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我は邪にして出来損ないの復讐者

やあ、久しぶりだね。会長だ

会長の前にスーパーをつけるとポイントアップだ

今回は麦様のネタだそうだよ。

私の名前の後に様をつけるとポイントアップすることを忘れてはいけないよ。

さあ、本編スタートだ

王の首筋に当てられた銀のナイフ


王は間近に迎えた死に恐怖していた

奥歯は震えカチカチと鳴り大きく見開かれた目はナイフを持つ少年に注がれている


「あんたが悪いんだぜ。あんたが馬鹿な見せしめなんてしなきゃこんなことになりはしなかったんだ」


少年の目には怒りと殺意が渦巻き、ナイフを持つ手に力が入る



あんたが悪いんだぜ







「なあ霞、本当に行くのか?」

「ああ、許せる分けないからな」

まだ朝日の登らぬ暗い村の入り口で二人の少年は立っていた

「でも成功しても失敗しても最後は・・・」

「関係ない。殺るだけだ」

そう言って霞は歩き出した

「霞、これ持ってけ」

少年は黒い皮の鞘に収められた短剣を投げる

「俺のじいさんの形見だ。殺るならきっちり頼む。仇とってくれないか。俺の代わりに」

頭を下げる少年に霞は笑って答える

「行って来るよ村長」



その日俺は旅だった



俺の村は小さいけど平和だった

国が治める領土内で細々と暮らしていた

しかし国の王は重い税に加え見せしめと言う名目で条例の開始と同時に処刑が始まったのだ


その時は運の無さに嘆いた

選ばれたのは俺の両親に友達の祖父



それから数年がたち、悪政は益々酷くなり俺は決心したのだ


あの王を殺すと






数日かけようやく山を越え、近くの宿で食事をとっていた



「ねえ、そこの彼方」

話しかけられ頭を上げるとそこには肩まで伸びた茶色い髪に俺と同じくらいの身長の女性が立っていた

氷の様な冷たい表情は無を徹しており、威圧を感じる

「なんだい」

「彼方旅人?」

「そうかもしれない」

すると女性は向かいの席に座り

「私の名前は深娜。旅に付いてっていいかしら?」

「な、何言ってんだ。あんたは。俺は忙しいんだから他を当たってくれないか」

「今この宿で旅人なのは彼方だけよ。どうしても行きたい場所があるの。途中まででいいわ」

「あのな、俺は自分の事で精一杯なんだ。だいたい行き先は何処なんだよ」

「それは言えない。いずれ分かるわ。それじゃ明日からよろしく」

そう言い残し、深娜と名乗る女性は自室に戻って行った

「なんなんだよ全く!」

予期せぬ事態にテーブルを強く叩き部屋へと戻った






無言で歩く俺の後ろを無言で付いてくる深娜


「・・・・・・」

「・・・・・・」


そんな状態が何日か続き、耐えれなかったのが自分だった


「あんたは何処から来たんだ?」

日も落ち、火を焚いて携帯食糧に火を通しながら、向かいに座る深娜に話しかける

「私の名前は深娜よ。何処から来たかわ言えないわ」

「そうかよ」

無造作に渡す食糧を素直に受取り深娜は食べ始める


相変わらず会話の少ない一日だった




「しかし深娜、少しは手伝ったらどうなんだ。薪ぐらい拾ってくれよ」

「彼方一人で十分じゃない」

「あーもう、ああ言えばこう言う。少しは手伝わないと飯抜きだぞ」

「その時は自国に帰って訴えるつもりよ」

「何処にそんな横暴が通じる国があるんだ・・・・・・エルノアか」

「ええ、そうね」

「お前・・・エルノア出身なのか」

「そうよ。今帰るとこなのよ」


エルノア

エルノア、エルノア、エルノア、エルノア



沸き上がる殺意



俺はいつの間にかナイフを抜き、地に突き刺していた

「貴様、エルノア出身なのか。貴様はあのエルノアの人間か!」

声を荒げ殺意の渦巻く瞳で睨みつける

その瞳を真っ直ぐ見据えながら

「ええ。私はあの国の住人よ。今から10年程前に国を出て今帰るとこなのよ。王は優しくて国の人を大切にしてくれてたわ」

