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7話 機人

今日中にもう一話投稿しますので読んでいただければ幸いです。

 隠し部屋にあったカプセルに入っていたのは人だった。


 「人だよなこれ・・・死んでいるようには見ないけど大丈夫なのか・・・」

 

 あの空きカプセル見たときから薄々予想はついていたが

 実際に人が人が入っているのを見るとかなり動揺しているのは自分でも分かる。

 死んでいるようには見えないがまるで人形の様にピクリとも動いてない。

 どこかこれを開けるスイッチのようなものがないか見てみるが何もなさそうだ。

 ただの棺桶にしてはこのカプセルは大げさすぎる。

 コールドスリープ的なもので寝ているだけだと思うけど

 ・・・そもそも起こしていいのか?

 

 元いた世界でコールドスリープといえば不治の病を抱えた人が

 後世の医療の発達に望みを託して行うというのが一般的だった。

 と、なるとこの人を起こした場合に

 もし何か病を抱えていたとしてたら邪魔をするどころの話じゃない

 へたをしたら俺は殺人者だ。


 「さらわぬ神に祟りなしっていうがやっぱり放っておいた方がいいかな。」


 そうは思うが諦めきれなくてあちこち探ってみるがやっぱりなにもない、しかも。


 「この部屋は照明ないんだな。」


 この部屋だけ暗い、なぜかほかの部屋にあったような照明のようなのがないのだ。

 俺が抉じ開けた壁の穴からかすかに漏れる光しかない、隠し部屋だからか?

 なんにせよこう薄暗くては満足に探し物もできない。


 『ライト』


 便利魔法のライトを再び唱える。

 部屋が隅々まで見渡せるようになったが特に何もないなと思ってたら。



 ―――慈愛の神の魔力を感知しました、機人0号の起動を開始します―――


  

 部屋のどこからかアナウンスが流れる。


 「え、え、え?」


 いきなりの反応に俺が混乱しているとカプセルから駆動音が響く。


 ギュゥウウ、ガシャガシャ、プシュー


 アナウンスの内容から察するに俺の魔法に反応したのかとか

 キジンってなんだ?奇人?鬼人?

 そういった事をこと考えている内にあっさりカプセルが開いてしまう。


 カプセルから出てきたのは女性だ、少なくても見た目は・・・だが。


 身長は以前の俺と同じ170cmぐらいか、女性としては結構高い。

 髪は黒色で背中まで届くロングヘアー、目の色は・・・


 「自立式機人0号起動完了」


 大きな声ではないが通るようなはっきりとした口調で女性はそう言うと

 閉じていた目を開き俺を見た、目の色も髪と同じ黒だな。


 「慈愛神の魔力パターンと一致を確認、性別及び身体データに齟齬を確認

  誤差レベルと判定、よって慈愛神と認識します。」


 目を覚ました後、俺の方を見ながらそう言ってきた。

 いやいや俺を男と認識できたのはすごいが性別は大事だろ、なんで誤差なんだよ。


 「あ~、俺は慈愛の神様本人じゃなくて化身なんだけど。」 


 とりあえずそう言ってみる、さすがにこの人?には化身って言っても大丈夫だろ。


 「化身?私に登録されているデータにはそういった情報はありません。」


 あれ、化身知らないの?

 てっきり化身の俺の為にいてくれてたと思ってたんだけど。

 そもそも一般人でも知っている化身を知らないってどういうこっちゃ。

 とりあえず化身に選ばれたあらましをかいつまんで説明してみる。


 「了解いたしました、ユウト様を慈愛神の力を受けた代行者と認識します。」


 「まあ俺自身化身ってよくわかってないけど大体あっていると思うよそれで。」


 しかし、しゃべってみて思ったがこれはあれか。

 この人は俗にいうアンドロイドってやつか。

 てことはキジンってのは機人、機械の人って書くのかな。

 さっき自立式とか言っていたがそうじゃなかったりする機人とかもいるのか?

