそいつの頭、背負い投げしている奴と頭と頭をぶつけるように投げた。
さすがの衝撃に木刀を落とした。木刀を拾う隙もなく不良の攻撃は続く。背負い投げをした後なので相手に背を向けている状態だ。
それでも坂上の反撃はやめない。落ちている木刀の端を足で踏み、あがった木刀を反転してサッカーのボレーシュートのように蹴る。
見事、相手の頭に命中。けど攻撃は終わらない。
上に上がった木刀をジャンプして取る。
後は、重力のままに上から下へと行く勢いを利用し、木刀を振るうだけ、今のでまた1人リタイアし、
残り1人
あのリーゼント野郎だけだった。
「あ…ああ…」
恐怖でしかなかった。
俺以外、全員やられた。
「じゃあな、リーゼント野郎。」
そう言って、木刀を振るった。
俺は思った。
最後はあっけなかった。
結局こんなもんか、と
最近はこんなんばっかだ。あの人を超える者はそうそういない。そんな事は分かっているけど、俺を楽しませる奴はいないのかと、
つまらない。
本当につまらない。
そして変化はあった。
「イッッつ。」
俺の背中に痛みがはしった。
痛みを味わうのも久々だった。
弱々しい声が後ろから聞こえる。
「お前が…言ったんだよなぁ。」
俺は振り返る。
「殺気…足音…木刀を拾う音…。これらに気おつけろって、」
俺は、笑っていた。楽しかった。
あの人とは違う強さ。
正確に言えば、期待
「俺が言ったあの一言で、もう自分の物にしやがった。センス?なのか知らんが、戦いの中で成長してやがる。」
そして、なにより、
「逃げ出さなかった。圧倒的な実力差は、見せつけたのにかかわらずまだ戦う気でいる。ったく霊太と似てんな。ケンカなんかした事ないのに、不良のところに突っ込んだあの日と……、ふん、おもしれぇ。」
ニヤニヤしながら言った。
「お前、名前は、」
「神谷 良太…」
「神谷 良太…よし、覚えた。久々に楽しめたぜ、ケンカ。」
その言葉ですべて終わった、最後の最後も一瞬だった。
いつもと同じ終わり方、そしていつもと同じように不良達を後にする。
だがいつもと違うのは、笑顔だった。
俺の耳からこんな言葉が聞こえた。
「霊太〜〜〜何やってんだ?遅刻するぞ。」
「いつも通り早いなぁ、20人全員やったのか?」
「ああ。そんで…」
その後の言葉は、予測できなかった。
「楽しかった。」
いつも、つまらないとか言ってくる坂上からこんなもんか出てくるとは思わなかった。
もともと、ケンカのどこが楽しいのかわからん俺からすれば、だったらしなければいいじゃんとか思うけど、それは違うと、返答になってない返しがくる。
「お前が楽しかったって言うぐらいだから…強かったの?」
「いや別に…てかあと2分だぞ、行くぞ。」
そう言って坂上は走って行った。
ケンカの楽しさとはなんだ?と思いつつ、俺も急いだ
「じゃあなミカエル。」
「あ…うん。」
2人に残された時間はあと2分
まるで短距離走、2人とも全力だった。
「おおおおおおおおおおおおおおお。」
「おおおおおおおおおおおおおおお。」
行け!行け!間に合えええええええええ
そして、ついに……
「遅刻じゃボケええええええええええええ。」
「ちくしょうおおおおおおおおおおおおお。」
間に合いませんでした☆
結局、鬼教官こと佐々木先生にしごかれました。
夕方になり、他の人が部活などやっている間に俺は、家に帰った。
「ちっくしょう…佐々木のやろう。」
家に着いた時も、朝から夕方までずっとこんな話ばっかだった。
ドアをガチャと開ける。
「ただいまー」
「おかえりー」
小学校とは違い、俺が通っている高校は距離がまぁまぁある。(あると言っても歩いて行ける距離だが、)