「馬鹿か!あの国は最悪の王が治める国だ。あの王の気まぐれが俺の家族を奪い、友の家族を壊しな原因だぞ。あんな王を生かしておくきはない」

「でも昔を知る私達にとっては家族の様な方だったわ」

「知るか!俺は王を殺すだけだ」

自分の荷物を掴み夜道を歩き出す

「あんたとはここでお別れだ。二度と会うことはない」



ひたすら自我を抑え、振り向かず歩き続ける。俺にとってあの王は敵だ



全てを奪ったテキだ







「知ってるかい兄ちゃん」

そこは古びた宿でエルノアまでの最後の宿で客はほとんどいなかった

「何が?」

「エルノアが隣国に攻められてるらしい。守りに徹してるらしいが西門は落ちたらしいぞ」

「本当か!」

運がいい、西門から侵入出来るし混乱に乗じて王を殺せる

「おやじさん。いい情報ありがとよ」

そう言って少し多めに払い部屋へ戻る


友から貰ったナイフをゆっくりと鞘から抜く

銀に輝くナイフは鏡の様に自分を写す



「やっと来たんだ。復讐が・・・・・・」


握り絞めていたナイフをゆっくりとしまい、ベットに倒れ込む


明日は早い



コンコン


控え目に叩かれた戸

宿のおやじさんと思い戸を開ける


「・・・お前か。二度と会うことはないと言った筈だが」

「お願いがあるのよ。王を助けて」

頭に血が昇るのが分かる

「いい加減にしろ。俺は王を憎んでいるんだ。その王を助けろだと?冗談にも程があるぞ」

「冗談ではないは。王は昔本当に優しい人だったのよ。あんな事になったのも理由があるのよ。お願いだから力を貸して」

「俺は王を殺す。お前は王を守る。互いの願いを叶えることは不可能。ならば俺を今殺せばいい。ただしみすみす殺されはしないがな」

再び抜いたナイフは真っ直ぐ深娜に向く



見つめ合う二人は動かず、ただ時間が過ぎていく


どれだけ時間がたっただろうか。最初に沈黙を破ったのは深娜だった


「分かったは。貴方を止めはしない。ただ私を王の元に連れていって。最後を見届ける人もいないなんて寂しいわ」

「邪魔をしないならいいさ」

そういってナイフをしまい、またベットに倒れ込む

「明日は早い。早く休め」

そう言って目を閉じた。後ろでは戸の閉まる音が聞こえた

そして


ありがとう



そんな声が聞こえた気がした



小高い山の上から見下ろしたエルノアは酷い有り様だった

宿のおやじが言ってたように西は完全に制圧されており、小さなバリケードだけが西口を守っている。

その内東も落ちるだろう。そうなっては王が逃げる恐れがある


「今行くしかないな。走るぞ」

後ろにいる深娜の方は向かず、指示だけ出して駆け出した

曲がりくねった獣道を抜け、西門まで来た。

西門は隣国の部隊が拠点を構え、次々と部隊が送り込まれている

幸いにも隣国の部隊は義遊兵で服装に統一が無いため、すんなりとエルノアに侵入出来た

バリケードは一番手薄な南の方に向かい、物陰から石を投げ、注意が逸れた内に侵入した



「さて、後はどうやって城に侵入するかだ」

慌ただしい城では入れ替わり兵が出ているので流石にこの服装では不味い


「こっちに裏口があるわ。ついてきて」


そう言って駆け出した深娜を慌てて追い掛ける


そこは城の裏の角

深娜は壁を調べ、一つの石を押した


すると隣の芝が勢いよく開き階段が出てきた

「な、なんでお前がこんな道知ってんだ」

「昔王が内緒で子どもたちを城に入れて遊ぶ時があってその時使ってたのよ」

「成程な」

階段を降り、暗い階段を抜け、梯を登るとそこは厨房の隅だった


「ここから右の階段を登って倉庫の壁に隠し通路があるわ」

「10年前の記憶がしっかりしていて助かるよ」

隠し通路を抜け扉を少しだけ開けると




「ええい、何をやっている。早く敵を排除するんだ」

王は側近を罵倒し近くの物を投げつける

「申し訳ありますん。しかしアクノラの兵は約15万、我が兵は既に8万を切っております。ここは体制を立て直す為に撤退するべきかと・・・・・・」

「黙れ。その様な醜態晒せる訳がないだろうが!」

