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しつこい人程意外に根はいい人かも?

はい。かなりお久ですウドの大木です

ここ二ヶ月朝六時出勤という地獄を味わって執筆が遅れてしまいましたすいません。

今回のネタ提供は暇神様のネタです。

それではどうぞ




求めよ力を


奪えよ力を


全てを薙払う力を手に入れよ




なれば我は貴様に力を貸そう















温かい気候になりそろそろ夏服でも出そうかと考えてる霞は月一の買い物に来ている

我が家の炊事は全て担当しているので必然的に買い物に行くことになる

と言っても流石に月一分の買い物は大量なのでお手伝いに一人同行してもらう

そして隣にいるのは前回犯罪に心染めたミスターフェチこと慎である

ジャンケンに勝利した慎はお手伝いに料として【月刊、世界の著名人(衣類編)】を買ってもらってご機嫌


両手背中に山のような荷物を携え、気味悪いくらい笑顔な慎は歩く公共猥褻物で先程警察に補導されかけた




「いや〜平和だな」

「そうだな。お前がもっとマトモだったらもっと平和だったよ。俺の人生も」

「はっはっは、ザレゴトは死んでから言え」

「はっはっは、なら貴様のその本を共に連れてってやろうか焼却炉に」

「ごめんなさいごめんなさいもうしません」



なんとも和やかであった




とそね時二人の表情が険しくなる



「なあ霞、加弥って来てたっけ?」

「いや、深娜も洸夜もお留守番だ」

「ならこの威圧はなんだろうね」

「新手でしょ」



100m程後方で大爆発が起きる


煉瓦造りの家を軽々と壊し周囲の物をゴミの様に吹き飛ばす



そこに立つのは獣の様な形をした黒の厚手の鎧に身を包み、長身で引き締まった腕と2mを軽く超す大剣、短い金髪を黒のバンダナでしばり、何かに飢えた血の様な鋭い眼光は獲物を捜し辺りを見回し続ける




「どうする霞」

「関わりたくないから逃げる」

そのまま歩き去ろうとしたが男の眼は逃さなかった

「貴様、魔王と呼ばれる人間だな」

地を爆発させ一瞬で距離を縮め数歩手前まで詰める

「もう一度問う。貴様は魔王と呼ばれた者か?」

低く威圧のある声になかば嫌気を指しながら答える

「そうだが何か用か?」

「俺と闘え」

『はっ?』

「闘えと言ってる。そうするは俺はまた強くなる」

「こりゃまた唐突だな霞」

「ああそうだな。だがそんな暇はない。早く帰ってホットケーキを作ってやらなければいけないのでな」

「貴様の事情など知ったことではない。闘え」

赤黒い大剣を構え男は笑う

「来いよ魔王!」

大地の破砕と共に横薙に一閃斬りかかる

後方に避ける二人は荷物を抱えたまま一目散に逃げる


「速いな彼奴の動き、相当修行したんじゃねーか」

「ああ、多分漆黒の狂騎士って奴だな。それより今は逃げるついでに彼奴を街から離す。これ以上評判落ちたら買い物に困るからな」



振り向き様にアイスを二発狂騎士の手前に打ち込む


しかし氷の柱はすぐに砕け散り直ぐに追ってくる

「逃げるか!仮にも魔王と呼ばれた貴様が!」

魔力の込められた刃は真空の刃となり二人に襲いかかる

「知るか戦闘狂!」

素早く宙に避けた慎

だが運悪く落ちる【月刊世界の著名人(衣類編)】


ズタズタに引き裂かれた月刊世界の著〜(以下略)を凝視しながら慎は叫んだ


「ぅああああぁぁぁあぁあああ!」

砕ける窓に崩れる煉瓦、亀裂の走る路面!