なので帰ってくると、かあさんがいる。
靴を脱ぎ、玄関を上がる。
そして、
「ただいま、親父。」
俺は、仏壇に向かってそう言った。
玄関を上がって左に仏壇があり、その周りには、なぜか幽霊がいて、俺は疑問に思い一言声をかけた。
「あのーー、誰ですか?」
その言葉で、そこにいた2人の幽霊が驚いた顔で振り返った。
「見えてる?今俺が見えてる霊ちゃん?」
「霊ちゃんって…俺のこと?ああ見えてるよ。」
「おおーーー。」
歓喜だった。それほど嬉しかったらしい。
1人の幽霊が玄関の先にあるリビングに向かって笑顔で走った。正確にはリビングの近くにあるテーブルの上にご飯を並べて待っている俺の母さんに、
「お母さんお母さん、霊ちゃんが私たちの存在に気づいたよ。」
「本当に?霊太。」
「あ、うん、てか早くご飯食べよう。腹減ったよ。」
俺はそう言いテーブルの椅子に座った。
俺と母さんは向かい合わせで、いただきますと言い、ご飯を食べはじめた。
「ねぇ、母さん、」
「うん?」
「あの幽霊達は何?父さんの写真の周りにいたけど。」
「あの人達は、父さんにお世話になったからと言って毎週来ているのよ。父さん、いつもあの幽霊達の相談に乗っていたから、」
「ふ〜〜ん。」
今思えば、俺が幽霊が見えなかった昔の頃にそんな話しを聞いていたような気がする。
毎週くるという事は、そうとうお世話になったんだなぁと心の中で思う。
俺はテレビのリモコンを手に持ち、話しながらテレビをつける。
「母さんって幽霊の存在に気づいていたんだね。」
「うん、知ってたのに黙っていたのには理由があるの、幽霊都市なんて呼ばれる前から父さんが幽霊がいる事知ってるのは分かると思うけど、私まで霊太に幽霊が存在すると言ったら、学校とかで他の子に変人扱いされると思ったから…」
変人扱いって…と思ったけど、まぁ実際そうなる可能性もゼロではなかったしよかったと思う。
「今度は私が質問してもいい?」
「ん?、何?」
「父さんにお世話になった幽霊が今見れるようになったって事は、いつから幽霊が見えるようになったの?」
「それは……」
話がとぎれたのはテレビの字幕を見たからだ、普段はたかが一個のニュースで話を聞い止めることなんてないが今回は違った。
『えー次のニュースです。三日前に豊川町で行われた殺人事件ですが犯人は、東 神作 だということがわかりました。服装は〜』
俺はビックリした。殺人事件のニュースなんてよく聞くけど、いざ自分の住んでいる地区となると怖いものだ。
「うそ!!こんな事件なんてあったっけ。」
「そういえば言ってわね、確か…」
『場所は幽山中学校の生徒が通学路として使われる道で…』
母さんが大声で思い出したかのように言った。
「そうそう、あの通学路で殺されたの、霊太も通るからきおつけて欲しいの。」
「三日前…中学生の通学路…」
いやな予感しかしない。俺の直観がそう思った。
母さんが心配そうな声で聞いた。
「どうしたの?」
「もしかして…殺された人って…」
テレビからも声が聞こえた。
「殺害されたのは、中学生の『三河 翔』さんで、よくこの通学路を使われたそうですね。警察は〜〜』
やっぱりな、と心の中で思った。ミカエルじゃない。というかまずそんな外国でも珍しい名前を日本にいるはずがない。
ちょっとした安堵感があった。
だがすぐにその安堵感が消える。
テレビに三河 翔という男の写真がでた。その写真に俺は驚きを隠せない。
ミカエルと瓜二つなのだ。
「……あ?」
あいつは、このことを知っているのだろうか、自分を殺した相手がまだ生きていることを、