 興味は尽きないがまずは


 「いくつか教えてもらいたいことがあるんですが・・・

  とりあえず名前教えてもらっていいですか?」


 俺の名前は伝えたがまだこの人の名前を聞いてなかった。


 「開発コードネームは機人0号です、正式名称は付与されておりません。」


 うーん、予想通りっちゃ予想通りの回答だ。

 感情の無い回答にそう思っていると今度は予想外のことを言われる。


 「ユウト様、正式名称の付与をお願いします。」


 「えっ、俺が名前つけるの?」


 「はい、慈愛神から名付けて頂くようにとメモリ内に記録がありましたので

  慈愛神の代行であるユウト様につけて頂くのが最適と判断します。」


 まじか、この年で名付け親になるとは。

 0号だからゼロ?いやいや安直すぎるし女性の名前としてありなのか?

 欧米っぽい女性の名前ですぐおもいついたのは・・・


 「マリアでどうだろ?」


 たしかヨーロッパかどっかでかなり多い名前だ、安直だがまあ問題ないはず。


 「了解しました、『マリア』を登録いたします。」


 もっといい名前つけろとか言われたらどうしようかと思ったけど・・・

 さすがにそれはないか。


 「正式コードの付与に伴い人格プログラム起動、再起動します。」


 また予想外のことを言い出すと急に動きを止めた。


 「再起動?」


 俺が聞き返すより先に女性。

 いやマリアは動きを止めたかと思うと微動だにしなくなった。

 やっぱりアンドロイドだったのか。

 

 そして時間にして10秒も経たないうちにマリアは動き出した。

 いや正確にはこけた。


 ガタッ、ゴツン!!


 「ちょ、大丈夫か?」


 まるで居眠りしていた人が変な夢見てビクってなったような感じでバランスを崩した。

 こけた際にかなりいい感じに頭を床にぶつけたように見えたが大丈夫か。

 

 「いたたた、頭が、頭が~」


 そう言いながらマリアは床を転がっている。

 えらくコミカルな感じになってないか?口調もさっきまでと違いかなり人っぽい。

 人格プログラムとか言ってたがこれがそうなのか。


 「おい大丈夫か、ほら『ヒール』」


 そう言ってついヒールをかけてやるがそう言えばアンドロイドだった。

 機械にヒールって意味ないよなと思ってしまったがどうやら効果があったようで


 「すみません、ありがとうございます。治りました。」


 少し涙目になりながらもこちらを見ながら礼を言う姿を見ると

 さっきまでと違い人と見分けがつかないぐらいの表情だった事に驚く。

 とりあえず手を貸して起こしてやる。


 「改めまして、機人0号『マリア』と申します、以後よろしくお願いいたします。」


 そう言いながら優雅に礼をしながら再度自己紹介をするが

 さっきのズッコケのせいで俺の中のこいつはドジっ子に認定されてしまっている。


 「よろしく、人格プログラムだっけ?よくできてるな、人と見分けつかないよ。」


 さすがにドジっ子認定は口にしないが正直に思った感想を伝える。


 「ありがとうございます。え~それですみません。

  ユウト様、不躾で申し訳ないのですが少しお願いがありまして。」

 