それだけ慎には嬉しく貴重だったのだろう







その衝撃波により逃げのびたのは幸か不幸か定かではない




小高い丘を疾走する二人とそれを追う漆黒の騎士


「しつこいぞこやつ〜」

未だに山のような荷物を一つも落とさず走り続ける慎

「取り合えずお前逃げろ。何とか足止めするから救援頼む」

急停止と同時に掌を騎士に向ける


「エアロ!」

騎士の手前に着弾した空気の塊は粉塵を巻きあげ一時的に視界を奪う

その一瞬の隙に横に飛び退き空に向かい連続でアイスを打ち続ける。その結果巨大となった氷にエアロをぶつける


「氷柱雨、即席だから勘弁な」

降り注ぐ氷の刃は容赦なく大地に突き刺さる

「つっても効く分けではないがな」

砂塵が薄れ現れたのは無傷の騎士

地に突き刺さる剣から吹き出す魔力

「ふん。こんな低級呪文で傷なんか付く分けあるまい」

「その剣は確か舜黒だな。伝説的な聖天子の裏の剣と言われた宝刀」

「知ってるのか」

「無論な。犠の血を刀身に纏いし時、主に力を注ぐ。犠の肉体に刀身を纏いし時、主守りし地獄の盾。最悪な魔剣だよ」

「はっ。なら話ははえー。素直に殺されろ」

真っ直ぐ突きつけられた刃を眺め溜め息を吐く

「俺は戦闘より交渉向きなんだよな」

地に手をつき魔力を注ぐ

「時間稼ぎだ。アースバウンド!」

亀裂の走る大地は霞を中心に拡がり、大地を削り弾け飛ぶ

更に先程のアイスは宙に逃げる騎士に向けて突き進む

「ぬるいわ!」

力任せな振った魔剣から吹き出す突風により氷の刃は無散し、勢い劣らぬ突風は霞に襲いかかる

しかし霞は笑う

「我、悲しみに潰され、されど慈悲により声のみの存在となりし精霊。エコー!」


衝撃波が大地を破壊するがそこに俺はいない


何処を狙っている?



「クソっ!何処へ消えた!」



後ろかもな?


騎士は振り向き様に一閃するが虚しく空を斬る



おいおい信じるなよ。敵だぞ一応



「黙れ魔王!そこか!」


突き出している岩を粉々にするがそこにも俺はいない




元々さっきの場所からほとんど動いていない

エコーは姿を消し、音を反響させるものでアースバウンドもその為の前準備みたいなものなのだ



「仕方ねー。この辺一帯吹き飛ばす!」

騎士は大量の魔力を魔剣に注ぐ

あれだけの魔力、恐らく深娜と並ぶ魔術師だろう


ぶっちゃけヤバいよ。そろそろ救助来るころなんだけどな



目に見える魔力を一点に集め振り下ろそうとする






「ちょっと待ちや〜〜」

空高くに舞う一人の男は雄叫びと共に自由落下してくる

「っっっイィィィィィィィっやっふ〜〜〜〜!!!」

着弾すると大地はへこみクレータを作る

後方に飛び一撃を避ける騎士

「な、なんだ!」

「アイアムマコト!!」


一応助かりました

姿を現して慎の隣に行く

「遅いぞ慎、危うく消し飛ぶとこだった」

「ああ悪い。実は帰ってる最中に卵を落として」

「キエエエェェェェェェェ!!」

「ぐあっ、やめろ霞!俺達は仲間だ!何?卵を大切にしない奴は霞内法廷により私刑?しかも極刑!うわ独裁法廷だ!反対反対!独裁法廷反たメキョ・・・・・」

肩で息をする俺は地に転がる罪人を蹴り飛ばす

「罪の重さを知れ!」


そこへ駆け付けた三強はあえて慎を無視する

「何があったの霞」

「いやな、そこの狂騎士さんが勝負しろだとさ」

騎士は油断なく魔剣を構える

「でも霞君、ホントに戦うの?」

「そうよ。見る限りかなり出来るわよ」

「まあな。しかしやらなきゃ涯まで追ってくるシツコサだ。そこでだ騎士」

ゆっくり近付き数歩手 前で止まる

「俺は5対1なんて卑怯者戦隊みたいな事はしたくない。そこで日を改めてタイマンで勝負ってのはどうだ。見る限りさっきの町でも暴れたんだろ。仮にも俺等は魔王の名前持ってるんだし万全な状態でもなきゃ面白くもあるまい」