てかまずミカエルと三河翔は同一人物だろうか、
疑問だけが浮かぶ。
そんな悩んでいる俺の耳に声が聞こえた。
「大丈夫?」
母さんの声が聞こえ聞こえた。
俺より幽霊が詳しい事は確か、幽霊の事を何も知らない俺より知識は豊富だ。
今からでも知らなければならない。ミカエルの事をなにもしらない。遅かれ早かれ知る必要がある。
「母さん…父さんの周りにいる幽霊はどんな名前?」
「えっと…麻理恵さんとサリーさんだけど。」
「その人はみんなここに住んでいた人?」
「そうだよ。」
「その人は幽霊になる前もその名前だった?」
「いや…違うけど…麻里奈さんはもとは林 里奈でサリーさんは…」
「クソッッ。」
いやな予感が当たった。
「お母さん…俺が幽霊見えるようになったのは、今テレビに出てた三河翔の幽霊…ミカエルに出会えたからなんだ。」
母さんは驚いた顔をしていたが俺は話を続けた。
「三日前に出会って、本格的に幽霊って認めたのは今日だけど、幽霊と友達になれたんだ。」
歯を食いしばりながら、悔しながら、言う。
「なんかできないのかなぁ俺に、あいつがもしこの事を知っていたら、いや知っていなかったとしても、なんて声をかければいいんだよ!!」
大きい声で、この家が響く声で言った。
情けない、友達として何ができたか、と思う中、母さんが言った。
「いつも通りでいいんじゃない。」
俺は、えっ?という声をだし、顔を上げる。
「そんなに難しい事を考えなくていいんだよ。三日前に出会って友達と呼べる仲になったんでしょ。だったら、悩んでいるかもしれないその子に、たった一言かけるだけでもその子は嬉しいんじゃない?」
それに、と付け加えて、
「父さんもそんなに難しい言葉ををかけていたわけじゃないんだよ。がんばれの一言だけの時もあったけど、それでも言われた本人にはは嬉しかったと思う。」
そうか…と改めて思う。
いやな事があった友達に声をかけるのに、難しい事を言う必要はない。相手が幽霊で、人間と違うだけだ。友達である事に変わりはない。自分は何を考えていたんだろうか、
「そう、だな…ありがとう母さん。」
「どういいたしまして。」
明日もあの路地裏を使おうと思った日だった。
「ふわぁー。」
朝になり、起きた時間は6時半
今日は時間に余裕があった。
流石に二日続けて遅刻すると佐々木がバケモンになることが予想できるため早く支度をし、ごはんを食べ終えたら家をでて、学校へ向かった。
最近は時間に関係なく、近道となるあの路地裏を使っている。
入ると、この路地裏だけが暗く冷たい空気が漂っていて、本当に朝なんだろうかと想わせる雰囲気がある。
もう一年近く高校に通っているので当たり前だが道は覚えている。数分歩くと左に曲がる角があるのだが、そこは無視して真っ直ぐ道を進めばいいのだが…
「?…なんだ?」
左から何か聞こえる。それも早いテンポで、こっちに向かってくる。
誰かな?と覗くと俺の知っている人だった。
中学生のような容姿で、人間ではない男、
ミカエルだった。
そんなに急がなくても…心の中で思っていた矢先、ミカエルが言った。
「…げろ。」
ミカエルの顔は必死だった。歯を食いしばって、顔を引きずって、俺に言った。
「早く逃げろ!!!」
意味がわからなかった。とりあえず前に向かって走ると、ミカエルも霊太についていくように左に曲がる。
「いったいどうしたんだよ!!ミカエル!!」
俺がそう言った後に後ろでドオオオオンと衝撃がおこった。
いったいなんだ?と俺は奥を見る。
そこで見た景色は、真っ赤だった。
それはまるで火事、そう感じるほどの炎。
なぜそれほどの炎が地面と壁しかないあの空間で発生した?
