困った訪問者
冬と春の中間点
別れの季節と進級の慌ただしさが交じり合う頃
今はまだ3月なのに新入りが現れた
僕の住んでいる町はもう大好きな桜のピンク色は見当たらない
いつの間にか黄緑色の爽やかな装いになっている
今年の桜の花をよく見納めなかったことを本当に残念に思う
今はまだ3月なのに
僕の心の中に新入りが現れた
”コンコン”
”コンコン”
何度もノックされた
この中を寒いと言ったら嘘になる
まだ外は暖かいとは言えない季節なのに
"そうだ新入り呼び名は何にしよう?"
ドアを挟んで問いてみる
暗い夜空のような「暁」?
白紙に流れ落ちた色「紅」?
やっぱり僕にはお前に名前つけてあげられない
第一正体が分からない
何より
壊してしまっても責任とれない
"そうだ!!誰にもバレないで枯れてくれるのを
居なくなってくれるのを待とう
でもな…
僕の所にはもう訪問者来ないと思ってた
でもお前は来てくれた
「誰かいるの?」
質問されても何も答えられない
まだ知らないお前を隠している
ごめんな
この中のこのズッシリとした「重い」も
現れた頃からとっくに知っていたのに
上から黒く塗りつぶす
でも
お前は消えちゃくれない
何度も鮮やかに舞い戻ってくる
入ろうとする
だから…
何度も知らないふりする
知らないふりした
でも
お前は大きくなるばかりだ
そろそろ認めなくちゃ
"もう訪問者中にいれてあげようか?"
いつも暖かくしてくれたから
前にも来てくれたけど枯らしてしまったね
潰してしまったね
殺してしまったね
忘れてしまっていたから
ごめんな
ごめんな
お前ずっと居たんだろう
隠してて
入って来いよ
胸の中に手土産
冬の次の季節を持ってきてくれた
「好き」
それがお前の名前だろう
寒かったろう
ずっと
認められなくて許してくれ
今度はちゃんと
成長させるからな
僕の中に訪問者が現れた
新しい気持ちが生まれた
逃げてたコイツ
君を好きだというこの
想いと向き合っていこうと思う