6話 遺跡
長い間放置してましてすみませんでした。
諸事情で手が付けれずおりましたが何とか再開いたします。
そんなに書き貯めしているわけではないですが
エタらせないようにしますので長い目で見ていただければと思います。
夜道を歩き、ついた先は冒険者協会、ここに来た理由は三つ
一つ目は飯を食うこと、やっぱりここの飯は旨い。
二つ目はDランクに上がったのはいいが
肝心のクエストがどんなのあるか見てなかったので確認。
三つ目はとある場所のモンスター情報だ。
「あー腹いっぱいだ。」
取り敢えず目的その1をクリアするため
サーモンの包み焼きを完食した俺はそうつぶやいた。
いや、ここの飯まじで旨い。
ここでしかまだ、まともな飯食ってないから分からないがこの世界料理すごすぎ。
この満腹の余韻に浸りたいがさっさと残りの雑用片づけるか。
「あー、Dランクだと魔物退治多いな。」
Dランクはまだ一人前未満らしいが
それでもFとは違い、いかにも冒険者的なクエストが多い。
基本魔物退治的なのが多く、後は護衛や危険なところへの採取活動などが大半だ。
後者も結局は魔物と戦うのだろうから実質、魔物退治のみとも考えられる。
その分稼ぎもいいのが多く、うまくいけば一日で金貨を稼ぐのも可能なクエストもある。
ふと例のパーティー募集もちょっと見てみる。
募集用の掲示板にもメモ用紙が貼られ、そこに募集事項が書かれていた。
どれどれどんな感じだろうと見てみると。
『急募ヒーラー!!未経験者、レベル1から歓迎。一緒に冒険しませんか。』
『ヒーラーさん募集レベル問いません、和気あいあいとしたパーティです。』
『魔法使いの方募集、回復魔法、攻撃魔法問いません、経験者優遇。』
エトセトラ、エトセトラ・・・
うーむ思っていた以上にヒーラー需要あるな。
募集の割合としてヒーラー6、マジシャン2、盾役1、その他1って感じだった。
まるでオンラインゲームのパーティー募集見ている気分だ。
しかしおかしいな、なんでこんなにヒーラー不足しているんだ。
これだけ需要があるならヒーラーになっとけば、食いっぱぐれないから
ヒーラーへなろうとする人も多いと思うんだがなぜだろ。
思い当たる理由はさっき習った魔法の相性だが
回復魔法ってそんなに相性難しいのか。
需要と供給のバランス的に俺に有利なのはいいことなんだが気になる。
まあいい、クエストも目ぼしいのがいくつかあったが
別にそれは今受ける気はない、取りあえず空いている受付ないかな
お、あった。しかもあの人は初日に担当してくれた人だ。
「すいません、聞きたいことがあるのですが。」
「ユウト様ですね、どの様なご質問でしょうか。」
おお、女性に名前覚えられていることに思わず気持ちが浮ついてしまう。
いやまてよ、そもそも昨日の俺が祝福持ちかもってのを報告したのは
彼女のはずだそりゃ覚えているか。
「えーっと実は魔物の棲息について聞きたいんですが
そこの地図のここらあたりってどんな魔物でますか。」
カウンターの脇に置かれていたこのあたりの地図のある場所を示した。
「ここは、ああ慈愛神の遺跡の近くですね。」
そう遺跡だ、慈愛の神様から行ってみるといいと言われていた遺跡。
レベルも5になったのと楯のスキルが使える現状だと
ギガンテスぐらいならもうタイマンなら負ける気がしない。
「このあたりですとオークがでますね。」
「そいつってギガンテスよりは弱いですか?」
名前からしたらいかにも雑魚だがこの世界だとどうだ。
「さすがにBランクモンスターの足元にも及ばないですが
Dランクモンスターで群れる習性があり、それなりに数が出てくることがあるので
現在のユウト様一人では厳しいかと思います。」
モンスターにもランクあるんだな