「なんだよ……これ…」
頭が追いつかない。何もかもパニックのなか1人の男が、
あの炎の中から人影が見えてきた。
「ちょっと待ってよ、まだまだ殺したんねえだよお。もっと殺してぇんだよ。」
その人影の正体は、どこにでもいそうな30代くらいの男だった。夏にしては、暑そうな服装で、上はグレーで下は黒だった。
そしてその男は徐々に大きい声で、
「だからさあああ。」
右手に持っている包丁を上にあげると、その包丁の剣先が炎に囲まれる。
男は口角を上げ、嫌な笑みを浮かべ、そして、
「俺のために殺されろよ!!!翔君よおおおおおおおおお」
包丁を振り下げ、その剣先から大きな炎が放射される。それは炎の球体、大きさ的には、俺の身長ぐらい。
「!!??」
「こっちだ!!霊太。」
かどを曲がると、炎が壁にあたり、俺の背中に熱まで伝わった。
「あっつっっ。」
その衝撃に負け、倒れこんだ。
まだ頭が追いつかない。
なぜ服がちょっとだけ焦げている?壁にしてもそうだ。幽霊が見えない奴は、ミカエルのような能力を持つものから攻撃は当たらない。それは知っているが問題は炎を発生させた者、ミカエルは手を強く握りながら言う。
「東 神作ッッ。」
東神作…昨日ニュースで言っていた殺人鬼、
殺人鬼と言われている人物に会うだけで怖いのに、その上、炎を出してくる。
つまりやつは幽霊でもないのに、能力が使える。
そんな事実を前にミカエルは言う。
「ここから離れろ。」
「それよりあれはなんだ!!人間が炎を扱うなんて聞いてないぞ。」
「……」
「お前…なんか知ってんのか?」
「……」
ミカエルは黙り込んだ。確かに知っている。けど、だからといって。
霊太を巻き込むわけにはいけない。
「知ってたらどうする?」
「??!!」
「今のこの状況をみろ!!こんな能力を使っているフィールドで霊太に何ができる。ケンカが通用しないことぐらいわかってんだろ!!…だから…。」
「早く…逃げろ。」
霊太は歯をくいしばり、言われた通りに従った。
そんななか笑みを浮かべながら殺人鬼は言う。
「バカだなあ翔君、いや今はミカエルだっけ?知ってるだろう?たかが幽霊1人が幽霊と協力している俺に敵うわけないって、そんなに大事か?あいつが、」
「当たり前だ。」
ミカエルは息をする暇もなく答えた。
「お前にわかるか…」
怒りながら、憎しみながら、抑えながら、彼は言う。
「殺された気持ちがッッ、孤独な気持ちが、この心がどれだけ辛かったか、」
それは三日前
絶望に染まったあの日
「翔、早く起きなさい。」
「うーん、あと一万…」
「秒でも時間でもなく一万って…もう寝ぼけすぎ、早く起きなさい。」
朝から聞かされる母さんの声、いやいや二階から降りてくる俺、
「いってきまーす。」
「いってらっしゃい。」
「ふわぁ…いってらー。」
朝早くから仕事に行くお父さん。
なんとも普通な家庭で、何も特別なこともない。
でも、この普通が本当の意味で特別なんだってことは
まだ俺は知らなかった。
「じゃあ母さんも行ってくるから。」
そう言って母さんもバックを持って、玄関へと向かった。
「ちゃんと学校行くんだよ、遅刻しないようにね、」
「わかってるよ、いってらっしゃい。」
「うん、いってきます。」
母さんが笑顔で家に出た後、俺はソファに寝転び、
「五分だけねよ……。」
寝てしまった。さっき起きた時に「あと一万…」とかわけのわからない男が、五分だけ寝るなんて器用なことはできず。
「………………」
結果一時間寝てしまい、起きた時点で学校の到着時間を超えていた。
「死んだ……」
結局、遅れながらも学校へ行き、先生に怒られた。
「なんで遅刻した‼︎言ってみろ。」
「完んんんんっっっっ全に寝坊しました。」
「いさぎよいな、ったく何回目だ、ああもういい早く席につけ。」
「はいはーい。」
「『はい』は一回‼︎」
「でました『はい』は一回、なんで一回しか言っちゃダメなんですか、俺、二回言ってますよ。もはや二倍っすよ。逆に俺ほうがい…い的…な。」
「おい」
先生の何かが切れて、俺は、だまった。
先生はそのまま言う。
「『はい』は何回だ。」
「いっ…かいです。」
「よろしい、はい席について。」
「…………」
「返事は?」
「………はい。」
結局、まるでゾーンにはいった先生には勝てず、トボトボと席に戻る。
「結局、勝てなかったなぁ翔、て言うかあの先生は強すぎだって、」
「そうだよ、あれ人間超えてるから、もはやモンスターだから。」
そう言ってくれてる男友達に、俺も言う。
「だよなー、っていうか負けてねぇし、べ、べつにビビってねぇし、」
「そんな負け試合はいいからさ、」
「だから負けてねぇし‼︎」
「学校終わったら三人で遊ぼうぜ。」
男友達の1人が笑顔で提案する。
「何時から〜〜?」
「6時ぐらいに、いつもの公園でよくね?」
了解といい、いつもの授業が始まった。
だるいとかめんどくさいとか言いつつ、授業を受けて途中で疲れて寝て、先生に叱られ、みんなに笑われて、掃除の時間も三人でふざけまくって、また怒られて、また笑われて、
これが普通だったから、これが毎日だったから、
だからだからだから
このあとで殺されるなんて思わなかった。