王は顔を真っ赤に染め声を張り上げる



「それはそうだ」

笑いながら戸を開け放つ

「あんたは腐ってやがる。自分の事しか考えてない最低な奴だ」

「誰だ貴様!」

しかしその問いには答える事なくナイフを片手にゆっくりと近付く

「あんたは最低だ。あんたは俺から全てを奪った敵だ。あんたは友の家族を壊した敵だ。あんたは罪のない人の魂を葬った敵だ」

「何を言っている。誰か、そいつを連れ出せ!」

「そいつは無理だ」

既に目の前に立つ俺は王座から引きずり倒し殴った

鈍い音が部屋に響く

「これはあくまで知らない人達の為だ」

背中から引き抜くナイフ

光るナイフには恐怖に引きつる王と無表情の俺の顔が反射する


「あんたがいらない見せしめなんかしなければあるいはこんな事はしなかっただろうな」

ナイフを持つ手に力が入る


「あんたは最低だ。信じるモノも無く、信じられる事も無いあんたを殺す事に俺は何も感じない」




深娜はただ黙って見ていた


相変わらず無表情でただ黙って見ていた




俺はあんたを殺す事に何も感じない




ナイフからは黒血が滴り赤い絨毯を染めた







広い草原に座り光るナイフを掲げる


相変わらずナイフは光輝いていた



「何を思い老けてるのよ。霞」

「ああ、自分の気の弱さに嘆いてる最中だ」

「あの事?」

「それ以外にあるか?」

「いいえ」













滴り落ちる黒血は絨毯を染める


「霞・・・・・・」

「だがあんたを家族と言ってくれた人を俺は知っている」

ナイフの刃を強く握り締め必死に抑える

「あんたの過去を知り、家族だと言ってくれている人を俺は知っている」

ナイフは振り下ろされ絨毯に深々と突き刺さる

短い悲鳴を無視し、ナイフをしまう


「俺は今あんたを殺さない。次にあんたの前に立った時、情けをかけはしない」


溢れでる血を抑えずその手で王の襟を掴み引き寄せる


「二度と俺の様な人を生み出すな」


吐き捨てるように言い残し元来た道を歩き出した


部屋には王と側近、そして深娜だけが残っていた



「久しぶりね王様」


王は何も話さない


「貴方は命拾いしたわね。まさか霞が貴方を殺さないなんて。何処までお人好しで何処まで頑固なのか分からないわ」


王は何も話さない


「でも次は無いわ」


王は何も話さない


「貴方がなぜ変わったかは知ろうとしないわ。今は少しでも変わることを考える事ね。それしか貴方には出来ないわ」


王は何も話さない


「さようなら、昔優しき王様。もう会うことは無いわ」


王は何も話さない













「変わったわね」

「まだまだこれからやらなきゃいけないことが有るんだ。全て終わって初めて変わるんだよ」

「そうかもね」

草原に吹く風は涼しく心地よい






その後王は降伏の旗を掲げ、自らの足でアクノラの拠点に向かい拘束させ、謝罪をしたそうだ


あれから数ヶ月がたち、エルノアに対する不満は徐々に払拭されてきているそうだ









「なあ深娜」

「何?」

「お前結局何者なんだ」

「秘密よ」

「そうかよ。まーどうでもいいか」

大きく伸びをし、進行方向を向く

「次はどうするかな」

「次はヨカムタに行きましょう」

「はいはい逆らいませんよ。どうせまた反逆起きてる町なんだろ」

愚痴を溢しながら歩き出す霞と後ろで頬を緩めながら歩く深娜










これからもお願いするわ。平和をもたらす為だけの存在の私の付き人さん

楽しんで頂けたかね?

私が出ていないのが不服だが私の心は広大で激しいから作者、後で覚えておけ



「麦様、最後の終り方が多少変わってしまった事をお詫び申し上げます」



作者、一度地獄を体験したらどうだい?


何故だ!何故水道の水を捻ったのにお湯が!

ああ、なんだこの蒸し暑さ!

し、死んでしま・・・・・・

飛来する箒


「かひゅっ」


他界

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