「・・・・・・ふん、よかろう。詳しい日程は」

「明日の昼に直接伝える。場所はイルノア中央噴水でだ」

「よかろう。ならば俺も漆黒の狂騎士として名乗る」

騎士は地に魔剣を突き刺し高らかに吠えた


「我の名はアウグストゥス!力求めし覇邪の騎士なり」



アウグストゥスは漆黒のマントを翻し、イルノアへと向かっていった













さて、只今重大会議の真っ最中。まずタイマン勝負のやり方

「議長、一日一試合はどうですか?」

「加弥議員、それは余りよくない。もし連敗すれば後の試合に影響する。ですのでここは一つ代表戦か彼に少し増えてもらう」

『は?増える?』

「まあそこは後々。次に試合の日だが何日がいい?」

「はい!一週間後!」

「重罪人慎に発言権はありません。今すぐ卵買ってこい」

「三日か四日もあればいいんじゃないかな」

「ふむ。では反対意見がなければ先塚議員の意見を採用します」


「それはそうとアウグストゥスって男、あいつの剣ってかなりの代物よね。それからあの鎧も」

「ああ。あの剣は反則級の魔剣、それとあの鎧は反則級の生きた鎧。どちらもリスクは大きいが破壊不可能の世界に数少ない最上級武具の一つだ」

鎧の名は異慾(いかく)の獸鎧。

力を求めた妖術師が命と引き替えに鍛えあげた鎧。その鎧を着ける限り痛みを奪われ己の命を代価に魔力を与える



「取り合えず相手に交渉してみるから」

俺は部屋に戻り電話を取りとある場所に電話する

「どうも霞です。実は折り入ってお願いがありまして」




さ、商売商売










試合当日、指定された場所に来たアウグストゥスは絶句していた



広く整備された闘技場、割らんばかりの歓声、そして異人慎のアナウンス


「さ〜東門から現れたのは国々を渡り歩きその名を轟かせ幾多の軍団をその剣で螺子伏せた屈強にして孤高の魔人!人は黒い悪魔と叫び、人は悪夢の襲来と叫び、人々を恐怖に染めた漆黒の狂騎士。アウ〜〜グス〜トゥ〜〜ス!!!」

大地の揺るがんばかりの歓声、そして次々と投げ込まれる投石類。しかしそれは見えない壁に全て阻まれ投げた本人に返っていった

「言い忘れたがこの闘技場は完全防御陣を張ってるから黙ってれば被害はありません!分かったか馬鹿共!!」


慎に向かって投石開始




「慎く〜ん、ちょっと逃げないでよ。あ!すいませんでした。今回防御陣張ってます洸夜です。皆さん余り物を投げないで下さい」

すると投石はピタリと止み、床で悶えてた慎も復活、アナウンス再会です

「はぁはぁはぁ、では次の紹介だ。西門から現れるのは現代の魔王霞!説明は省くぞゴラ〜!」

ああ、終わったら慎の命を貰うか

「さて、次は現れるのは紅き鬼神、朱の鬼姫。その姿何人も見えぬ神速の領域!可愛らしいその姿から思いもよらぬ一撃を放つ美少女!大甼〜〜〜か〜や〜〜〜!ぶっちゃけ好きだ〜!!!」

観客総出の歓声が会場を包む。大地を震わすとはこのことだ。

つうか慎、ぶっちゃけ過ぎだ

「はぁはぁはぁはぁ、危うく意識が飛ぶとこだった。そして最後に現れるのが我等の黒き魔女。死神の代名詞を持ちその魔力と鎌は正に死神!逆らったら最後、消し炭すら生ぬるい一撃で全てを消し去る魔王側近!大川〜〜み〜〜な〜〜!ふざけた紹介すいません。消さないで!」

ならやるなよ



とまあふざけた紹介も終わった事なのでまずは商売から


闘技場に設置された大型スクリーンに表示された数字


魔王―――3、2倍


狂騎士―――9、5倍



「おお〜っと。なんと狂騎士のオッズ9、5倍!これは予想より高い!あ、はいはい。只今入った情報では狂騎士側の券の注文が殺到してる模様。狂騎士側が圧倒しております。残り時間は5分切りました。まだ御求めの方はお早めに券売場へどうぞ」