聞いてみたらそのランクの冒険者がタイマンで勝てるかが目安らしい。
てことはギガンテスはBランクじゃないと勝てないレベルか、そりゃ強いわ。
肝心のオークに対しては俺一人では厳しいとの評価。
俺のランクはDランクでオークと同等だけどそもそも俺はヒーラーだ。
しかもモンスターが複数前提だと考えるとその評価は妥当だな。
正直楯スキルないとして考えるとゴブリンぐらいじゃないと複数は厳しいだろう。
まあ、今の俺ならなんとかなるだろ。
遺跡まで丸一日かかるらしく
帰ってくること考えると一泊野宿が必要になるので
必要そうな道具を雑貨店で買って冒険者協会を後にする。
万福亭で一泊、ついでに銭湯にもいき準備万端で翌朝を迎えた。
銭湯いって髪切るの忘れてたのに気づいたが・・・
「いい天気なのはいいが退屈だ。」
街を出てから歩き続けすでに太陽は真上を少し過ぎている。
道のりは恐らく半分を過ぎたぐらいの場所で携帯食を食べながら
休憩しているがなにもない原っぱを延々歩くのは暇で仕方ない。
途中ゴブリンは出てきたが楯スキル使ってやったら
オーバーキルもいいところだった、完全に作業と化してしまう。
そこからさらに進み遺跡の近くまで来た時には空は夕焼けになっていた。
「遺跡ってより洞窟って感じだな。」
地図に遺跡と記載された場所に着いたがどう見ても洞窟だ
ただ洞窟の入り口の両脇に女性の石像がある。
「慈愛の女神・・・って書いているな」
石像の台座にはそう彫られていたが俺が知っている慈愛の女神
つまり今の俺に似てはいたがもっと妙齢の女性って感じで
今の俺が後10歳ぐらい年取ればそっくりになりそうな容貌だ。
来る前に一応この遺跡について聞いてみたがこの石像のほかには
中に石碑みたいなのがあるだけで他にこれといったものは無いそうだ。
石碑も教会の聖書に記載されているようなお堅い文言があるだけとのこと
実際は聖書じゃなくて石碑の方が元か、まあそんなことはどうでもいいか。
ここみたいな出所不明な遺跡はいくつかあるようだが用途は分からないそうだ。
「・・・これがその石碑か」
ライトの魔法(俺命名)で辺りを照らしながら洞窟を進むと
すぐに行き止まりになり、例の石碑があった。
慈愛とは何ぞやとか色々小難しいことが書いてある。
聖書にも載っているのだから女神さまのありがたいお言葉なんだろうが
まさかこれを見せたいっていう理由でここに向かわせたわけじゃあるまいな。
こういう場合、普通の人にはただの洞窟だけど化身だと秘密の入り口が・・・
っていうのがありがちなんだが特に怪しいのはないな。
「あるのは本当にこの石碑だけか・・・。」
なんか隠されたメッセージでもあるのかと思って石碑に手を触れた瞬間に―――
「うおっ、なっ、ちょっとなんだこれ!?」
いきなり石碑が強烈に光ったかと思うと急に上下の感覚が無くなったように感じた。
「えっ、ちょっ、痛ってー!!」
次の瞬間には床にけつから落とされた。
本当に秘密の入り口があることには驚いてないがまさかこんな乱暴な入り方とは
「おおぅ、目がちかちかしてなんもみえねぇ。」
けつの痛みは大した事はないが石碑の光は俺の視力を奪ったままだ、何も見えない。
徐々に目に視力が戻ってくるとあたりの様子が分かってくる。
どうも先ほどの場所からテレポートかなんかで飛ばされたのかな。
先ほどの洞窟とは違い明らかに人口的な場所だ。
なんというかSF映画に出てくるラボのようで
「なんか元の世界より未来的というか進んだ文明って感じだな。」
今いる部屋は真ん中にテーブルや椅子があって
壁には何も映ってはいないがモニターのようなのがならんでいるが
どれも見たことないような材質が使われている。
おまけに部屋全体が明るいのだがどこに照明があるのかが分からない。
