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第十六話:日露戦争⑧~ポーツマス条約締結~

ハルビン会戦によりロシア軍は大損害を被り、7月21日にはウラジオストクが陥落。

1905年7月31日には日本軍がハバロフスク市街地を制圧、さらにチタまで侵攻、一度は撃退されるも11月22日になんとか陥落させた。


1905年12月5日、ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世がロシアへ講和するように働きかけ、12月7日、ロシアは和平提案を受け入れた。


ロシア軍は優秀な下士官・兵をハルビン会戦にて大量に失い、未だ再建は成っていなかった。

一方日本軍はなんとか兵力を補充し、春には攻勢を予定していた。

ロシアはなんとしても、現時点で講和をまとめなければならなかった。


講和会議は1906年2月に行われることになった。

ニューハンプシャー州ポーツマス。ここで講和会議が行われる。


12月20日、日本は全権委員を小村外相と、高平小五郎駐米公使に決定した。

国民は、日本大勝利を疑わない。多大な成果が得られると信じ込んでいる。


1月、ロシアは全権委員として、セルゲイ・ヴィッテと、前駐日大使ローゼンを決定した。


1月8日、小村ら全権委員団は東京を出発した。

小村らが進む霞が関から新橋駅までの沿道は、見送りの群集であふれた。

1月25日、小村はニューヨークに入り、アメリカにて外交工作を行っていた金子堅太郎に合流した。

この時、高平小五郎は新聞記者に「ロシアに一発かます」と語ったという。


1月30日、英国全権がニューヨークに到着。


一方ロシアは、多少の領土割譲も覚悟していたが、賠償金は支払わない方向だった。

2月2日、ヴィッテらはニューヨークに到着。2月4日ルーズヴェルトと会見した。

この日の会談は、ロシアの強硬態度を確認しただけで終わった。

ロシアはアメリカの大手通信社「AP通信」を抱き込み、世論工作で日本より優位に立った。


2月3日、スウェーデン全権・ルーマニア全権がニューヨークに到着。


2月5日、各国全権はアメリカ海軍の巡洋艦に乗って、ニューヨークを出発、ポーツマスへと向かった。

2月10日、第1回本会議開催。講和会議は日英同盟側(日本・イギリス・スウェーデン・ルーマニア)の条件提示で始まった。

・日本は、韓国における優越権を得る。

・沿海州・樺太の日本への割譲

・ベッサラビアのルーマニアへの割譲

・フィンランドのスウェーデンへの割譲

・東清鉄道の日本への譲渡

・日本・イギリス・スウェーデン・ルーマニアへの賠償金支払い

・中立国港に逃げ込んだロシア軍艦の引き渡し

・極東におけるロシア海軍力の削減

・オホーツク海沿岸の漁業権

・ウラジオストックの商港化


この日の会議後、ヴィッテは講和条件をAP通信に漏らした。

2月11日、AP通信から発信された日英同盟側の講和条件は、ニューヨークタイムズなど各紙に掲載された。

日英同盟側は抗議した。


2月12日、第2回本会議開催。

この日は、ロシア側回答が提示され、また、情報漏洩に気をつけることが決まった。

しかし、ヴィッテは再び情報を漏らし、世論を誘導した。

交渉は混乱し、2月18日の第7回本会議が最終会議になると決められた。

しかし、ロシア側は賠償金を断固拒否。

交渉は中断された。


日本軍は交渉再開時に有利に進める為、再度の会戦を決意。

2月21日よりイルクーツク会戦が行われ、日本軍はグリッペンべルグ率いるロシア軍に辛勝し、3月10日にはイルクーツクを占領した。ロシアの状況は刻々と悪化していった。

スウェーデン軍はテリヨキを占領、ロシアの首都サンクトペテルブルグを一望出来る地点まで近づいた。


8月23日に交渉が再開されたが、ロシアはそれまでの半年間にさらに疲弊。

反政府勢力の武装蜂起が相次ぎ、ロシアは条件を受け入れざるを得なくなった。


8月23日、第8回本会議開催。

8月28日午後2時、日本にて御前会議が行われる。

8月29日、第9回本会議開催。


1906年8月29日午前10時40分。

ここに、ポーツマスにて合意が成立した。


ポーツマス講和条約概要


・日本は、韓国における優越権を得る。

・ロシアは外満洲・樺太・オホーツク海岸・カムチャッカ半島・チュクチ半島を日本に割譲する。

・ロシアはベッサラビアをルーマニアに割譲する。

・ロシアはフィンランド・コラ半島・東カレリアをスウェーデンに割譲する。

・ロシアはポーランド・リトアニア・カザフスタン・キルギスタン・トルクメニスタン・ウズベキスタン・カラカルパクスタン・バダフシャーン・タジキスタン・アルメニア・アゼルバイジャン・グルジアを独立させる。

・ロシア軍は、11月末日までに満洲から撤退する。

・ロシアはシベリア鉄道経営権を放棄し、シベリア鉄道は日本・イギリス・スウェーデン・ルーマニアの共同経営とする。

・ロシアは東清鉄道経営権を放棄し、東清鉄道は日本の経営とする。

・ロシアは議会制民主主義及び立憲君主制を導入する。

・ロシアは日本に対する不平等条約を破棄し、平等条約を締結する。

・ロシアは各国に対し市場開放する。

・講和に参加する各国は現状の日本領が日本固有の領土であることを確認する。

・各国はフィリピン及び今回独立させた諸国を承認する。

・賠償金はロシアが各国に対しそれぞれ15億円相当の金額とする。低年利の国債でもよい。


ポーツマスでの合意成立は、8月30日、各国で報道された。

特に日本では、大きく歓迎された。

9月5日、ポーツマス条約調印。両国の戦争は終結へと動き出した。

一方、日本の優越権が認められた韓国では、第二次日韓協約が結ばれた。

韓国は外交権を奪われ、日本の完全な保護国に転落した。

日露戦争は、これで終わりになります。

次回、最終回(の予定)。

なお続編があるもよう。

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