怒りを抑えながらアウグストゥスは睨みつける

「おい、なんの真似だこれは」

「ああ、実はここ最近いろんな方が色々と器物破損を起こしとね。例えば変人が美術館壊したり、例えば鬼姫さんがナンパして来た男を叩きのめすついでに家屋7棟倒壊させたり、例えば魔術師さんが訓練ついでに私有地の山を4分の1程消してしまって。お陰で俺のへそくりが極端に減って財布が寒くなってね。ちょっと稼ごうかと」


目を細めながら遠くを見つめる

後ろではバツの悪そうな顔をする二人


「過去を引きずるな!蒸し返すな霞!あれは仕方がばらはっ」

張ってある筈の防御陣を突き破り跳び掛る俺

「やめろ霞!その技は!その技だけはイヤメテェ〜〜!!はうっ」

四つん這いでプルプル震える慎

「慎、お前は何か勘違いしてるな。あれは立て替えただけだ。生涯掛けて返してもらうんだからな」

「・・・・はい、ずびばぜんでした。がならず返じます」

震えながら涙を流す慎を残し再び闘技場に戻る

「それじゃ狂騎士。始めるか?」

「ふん、さっさとしろ」



俺は掌をアウグストゥスに向ける

「我、忍の祖にして漆黒の鬼、オンギョウキ!」


するとアウグストゥスの影から二つの黒い固まりが浮かび上がり人の形になる

「そいつらはお前の意識通りに動く。力も魔力も全て同じだ。問題あるまい?」

「ああ。早く殺り合おうぜ」

突き出された大剣からは魔力が吹きで、大地を静かに震わせる




「そ、それでは、魔王VS狂騎士。バトルスタート!」

気力を振り絞った合図と共に大地が吹き飛んだ

縦に振り降ろされた大剣を後方に避け三手に別れる

しかし既に先回りした影は横薙に一閃。加弥めがけ大きく振り抜く

「ふふん。遅いよ」


間近に迫る大剣に千角の刀身を添え、大剣を滑るように宙を舞う。影の後に着地した加弥は身を屈めその上を大剣が勢いよく通過し、再度後方に跳ぶ加弥が先程までいた場所には大剣が突き刺さっていた

