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傀儡壊潰(かいらいかいほう)
酷いことに少女は
酷いことと思わず
無邪気に弄び
無自覚に壊す
酷いことに世間は
酷いことと考えず
何気なく造り
不要だと壊す
服を裂かれ
腕をもがれ
足を切られ
髪を焦がし
崩壊された人形は
崩潰された傀儡は
当然のように何も言わず
当たり前に動くことなく
ただ静止するのみ
その虚空の瞳は
魂の抜けた人の死体に似て
その空虚な眸は
死んだ魚のように白く濁り
だが何事をも訴えず
だが何者をも恨まず
無意味に生まれて
無意義に壊される
感情は無だと
心など無いと
人形は造り出され
好き勝手に遊ばれ
最後には壊される
人形は人の傀儡
人形は人の傀儡