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1話 慈愛の神

初投稿作品の為、拙い部分もありますがご意見ご指摘頂ければと思います。

「あれ?」


 目の前に広がるのは真っ白な部屋だった。

 いや確かに床と天井はあるのだが壁が見えないぐらい果てしなく広いここを部屋と呼べるのだろうか。


「あれ?」


 もう一度同じセリフを口走ってしまう、はたから見たらアホ丸出しだが

 事態がつかめなく混乱しているならこんなセリフぐらいしか口から出ない。

 確か金曜の夜、買ってきたゲームを徹夜でやってて夜が明けてきたから寝たはずなんだが

 だとしたらここは夢の中か?


「いや、さすがにこの感じ夢じゃないよな。」


 一応口に出しながら軽く体を動かしつつ自己確認するが夢じゃないのは確かだ。

 だとしたら死んでしまって死後の世界なのか?健康な16歳男子が一日ゲームで徹夜したぐらいで死ぬとは思えんが死んだことはないので否定できない。


 夢じゃないのはわかるが現実感がないのもまた事実でその理由はこの果てのない部屋だ。

 本当に現実世界なのか?




 あれこれ5分ほど悩んでいたら目の前に人がいた。 


「えっ!?」


 思わず変な声がでてしまったがさっきまで誰もいなかったよな。

 こんな見晴らしのいいところで目の前まで来るまで気づかないのもおかしい。


「前田優人さんですね。」


 目の前に現れた人は二人、腰まで届く銀髪の少女と

 もうひとりは老人なんだろうが弱々しさはかけらもなく

 むしろマッチョな感じの爺さん、妙な組み合わせの二人だ。

 話しかけてきたのは少女の方で口に出したのは俺の名前だった。

 なんで知っているんだ、まあここで知らない名前出されても困るが。


「はぁ、前田マエダ 優人ユウトです。」


 とりあえず普通に挨拶してしまう

 急だったのでかなり間抜けな感じで返事してしまう。


「私は慈愛の神と申します、あなたがおられた世界とは別の世界の神です。」


「儂はとくに名前がないが、お主がおった世界の神じゃ。」


 俺の挨拶に返す感じでそれぞれ自己紹介してくれたが神って

 俺は典型的日本人で宗教にはこれっぽっちも関わり合いはないのだが。


「突然のことで驚かれているかと思います、ですがまずは私どもの話を聞いていただけないでしょうか。」


 少女の神がそういうや目の前にテーブルとイスが現れた。

 テーブルの上にはご丁寧にお茶とお茶菓子まで出てきてる。


「どうぞおかけください。」


「はぁ。」


 事態に頭が追い付かずまたもや間抜けな感じで返事してしまいつつ席に着くと神様二人もイスに腰掛ける。

 こういうのって本当は目上の人が先に席に着くのがマナーだったけ

 まあいいや。


「まずは急なお呼び立て申し訳ありません、単刀直入に申しますと

 あなたを私の世界へ勧誘する為にこの場を設けさせていただきました。」


「儂はその立ち合いみたいなもんじゃな

 一応お主は儂の世界の住人じゃからのう。」


 いきなり神から勧誘とか宗教関係者からしたら失神ものな気がするが

 無神論者の俺からしたらピンとこない。


「勧誘ってなんで俺なんかをわざわざ勧誘されるんですか。」


 とりあえず疑問に思ったことを聞いてみる。

 俺みたいな一般人勧誘して意味あるのか?あるから誘っているんだろうけど。


「はい、私の世界はこちらの世界と色々違い、神が何名かおり

 それぞれの神々が化身と呼ばれる己の分身のような存在を生み出しております。

 普通は私共の世界にいる住人の中から適合者を選定し

 化身へなっていただくのですが

 私の化身は選定条件が厳しく中々適合者がいないのです。

 適合者が見つからない場合は他の世界から適合者になりうる方を探し

 こうやってその世界の神と共に交渉させていただいております。」


「つまり俺がその慈愛の神様の化身の適合者でその化身とかいうのになってもらいたいってことですか?」


「はい、その通りです。」


 まじか、慈愛の神の適合って確かに名前は優しい人って書くが

 そこまで優しい人間じゃないぞ

 と思いつつこうやって話聞いている時点でお人よしなのかな。


「その化身になってなにすればいいんですか、魔王退治?宗教団体の代表者?」


「いえ、魔王というのは存在しません

 昔似たようなのはおりましたが現在はおりません。

 魔物はいるのでそれの退治はできます。

 宗教団体といえる組織はあります、良くも悪くも私の信者や信徒は多いので

 規模はかなり大きいですが私の化身でしたら

 教団のトップに立つことも可能です。

 それぞれの道を進んでもらっても問題ありませんが

 特に何をしないといけないというのはありません。

 重要なのは私の化身が世界に存在するということです。」


 いくつか気になることも言われたが

 特に行動縛られなさそうなのは良さそうだな。

 何をやるかはその世界に行った後に追々考えてもいいかもしれない。


「化身になれば不老不死となります。

 ただし不死というのは自然死しないというだけで

 殺害された場合は死んでしまいます。

 あなたが死んでしまった場合や化身としての役割を辞退していただければ

 化身としての役割は終了となります。

 ただし後者の場合は次の化身適合者が見つかるまで

 引退を待って頂くのでご了承ください。」


 一応後で引退はできるのか

 まあ殺されたら死ぬのはしょうがないんだが気になるのは


「どういう理由で俺が選ばれたかはわかりませんが

 慈愛の神の化身として相応しくない行動とった場合どうなります?