「乙女に二人掛りって酷くない?」

「あら、もう弱音?」

影は先程突き刺さした魔剣から素早く魔力の壁を展開し、その壁に次々と灼熱の嵐を叩き続ける

空を舞う深娜は右手に持つ断罪の鎌に魔力を注ぎ二つの影に向けて大きく振り抜いた

「バカね。魔法使いの攻撃が全て魔法とは限らないのよ」

断罪の鎌に注がれた魔力は鎌をそのまま巨大化させたように膨れ上がり大地を薙払う

舞い上がる砂塵を見つめ深娜は舌打をして加弥の隣に降りる

薄れる砂塵の中には大剣で防ぎ全くダメージを受けていない二つの影がいた

「卑怯と思わない?あんな武器」

「あれ〜深娜ちゃん、弱気?」


二人は油断なく構えた

「ま、頑張ろ〜か?霞の事は一時休戦ってことで」

「何を休戦するのか分からないけど。まあ仕方ないわね」


二人は同時に動きだした












対峙する魔王と狂騎士


「はたからみてどうだいあの二人?」

「強い。流石魔王の一員と言ったとこだな」

微動だにしない二人

「ぶっちゃけ俺一番弱いんだぞ」

「はっ、冗談にしては笑えんな。仮にも砂地の魔女の指南を受けたんだろ」

うわっ。情報漏れ激し〜

「はっきり言ってあの女には今でも勝てん。化け物だ」

物凄く渋い顔になるアウグストゥス。まああの人は本当に怖い。平気で人を生き埋めにして三日ぐらい忘れる人だ

「さ、始めるぞ魔王。示せよその力!」

まあ負けたら後々大変だし本気を出すまでだ

「御相手しよう俺の敵。ああ示そうじゃないか細やかな力を。謝っても遅いがね」

狐面を着け深く息を吸う

「取り合えず負かす」

素早く懐からナイフを抜き放つ

それをものともせず真っ直ぐ突き進み魔力を注いだ魔剣を振り抜く

剣から放たれる真空の刃が無数に放たれ大地をズタズタに引き裂く

しかし全てギリギリで避け無傷で地を蹴り宙を跳び叫ぶ

「示せよ!原古の氷と霜より生まれし世界の祖の巨人ユミル!」

突き出す手の先の空間が歪み黒色の巨大な拳が闘技場にめり込み狂騎士を襲う


「グッ・・・、な、舐めるな!」

力任せに振り払い空へと突進する

しかしそこに霞の姿はなく既に大分離れた位置、加弥と深娜の後に移動し構える

「御二方、苦戦しすぎでは?」

「だってこいつの鎧硬すぎだもん」

「それは分かるが頭を使えばよいではないか」

「霞、無理なものは無理なのよ」

「深娜ちゃん、今遠回しに馬鹿にしたよね?」

「気のせいよ」

「まあ頑張れ。頑張ったらご褒美でもあげるから」

二人の肩をポンと叩き狂騎士の方へと跳ぶ




半ば呆然としていた二人は力強く大地を踏みしめる


『さっさと掛って来なさい!血祭りよ!』

現金な彼女達だった









「さ、仕切り直しだ。ついでに教えとくけどさっきの攻撃が今出せる割と全力攻撃だから」

「貴様、わざわざそれを教えてどうする?」

「まあなんだろ。魔王の余裕?みたいなもんかな」

忍笑いの後肩から力を抜き相手を見据える

「魔女直伝の卑怯技。見せてやるよ」

ゆっくりと歩き右手にナイフを構える

「はっ、見せてみろ!」

カッという地を蹴る音と共に一瞬で後に回り込み上段から一気に振り下ろす


それをギリギリで避け距離を開け地に手を付け少量の魔力を注ぐ


相手の攻撃を最小限の動きで避け次々と魔力の拠点を増やす

「さっきから何をチマチマと。やる気はあるのか!」

しかしなに一つ語らず無数の縦断、横断、袈裟斬り、突の連撃を避け続ける


とその時異常な破砕音が響く



そこには黒影と鮮血に染まった骸の山で型どられた巨大な門が聳え建ち、そこから白く長い白骨の腕が伸びている


「開きなさい。闇より拡がりし地底の世界。飲み込みなさい、冥界の闇よ!」


白骨の腕は獲物を見定めたかのように動き、五指は一瞬で影の騎士を地に縫いつける


「な、なんだあれは!」

驚きを隠せないアウグストゥスを横目に笑う

「俺よりも遥かに強い魔王の仲間さ」


押さえ付けれた影の周りから数百、数千と数えれない程の骨の手が影を掴み地は割れ紅く染まる冥府に引き擦り込んでいく

ゆっくりと地は戻りそこに初めからなにもいなかった静寂に包まれる

「はぁ、これかなり疲れるのよ。後は任せたわよ」

そう言って立ち去ろうとする深娜を捕まえたのは他でもない。俺だ

右手を膝裏に通しもう片方の手で肩を掴む

いわゆる御姫様だっこである

「すまんな深娜。今残ってる魔力分けてもらうよ」

慎や洸夜がいる司会席に跳びながら肩を掴む手に力を入れ強く引き寄せ膝裏に伸ばしていた手を素早く離し深娜の手に指を絡める

手を通して流れる魔力を調節し、手を離して再び御姫様だっこ

そして司会席に深娜を座らせ闘技場に戻る




椅子に座らされた深娜は完全に思考回路がオーバーヒートを起こし何が起きたか未だに理解出来ず呆然としており、洸夜は涙目で深娜をガックガック揺らしている



そんなことを知らずアウグストゥスの前に降りた俺は先程貰った魔力を掌に集める

「さ、ラストバトルだ。止めれるかなこの一撃?」

「黙れ!さっきからこざかしい真似ばかりしやがって。消してやる!」

ありったけの魔力を魔剣に注ぎ地に突き刺す。

この魔剣から吹き出す魔力は地に流れ込むと同時に周りに溢れる魔力を吸収して再び魔剣に戻ってきた

普通ならばこの時点で魔剣の力は数段強くなり、たとえ洸夜の最大防御でも防ぐ事は難しい一撃必殺となる

しかし今回は違う

戻ってくる筈の魔力は逆に狂騎士の周りから溢れ黒い影となり絡み付く。締め付ける影は狂騎士の動きを完全に封じ込めた


「ぐっ、な、なんだこの影は!」

力任せに引き千切ろうとするがビクともしない


「いや〜いい眺めだ。どうだい俺の罠の感想は?」

さっきから地に注いでいた少量の魔力は魔力に対する直接的な関与がなければ発動しないトラップである。一個だけではさして強い束縛は出来ないが複数にもなれば余裕で狂騎士を押さえることができるのだ