 若干恥ずかしそうな感じでこちらを見ながらそう言うと

 機械にあるまじき事を告げてきた。


 「なにか食べる物ありませんか。」




 まさかアンドロイドが飯食うとは思わなかった。

 まあ希少な燃料要求されるよりはましだろう。


 そう思いながら目の前で俺の保存食を貪り食う機械娘のマリアを観察する。

 彼女曰く人と同じく食糧を食べることでそれを活動エネルギーにできるとのことだ

 たしかに実は食事っていうのはかなりエネルギー効率がいいらしいが

 マリアはどうも栄養を取っているとかではなく

 食べた物質そのものをエネルギーに変換するらしい。


 元いた世界でも物質そのものをエネルギーに変換することは物理的には可能で

 少量の物質からかなりのエネルギーを取り出せるとか見た記憶ががあるが

 まだまだ未知の領域で実用化なんて夢のまた夢の技術だったはず

 しかし栄養を取るのでないならそこらの石でもいいだろというと


 「石は食べられないので無理ですよ~。」


 もう、何言っているんですみたいな感じで笑いながら却下された。

 納得いくようで、納得いかない返しをされたような気がした。

 確かに石食わすのはあれなので手持ちの携帯食料を分けたが

 分けた分はかなりの勢いで食われてしまっている、結構な量食うなこいつ。


 「食いながらでいいからいくつか教えて欲しいんだけどいいか?」


 「はい、なんでもお聞きください!」


 食事の手は止めないが威勢のいい返事を返してくる。

 もう俺の中ではこいつは大食いドジっ子キャラになってしまっているがまあいい。


 「マリアはだれに作られたんだ?慈愛の神様じゃないよな?」


 最初慈愛の神様が作ったかと思ったんだが命名のくだりからして

 第三者が慈愛の神様に宛てて作ったような雰囲気だったがどうなんだろ。


 「はい、私は慈愛神の為に作られた機人です。

  残念ながら慈愛神に会う事なくスリープしてしまったので名無しのままでした。」


 「出来てすぐ寝てたのか?生まれた頃の記憶って何かあるのか?」


 「一応、起動実験は行い、正式運用しないままにスリープ状態になったみたいですが

  そのあたりの記憶にプロテクトがかかっているので詳しくは分かりません。

  覚えているというよりインプットされていた命令は


  慈愛神に命名してもらう事。


  慈愛神に命名されたら人格プログラムを起動する事。


  その後は慈愛神に着いていくように、という3つだけです。」


 プロテクトがかかっている記憶ってのは気になるが

 なにせあまり作られた当時のことは知らなさそうだ


 「てことは俺みたいな化身にも会ったことがないまま、ずっとここで寝てたのか。」


 「そうですね、起動ログは少なくても私の中にはないので

  ところで今は神記何年でしょうか、そもそもまだ神記って年号なのでしょうか?」


 年号か、そういえば年号どころか日付や月とかも分からない。


 「すまんがまだ俺もこっち来たばかりで年号までは分からないな。」 


 「そうですが、一応私が作られたのは神記6989年です」


 「年号ぐらい街もどればわかると思うけど・・・

  えらい長い年号だな、7千年ちかく続いてたってたのか。」


 この年号が正しいとすると少なくても7000年ちかく文明が続いてたことになるが

 よくよく考えたらアンドロイドや物質のエネルギー変換とかの

 超文明的な技術考えると納得せざる得ない。

 ただ、街の様子を見るにそこまでの超文明には見えなかった。

 何かあって文明が衰退したのか徐々に衰退したのか・・・


 「そうですね、当時の私自身の記憶はありませんが

  一般常識的な意味での記録としては当時は

  人は神々と共に文明を繁栄させていたのですが

  魔神と呼ばれる存在が現れて戦争となったいた、となっています。」


 魔神ねえ、また聞いたことのない新ワードがでてきたな。

 それに昔は化身はいなかったが神様が直接世界にいたのか。


 なぜ神様が直接ではなく化身がいるようになったのか。

 魔神とはいったい何なのか、今でも世界にいるのか。


 前者はわからないが後者については思い当たる節がある。

 ここに来る前に慈愛の神様が言っていた事を思い出す。

 確かあれば俺が化身になった後、魔王退治でもすればいいのかと聞いた時だ


『いえ、魔王というのは存在しません

 昔似たようなのはおりましたが現在はおりません。』


 あの時言っていた魔王と似たようなのってのが魔神ってことか。

 それだと現時点ではいないってことになるな。

 前者の件も合わせて考えると・・・


 よくある話だと魔神とやらを倒したけど神様も力尽きて

 世界からいなくなって文明も衰退したって考えると納得いく。

 100点満点ではないがまあ80点ぐらいは合っていると思う

 今の考察をマリアに伝えると彼女も頷きながら


 「恐らくそうかと思います。

  そのあたりの情報も収集しなければいけませんね。」


 とりあえず今後の方針がきまったな。

 さすがにいないとは思いたいがまずは魔神がいるかの確認だな。

 仮にいたとして何とかなるか分からないし

 別にそれをどうにかしろと言われたわけじゃないが

 せめて現状確認はしとかないと、なにかあった場合

 何も知らないままだと何かをするという選択肢すら得れない。

 

 「ごちそうさまでした。」


 そう考えているとマリアが手を合わせてそう言っていた。


 「って、おまえ全部食ったのか。」


 結構な量を渡していたんだが全部食われてる。


 「エネルギーへ変換するのであるだけ食べれます!」


 なぜか自慢げにそう答えるマリアを見ながら

 あれ明日の分もあったんだけど、どうしようなどと頭を抱え

 食糧の心配しながら今夜はこの遺跡で一晩泊まることになった。

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