「多分ここが女神様の言ってた場所になるんだろうけど何があるんだ?」
慈愛の神様はここにいいものがあると手帳に記載していたので何かあるのだろう。
武器か防具かはたまた便利なアイテムなのか・・・
進んでいくといくつか部屋があったが
大した物はなくどんどん奥へ探索している状態だ。
なにかここの事が分かる資料的なのがないかも見ているが
ここにはそもそも紙が全くない。
ここが本当に近未来的な技術がある場所なら
パソコン的なので情報は管理していたのだろうか。
確かに怪しい機械なのかよくわからないのはあるのだが操作方法が分からなかった。
いくつかの部屋はあるが一本道な作りで道に迷うことはなく
遺跡の内部を進んでいくとついに行き止まりのような場所についた。
そこの部屋の奥には2mを超える大きさのカプセルが3つほど並んでいた。
まるで人が入れるような大きさだ。
「・・・なかには何も入ってないな。」
思わせぶりな感じで置いてあったが何も入ってないでやんの。
カプセルをよく見るとそれぞれ1から3の数字が入れられていたが
どれもやっぱり空っぽだ、部屋の中にもカプセル以外は何もない。
いかにもな感じがビンビンにするんだが・・・
まあ、いつまでも空っぽのカプセル見ていても仕方ない。
ここに何があったのかは興味は尽きないがとりあえず他を探すか。
結局今回はこの中身が何なのか分からないままになったが
この中身についてはもっと後で身をもって知ることになる・・・
一通りこの中見てみてが全く目ぼしいものはなかった。
さすがに何かあるはずなんだがなにか見落としでもあるのだろうか。
「ゲームでダンジョンの仕掛けが分からなくてつんでいる気分だ・・・。」
こういう場合大体隠し部屋があるのが普通なんだが
何かヒントでもあればとある方法があるのだが・・・と考えていたら
通ってきた遺跡の通路を見ていると、ふととある考えが思いついた。
「もしかして・・・。」
その考えがあっているか確かめるために一旦入ってきた場所まで戻り
もう一度部屋と通路を確認しながら最深部まで戻るってきたがやっぱりそうだ。
この場所は基本一本道で部屋が左右に所々ある構成になっているのだが
その部屋の配置は基本左右対称になっていた。
しかし最後のあのカプセルのある場所だけが対称となる部屋がなかった。
もしあの部屋にも対称となる部屋があるとしたらそれは・・・
「ここの先に部屋があるはずなんだけど。」
カプセルのある部屋の手前、通路のある一面の壁を軽くたたきながらそう呟く。
俺の考えが正しければここに隠し部屋があるのだがどうみてもただの壁だ。
叩いた感じも中が空洞なような気はしなかったが。
「ゲームとかで隠し部屋とか探していると、いつも思ってたことあるんだよな。」
ゲームやっていると仕方ないとはいえ、突っ込みどころとかよくある。
小さな段差で進めないと、膝丈ぐらいの段差超えろよとか
行く必要なさそうだとか言って進めないと、いや勝手に判断するなよとか
隠し部屋でいつも俺が思うのはすごい魔法とかつかえるなら・・・
仕掛けなんか無視して壁ぶっ壊してしまえよってな。
そう思いながら左腕を突き出して楯を出現させると全力で壁に叩き付けてやった。
ガッキィィーーーーーーー!!!
ガッガシィィーーーーーーーーーー!!!!!
グッシャ!!!メシャッ!!!ゴッシャッーーーーーー!!!!!!!
「はぁ・・はぁ・・・、よっしゃ!!!」
何度が叩き付けてやるとだんだん壁がひしゃげてきて
ついには壁が楯に力負けして吹き飛び、隠し部屋が出てきた。
こんだけやって本当にただの壁だったら徒労もいいところだが結果オーライだ。
中に入ると先ほどの部屋と同じカプセルがあった。
数は1台だけで表記されている番号は0
そしてこのカプセルには―――人が入っていた―――