「さてさて。動けない君をどういたぶろうか?」

邪悪一色の声に動じることなく睨み続けるアウグストゥス

彼は強い。肉体的にも精神的にも

だからこそ面白いのだ。こいつが慌てる姿を見るのが

「あ〜。あの人の性格が少し染み込んでる。少し大人げないけどいいか」

そう言って手を叩く


すると俺等の入ってきた門が開き、一人の少女が歩いてきた

あまり状況が理解出来てないらしく脅えながら予め指示された俺の隣に来る

「アメリア!!」

「そうだね。君の唯一の肉親の妹さん。いや〜大変だったよ。ここまで来てもらうのが」

仮面を外し更に邪悪に笑う

「さて、今の君の立場は分かるかな?」

「き、貴様外道か!」

「おいおい何を言ってる。さっき言ったろ。魔女直伝の卑怯技って。勝つためなら何でもしろ!あの人はそう教えたんだぞケ〜ケッケッケ!」

我ながらアホらしい笑いかただ

「に、兄さん。私、もしかして大変な事しちゃったの?」

不安な表情のアメリア

「さて、どうする?君が降参しなければこの子は彼処の馬鹿フェチ慎にプレゼントだぞ?」

「マジか!マジか霞!ひゃっぼ〜〜〜!まっくろ狂騎士〜!戦えよ〜!戦っちゃえよ〜!」

「ふざけるな貴様!八つ裂きにするぞ!」

マジギレする男は今までで一番キレている。拘束している影がギチギチ音を鳴らしている。ヤバいや、こなままだと破られるな

「ま、冗談は置いといてだ、ぶっちゃけ降参しろ。まだ奥の手をいくつか用意してるが流石にアレは卑怯以前に人として使いたくない物ばっかだからさ」

「馬鹿か!俺は自ら敗けを認めない。勝つか死ぬかなんだよ!」

「アレを見てもか?」


指差す方には黒い影に馬乗りになりひたすら殴り続ける加弥がいた。殴れば影の足がビクンと震え、地面の亀裂が伸び、観客は皆視線を反らしている

「霞が深娜ちゃんを御姫様だっこ霞が深娜ちゃんを御姫様だっこ霞が深娜ちゃんを御姫様だっこ霞が・・・・」

まるでお経の様に唱えるその姿は恐怖以外のナニモノでもない

「な、だから降参しろ」

「断わる。敗ける時は死だ」

うわっ。あれ見てもまだ言うか?