 例えばですけど、罪もない人たちを意味もなく殺したりとか

 さっきの教団とかのトップになってやりたい放題したりした場合。」


 解任されるのかもしくは粛清されるかのどっちかだろうかと思ったが

 予想外の回答が来た。


「化身として選ばれた後、化身の行動はすべて神の行動として扱われます。

 化身の行為は神の行為となるので神の私が裁くということありません。

 神が自分自身の分身として責任を持つという意味もこめて

 代理人や代行者ではなく『化身』という言葉が使われております。

 これは私の世界の人間達の間にもある認識となります。」


 そういえば化身って神様が別の姿をとって現世に現れた者って意味だっけ?


 本当の意味で化身=神様ってことか。


「信頼してくれているってことなんでしょうけど神様と違って人ですから

 道を間違えたりすることもあるかと思うのですがその場合どうなります?」


「いえ、神も過ちを犯すことがあります。

 まず、化身を選ぶ際の選定の条件の一つに魂が近い人間しか選べません。

 あなたが私の分身として選ばれた時点で無益な殺生などはしないのは

 間違いないですが

 神が過ちを犯すのと同じくあなたが道を誤った場合には

 他の神の化身や世界の人々が正してくれると信じております。

 逆に道を踏み外した化身や人達に対しては手をさしのばしてあげてください。

 ただ、どの道が正しいかは立場によって容易に変わります。

 私の化身となった後は様々な立場の人たちを見守って頂ければと思います。」


 要約すると信じているから頑張ってくれってことになるんだろう。

 いちいち細かく管理されるのも嫌だしまあいいかな

 たしかに別にさっき言ったことやりたいわけじゃないし。


 ただ、そもそもの前提条件で1つ重要な問題がある。


「選んでいただいたのは光栄なんですがそれって例えば俺が寿命かなにかで死んだあと魂かなんかがそっちいくとかだめですか?

 一応家族とか友人がいるのでそういったの置いてホイホイそっち行くってのはちょっと抵抗あるというか正直行きたくないんですが。」


 正直かなり冒険心がくすぐられる提案なのだが今言った問題があるので

 この話はお断りしようかと思っている。

 その割には色々聞いてしまって申し訳ないとは思ってしまうが

 やはり家族おいていくのはなぁ、一応長男だし。


「その問題についてはあらかじめて予想しておりましたので1つ解決策をご用意させていただきました。」


 まじか、さすが神様何でもありか

 正直行ってみたいのも本心なので内容次第では食いつきたい。


「うむ、その方法については儂から説明させていただこう。」


 と、俺の世界の神様が顎鬚をなでながら説明を始めてくれた。

 神様だけあってかなり様になっている。


「方法というのは簡単で、お主の魂を半分にし片方をこの世界のお主の体に止め

 もう片方を慈愛神の世界へ送り込むという方法じゃ。

 半分になり減った魂は儂と慈愛神でそれぞれ補填すれば問題ない

 まあ儂の世界の方は物質文明じゃから魂半分でも特に問題はないが一応な。

 そうすることによってこちらの世界のお主の家族もお主と別れることなく

 お主自身と暮らすことができるわけじゃ。

 この方法の欠点は慈愛神の世界に行ったお主自身はこちらの世界に戻れず

 家族とは会えなくなる点じゃがたまになら儂の力で戻してやろう。」


「よろしいのでしょうか。」


 こっちの世界の神様の提案に慈愛の神様が驚いた顔で聞いてきた

 たぶん最後のたまに元の世界に戻すってのに驚いているだろうけど

 結構特別処置なんだろうか。


「うむ、それぐらい手間はかかるが特に問題はないからのう。

 慈愛神の化身はなかなか見つからんからこれぐらいで

 成り手が見つかるならよいよ、どうじゃやってくれるか。」


「それでしたら正直興味があるのでやらせてもらいます。」


 問題点がなくなったので二つ返事でOKをだす。

 俺の偽物とかじゃなくて俺自身が残るなら問題ないだろ。


「ありがとうございます、では早速儀式をさせていただきます。

 こちらへ来てください。」


 慈愛の神様が深々と俺と俺の世界の神様に頭をさげると

 少し離れた何時の間にか出来ていた魔法陣のようなところに歩き出していた。

 俺も言われるままに魔法陣に行くと魔法陣が輝きだしてきた。


「では目を瞑っていただいてよろしいでしょうか、すぐにすみますので。」


 そういわれて目を瞑ると両手を握られる

 ちっちゃい手だなと思いながら待っていると

 段々と意識がなくなってくる、まるで徹夜明けで眠るようだ。


「よろしくお願いいたします。」


「頑張って来いよ。」


 神様二人の応援を聞きながら意識がなくなる。





 目が覚めると日が結構上っている、感覚でわかるこれは正午過ぎているな。


「やべぇ、また怒られる。」


 おそらく用意されている昼飯と妹の小言をもらいに

 1階の台所に向かう為、ベットからよたよた起き上がる。

 なんかすごい長い夢みてたきがするが

 こういう夢に限って内容さっぱり覚えてないんだよな。


「結構寝たはずなのになんか逆に疲れた気がする。」


 飯食ってたらゲームを再開しようかと思ったがこれは二度寝コースだな。


 いつもと変わらない休日、変わらない日常、変わらない世界。

 それに疑問も持たず一日が過ぎていく。

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