「あっそ。なら慎〜」

「それだけは止めろ!妹に手を出すな!」

「ったくメンドイな、そんなに自国の王が嫌いか?」

「なっ!なぜ貴様がそれを」

「調べりゃ分かる。確かに彼処の国の軍事力は半端なくでかいが何も力で向かわなくてもよかろうが。どうせ後数日で崩壊するんだ。頭を使え頭を」

ちょ〜っと御偉い様と話してちょ〜っとトアル物をチラッと見せて終了

「つうか殺しはせん。どうせ砂地の魔女と同じ事言われたろ、後味が悪いって」

図星らしく反論出来ずに黙る騎士

俺はアメリアの肩をポンと押しアウグストゥスの隣に行かせる

「妹さん。あんたの兄貴しっかり見張ってくれよ。止めれるのはあんただけなんだからよ」

先程深娜から貰った魔力を使い魔法陣を描く

「魔女にお願いして二人の国に魔力の結晶を置いといてもらった。つうわけで帰れ狂騎士」


「ふざけるな!まだ貴様と決着がついてね〜!逃げるのか!」

「はっ!妹一人で取り乱すお前の敗けだ!出直してこい!つっても引っ越すから当分会わね〜けどな」

「糞野郎が!絶対に逃がさん!何処に居ようが必ず見付だして殺してやる!」

俺はニコヤか笑い手を振る

「やだね。死にたかね〜よ。一人で修行しろ」


徐々に薄れる二人を眺めながら欠伸をして言ってやる

「家族には心配掛けるなよ」

「黙れ糞野郎が!」



そんな声が聞こえた気がした




さて、静かになる観客席を眺めながら慎の方を向く

「勝者はどっちかな?」

ニヤリと笑う慎はマイクを掴み叫ぶ

「この勝負、チーム魔王の勝利っ!!」

再び沸き上がる会場。その過半数がブーイングである。まあ賭けに負けたんだろうな

後は一番危険な加弥を戻しますか。影は消えたため一人寂しく地面を殴る

ずご〜ん。ばご〜ん。どご〜ん。ちゅど〜ん。


いや、止めれるかな

ゆっくり近付いて加弥の隣にしゃがむ

「どうしましたお嬢さぐきあぁぁ」

もろ殴られゴロゴロと転がり気付いたら加弥がマウントポジション!

顔面狙ってくり出す拳を首の力だけで必死に避ける!避ける!避ける!!

「霞が深娜ちゃんを御姫様だっこ霞が深娜ちゃんを御姫様だっこ霞が深娜ちゃんを御姫様だっこ・・・・」

怖っ!

「か、加弥!話を聞け!まずは落ち着うおぉぉ(ばご〜ん)頼むから少し落ち着むうぉぅぃ(ずご〜ん)」

仕方ない。ここは一発賭けに出るしかあるまい!

右手が振り下ろされた瞬間首を持ち上げ加弥の耳元で囁く


「・・・・・・」

ピタッと動きの止まる加弥。目は徐々に正気を取り戻していく

「・・・・・・マジ?」

「マジ」

はみゅっ


いや、抱きつかないでよ

なんとか立ち上がるが加弥は首にぶら〜んと釣り下がっておりその目は何かを訴えている

「わかったよ。だっこだろ」

溜め息混じりに加弥を御姫様だっこ

あ〜あ、空に積乱雲が集まってきたよ。絶対雷落ちるよ。絶対洸夜の雷だよ


諦めた俺は換金場所めがけ全力で走り去った



「霞君のバカ〜〜!」

落雷×∞













結果としてボロ儲けです。皆の借金立て替えが後四回は余裕で出来ろ程儲かった

その一部はあの狂騎士の家に送っておいた。ま、気休程度の慰謝料ってことでだが

そんなわけで帰ってきた俺は早速シャワーを浴びて着替える。いつもの司書服もいいが黒のタキシードも中々捨てがたい等と考えながら下に降りる

案の定深娜と洸夜は目を丸くしてポカ〜ンとしている

「何その格好。何処に出掛ける気?」

「霞君かっこいいよ。凄く似合ってる。でもなんでそんな格好なの?」

二人の質問にどう返答するか迷っていると奥から可愛らしいお嬢さんが歩いてくる

白くて少し薄いワンピースを着て、長い髪を靡かせてる。可愛らしいピンクのポーチを持つその姿はどこぞのお嬢さんです


「お待たせ霞〜。さ、行こうか♪」

超御機嫌な加弥は腕を絡めニコニコ笑う

なんと言うか俺の髪も長くなってきてて絵的には可愛らしい妹とタキシードのお姉さんみたいな気分だ

「・・・と言うわけだ。こうでもしなきゃ抑えれなくてな。埋め合わせはするから今は見逃してくれよ」

言い終わると同時に家から飛び出る

後ろからは鬼の叫び声みたいなものが聞こえるが隣の天使だって一歩間違えば鬼に変わるんだ。どっちに行っても死に変わりはないんだよな







悲しみに打たれながら今は加弥の御機嫌を取ることを優先する悲しき魔王だった

あれですねすいません。暇神様の案と妙に進路がズレて結構コメディってました。

ほんと申し訳ないです。それでも楽しんで頂けたら幸いです

それではまたこの場で御会い出来ることを願って

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